メディアグランプリ

人生を狂わせる書店


田村さん 人生

記事:田村将太郎(ライティング・ゼミ)

 

狂わされました。人生狂わされました。
ある本と出会って。ある書店と出会って。

それは、大学3年の秋頃。正確な日にちは覚えていませんが、残暑もおさまって秋の気配が漂ってきた頃でした。その頃の私は、救いようのないような、この世の終わりのような気持ちいっぱいで日々を過ごしていました。私はその場所にいる理由を失っていたんだと思います。

私は、小学校3年から野球を始め、父や、コーチの厳しい指導のもと、とりつかれるように野球に打ち込みました。体格にも恵まれた私はメキメキと実力をつけ、高校も県内の名門校にスカウトされました。もちろん高校でも野球に打ち込みました。寮に入り、朝から晩まで、野球、野球、野球。三度のメシより野球が好き。携帯電話も持たずに、青春のすべてを野球に捧げました。その結果、レギュラーを獲得できましたし、県の優秀選手賞もいただくことができました。2chとかでもちょっと名前が上がったり、youtubeに動画がアップされたりもしました。そして、大学からも声がかかり、野球で大学を決めることができました。
まさに順風満帆。私は絶対に野球で食べていく。いわゆる「野球エリート」に仲間入りできたんだと思いました。

しかしながら、大学に入ってからの私は鳴かず飛ばず。打席では三振の山を築き上げました。後輩からも「扇風機」とか言われたりしました。
次第に私は自分の限界を勝手に決めつけ、練習しなくなりました。完全に腐っていました。

そして、3年の春。腰を怪我しました。座骨神経痛の症状がひどく、日常生活にも苦痛を伴いました。当然、練習はできないので球拾いや、球入れなどの雑用をしました。毎日、同じことの繰り返し。決まった時間になると踊りだす、壁掛け時計の人形のように、私は毎日をつまらなそうに踊っていました。
腰は全く良くならず、手伝いを半年ほど続ける中でイライラはつのっていきました。その矛先は、頑張っているチームメイトにも、自分にも向けられ、チームメイトに『手伝いありがとう』とか『早く怪我治せよ』などと優しい言葉をかけられても無視したり、そんなこと建前で言ってるだけだろと思っていたりしました。
当然、私は次第に周囲から浮いていきました。

その場所にいる理由を失ったのはこの時。腐ってる。怪我。素直に手伝うこともできない。
『生きづらいな』
こう、思っていました。

そんな時にこんなネット記事を見つけました。

【四代目「天狼院秘本」】もしあなたが少しでも「生きづらい」と感じていたら、あるいはこの本が特効薬になるかもしれない《通販ページ》

この記事を読み、私は藁にもすがるような思いでこの本を買いに『東京天狼院』に向かいました。通販で買ったら、届くまでが我慢できないと思ったからです。
通常の精神状態ならば、買っていなかったでしょう。しかしこの本が、私の心に刺さったトゲを抜いてくれると思ったのです。
四代目天狼院秘本は二冊セットだったのですが、その本を読まないと死んでしまう、まさに病人が薬を飲むように秘本を1日で「服用」しました。その作用は鮮烈に現れました。多少の副作用を伴いながら。

私が本当にしたいことってなんだろう。とことん自分に問いかけました。就活を来年に控えていたので、まずどんな仕事がしたいに始まり、どんな大人になりたい、どんな生き方をしたい、どんな人生を送りたい、そしてどんな死に方をしたいか。幸いにも、私には時間がありました。それから私は、練習を手伝いするときも含め、四六時中自分に問いかけ続けました。同僚に相談とかはしませんでした。秘本が唯一の師であり友でした。

そうしてたどり着いたのは「建築家になる」でした。実は大学進学の時に、建築科のある大学を受験しようか野球で大学に行こうか迷っていました。しかし野球で進学しまった以上、今更建築科なんて目指せないと思っていました。

でも今はこう思えたのです。そんな風に決め付けていたのは自分だと。少し調べると、有名建築家の安藤忠雄さんは独学だという事実を知りました。

よし、決めた。なる。
建築の専門学校を調べ、大学と同時に行ける夜間の専門学校に来春から行くことに決めました。
しかし野球部としての活動を続けながら、専門学校に通うことは不可能だったので「副作用」として野球部を退部しました。
今は、来年の専門学校入学に向けて準備を進めている段階です。

野球部を退部したことは無責任で、はたから見たら逃げているようにしか見えないかもしれません。しかし、この一歩は、逃げではなく、私にとっては前に進んでいる一歩なのです。人によって目指すところは違うのですから、向いている方向も違うわけです。
私はそれを秘本から学びました。世の中って以外と自由なんだな。
「野球界」しか知らなかった井の中の蛙が、大海に飛び出すことができました。

そして以前から興味のあった「文章を書く技術」を天狼院書店で学んでいます。

ここで野球をやめなかったら
怪我してなかったら
あそこで結果を出してたら
最初から建築の道に行っていたら
こんなこと考えても意味がありません。

私は試合に出られなかったおかげで、試合に出られない人の気持ちがわかるようになった。
怪我をしたおかげで、裏方の人の気持ちがわかるようになった。
秘本に出会えたおかげで、自分を見つめ直し、次への一歩を踏み出すことができた。

私の人生は「狂った」のか「変わった」のか。
「狂った」はどこか否定的で「変わった」は肯定的ですが、それは同じことだと思います。私が野球をやめて「あいつ終わったわww」という人からすれば私の人生は狂ってますが、私にとっては「変わっている」チャンスですから。
人生を狂わせるものって、チャンスかもしれません。自分で少しでもいいと思う方向に「進む」ことが大切だと思います。
第二次世界大戦に敗れたときだって、どん底でしたけど、あのまま勝ち続けてたらよくなかったかもしれません。敗戦後に築きあげたものが、今の日本の礎です。

私は今、実際のところ、人生で一番ワクワクしてます。

変わりました。人生変わりました。
この本と出会って。天狼院書店と出会って。

 

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

【東京/福岡/通信】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?〜《最高ランクの「ゼミ」に昇格して12月開講!初回振替講座2回有》

 

 

【天狼院書店へのお問い合わせ】

TEL:03-6914-3618

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。

【天狼院のメルマガのご登録はこちらから】

メルマガ購読・解除

【有料メルマガのご登録はこちらから】

バーナーをクリックしてください。

天狼院への行き方詳細はこちら


2016-02-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事