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過去の後悔と婚活


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:Risa(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
こんな夢を見た。
大学院生の時に指導担当だった教授のもとを私は訪れている。
用事が済んで立ち去ろうとしていると、「このあとお昼を食べながら1時間くらい話しませんか」と教授に言われる。
話というのは、きっと私の研究のこと。
具体的な話はせずに、夢はそこで終わった。
 
目が覚めて私はなんだかほんのりと温かい気持ちになる。
なぜかというと、教授のこの発言は私が一番求めていたものだったから。
 
今でこそ、何かわからないことや知りたいことがあれば人に臆せず聞けるようになった。
婚活を始めて二か月経ち、結婚に向けた恋が少しずつ進んでいるのも、いろんな人に相談しているからだ。
でも、この時の私はそれができなかった。
 
知らない自分をさらけ出すことが、とてつもなく恥ずかしいことだと思っていたのだ。
 
高校や大学の学部までは、ある程度先生たちが手取り足取り学業を支援してくれた。
大学受験に向けて塾にも通っていたし、頼りになる参考書もたくさんあったから、たいして先生たちに質問せずとも、勉強ははかどった。
 
質問せずになんとか自力でこなそうとする「優等生」の癖は、大学院に行って研究をするようになってからは邪魔でしかなかった。
 
研究とは、本に書いていることをただ読んで覚えればいいのではない。
本に書いてあることを読んで理解するのは、研究以前に自分でこっそりやっておくこと。
実際にどうやって研究を進めていくのかは、まわりの先輩や教授に自分で聞くしかない。
つまり、自らの意思に基づいた積極性が試されるのだ。
 
私はなんとなく大学院に進学したため、そもそも積極性自体が欠けていたのかもしれない。
でも、一番やっかいだったのは、その時の私は元「優等生」というプライドがあって、不甲斐ない自分をさらけだすことができず、人に質問ができなかったことだろう。
 
卒業論文、修士論文、レポート、ゼミの課題、ひいては論文の検索まで、自力でこなそうと私はしていた。
受験勉強をほとんど質問せずにクリアした、あの時のように。
 
たいして質問せずに自力でこなすのは、とてつもなく大変だった。
仕上がりもたいして良くはなかっただろう。
 
当時の私に言ってみたい。
「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」と。
 
教授が他の学生に対してどう接しているのかもとても気になる。
授業の後に、「このあと話すことがあるから来て」なんて言われた同僚や後輩がいたものなら、私は内心、嫉妬に狂っていた。
 
だからこそ、冒頭で紹介した夢は私にとって心底嬉しかったのだ。
 
その時の私に今の私から言いたい。
「あなたも自分から教授に話しに行けばいいよ」
今ならわかるけど、その時の私はただ茫然と、テキストの山を前に立ち尽くすだけだった。
 
そんなものだから、大学院に残って研究を続けるかどうかはずっと悩んでいた。
ある時、これ以上は続けられないと感じる出来事があって、すっぱりやめることになった。
 
大学院生としての肩書きを捨ててからは、いろんなことをやろうとした。
コロナの影響で、全部は叶わなかった。
 
それでも、少しうまくいったもの、自分のやりたいものを続けていこうと今は思っている。
 
そして、家庭を持ちたいと思うようにもなった。
生きていくには、誰か一緒にいる方が心強い。
結婚願望が芽生えたのは、一人でやっていけるふりをしていた自分を捨てて、自らの弱さを認められるようになったからだろうか。
 
ともかく、今の私はいわゆる婚活をしている。
 
結婚相談所に登録したり、友人に紹介してもらったりしながら、数人の独身男性と会ってきた。
婚活は我ながらスムーズに進んでいると思っている。
 
理由として思いつくのは、いろんな人にきちんとわからないことを質問していることだ。
紹介してくれた友人に男性とのLINEの仕方を教えてもらい、仲人さんにもデートの誘い方を素直に質問している。
聞くだけではなくて、自分で本やブログを読んで、結婚に向けた心構えや、コミュニケーションの取り方、好まれるヘアメイクの勉強もしている。
 
これだけ素直にいろんな助けを借りているのは、自分が恋愛に疎いという自覚があるからだろう。
 
そして、大学院の時に、もっと質問して人に頼っておけばよかったという苦い後悔があるからだ。
自分のできなさをさらけ出して、わからないから教えてください、相談に乗ってください、と言えなかったことを、もう繰り返してはいけないと思っているから。
 
前に進むために大切なのは、わからないことを既に詳しく知っている人に聞くことだ。
これが私が大学院で学んだ一番大切なこと。
 
「あの頃、もっと積極的に研究に取り組んで、いろんな人に素直に質問しておけばよかったな」
 
そんなことを苦く懐かしく振り返りながら、大好きな本命の彼との今後を思い描き、
今日も仲人さんに相談に乗ってもらっている。
 
 
 
 
***

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2021-01-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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