メディアグランプリ

あなたたちが考える「少女」は、そこにはいない


*この記事は、「リーディング・ライティング講座」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:河瀬佳代子(リーディング・ライティング講座)
 
 
その本は、元々買う予定じゃなかった。
青山裕企先生のイベントに参加しようかと思い立ち、申し込みのページを見たところ、参加条件として料金お支払いと共に、
 
「『少女礼讃』(青幻舎、2020)のご購入」
 
と書かれていたのだ。
 
それを読んだとき、正直「あ、これはヤバいな」と思った。
何故なら、イベントの参加ページにあった青山先生のご紹介文と一緒に出ていた『少女礼讃』のサンプル写真が、とにかくヤバかったからだ。
 
青山氏は2005年写真家として独立し、現在までに約80冊もの写真集を手掛けている。
『少女礼讃』は2020年6月に刊行。「ベストセラー写真集『スクールガール・コンプレックス』シリーズなどで知られる写真家 青山裕企が、素性の明かされていないひとりの”少女”を謎めいた関係性で撮影し続けている作品」(帯より抜粋)だ。
 
サンプル写真の中の1枚を簡単に表すならば、どう見ても少女にしか見えない女性が、ビルの高層階でヌードになっている。そのあどけない表情と、行動の大胆さのギャップがすさまじい。
 
これを買うことがイベントの参加条件なのか。
興味本位で読んでみたい気もするけど、読んでしまったら「写真集」に抱く概念がすっかり変わってしまいそうで怖い気もする。でもイベントのおまけにくっついてくると思えばいいのかな。なんとなく割り切ったような、そうでもないような感覚で、私は『少女礼讃』を手にすることになった。
 
名前も、年齢も、住んでいる地方もわからない。SNSの発信もしていない。どこかで芸能活動をしている訳でもない。一切を明かしていない1人の「少女」だけを、青山氏は2018年から撮り続けた。
 
飛び抜けて美人というわけではない。白い肌にメガネをかけ、見た目は地味で大人しそうな中学生とか高校生。あどけなさもあるが、時々爆発しそうなエネルギーを放出してくる。それは躍動感だとか若さでもあるのだけど、同時にエロスそのものでもある。
 
幼い風な服装をしている次のページでは、何かに疑問を持つように押し黙ったままの表情をしている。太陽の下で楽しげに彼氏と旅行にでも行くかのようにはしゃいでいたかと思うと、昼下がりの旅館では着衣を乱れさせる……。どれもがこの「少女のリアル」だ。どんなにそれがアンビバレントであっても、その少女から発せられるものなのだ。
 
いわゆる世間一般の、少女を題材にしたメディアは数限りなく存在する。その多くが、読者である男性目線を意識したもの、男性のご希望に沿ったものだ。こういう風にしたら男は喜ぶからこうして、という製作者側の意図するところに、少女たちは当てはめられている。そのことがまるで絶対に正しいとでも言わんばかりに、作られた表情の少女たちが店頭に並んでいる。そこには少女たちの一切の希望の余地はない。
 
ひるがえって、『少女礼讃』の少女から伝わってくるのは、彼女自身の意思だ。
私はこういう風に見えるかもしれないけど、でもこんなことも考えているし、伝えたいことだってたくさんある。
私は誰かに操られるがままに自分を表現しているわけではないんだ。
そんな、確実な「意思」が、ひしひしと伝わってくるのだ。
 
この本には頻繁に、舌をベーッと出しているカットがある。まるで少女を「モノ」として扱っている世間一般を欺くかのように。あんたたちが考えている少女なんて、全部偽物だよ? 本物はそんなことしないから。そんな高笑いが少女から聞こえてくるかのような表情には、小気味良さすら感じられる。
 
カットだけ見れば「ただのヌードじゃないか」という人はいるだろう。だが、『少女礼讃』に出てくるエロスのカットには、全て明確な意思があるような気がしてならない。まるで少女たちを性的な目で見ている全ての人に意を唱えるかのように、少女は、青山氏のファインダーに向かって叫んでいる。「絶対に私の中のエロスは、誰かに搾取されてたまるものか」と。「あなたになんて、私を勝手に位置付ける資格なんかないのよ」と。下劣な想像をする人間を一蹴するとともに、誰にも邪魔されない自分の姿をここに刻みつけたい。世間に対しての挑戦状のような強さを感じるのだ。
 
青山氏は、1人の少女と出会い、彼女そのものの姿を写し出した。感情を揺さぶるようなカットしかない『少女礼讃』だが、恐らくだけど氏が少女に対する眼差しはどこまでもフラットなのではなかったのだろうかと想像する。どこでどうやって出会い、どのようにしてこの企画を少女に了解させたのか。決して短くはない時間、濃密な撮影を行う中で少女との関係性はどう変化したのか。読んでいてとても知りたい部分ではあるけど、でも永遠に謎だからこそ『少女礼讃』に永続性が生まれるように思う。少女が少女としてしっかりと足を踏み出す姿を、先入観や劣情ではなく見てほしい。「商品」ではない、生身の少女が、そこにいる。
 
 
 
 
***
 
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2020-12-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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