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心に空いた穴は自分で埋める


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記事:杉山佳那恵(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「心に空いた穴を埋められるのは自分だけ」
そう気づけたのは、ちょっとした苦い経験と、あるドラマに出てくるセリフからだった。
 
今年の4月下旬頃から、私の心にはぽっかりと穴が空いていた。
しばらく続けていた英語の勉強に身が入らなくなっていた。
仕事や人間関係に特に悩んでいたわけではない。
英語の勉強そのものに飽き飽きしてしまっていた。
「このやり方で英語が今より話せるようになるだろうか?」
 
時間を決めて、毎日同じやり方を繰り返す。
勉強というより、まるで作業でもしているかのように。
「このままじゃ、いつまでたっても英語は伸びない」
それでも、今の自分にあった勉強方法に変えるには勇気が必要だった。
苦手なことを克服し、英語力を伸ばすためには、情けない自分を直視しなければならないからだ。
それが怖く、動画を見て簡単なクイズに答えるような英語学習アプリを使って、できないことから目をそらし続けていた。
 
そんな矢先、5月に入りゴールデンウィークに突入した。
ひとり暮らしをしている私は実家へ帰省し、高校時代の友だちと食事をした。
 
話題が恋愛の話に突入すると、友だちは私にマッチングアプリを勧めてくれた。
マッチングアプリ、それは恋愛や結婚などの出会いを目的としたスマホアプリのこと。
友だちもやっているし、いい人に出会えたら行き詰まっていた勉強もかえって頑張れるのではないか、そんなことを考え私もアプリをインストールした。
 
そのアプリの仕組みは、「自分に『いいかも』をくれた相手に『ありがとう』を返す、または、相手に『いいかも』を送って相手から『ありがとう』が返ってくる、そのどちらかができればマッチング成功」。
『いいかも』をするかしないか、『ありがとう』をするかしないかは、相手の写真やプロフィールから判断する。
そしてマッチングが成功したら、メッセージを送受信できるようになるというものだった。
マッチングアプリを始めてから数日後、アプリ内でやりとりをしていたうちのひとりと連絡先を交換し、毎日、コミュニケーションアプリのLINEでメッセージを送りあうようになった。
続けていくうちに、その人のことが気になり始め、一方の勉強はというと、さらに手が付けられなくなっていた。
 
周りには結婚している友だちがちらほらいる。
みんな幸せそうだ。
今私は24歳。
将来結婚するには、そろそろ相手を見つけないといけない気がする。
アプリを始める前からなんとなく感じていた焦りのようなものが、マッチングアプリやLINEでのやりとりを通して鮮明になっていった。
 
気になっていた男性とは、電話で話す約束があった。
その約束の日の2日前、相手の返信で会話を終えていたため、私から2日ぶりに連絡を入れてみた。
ひとまず「お疲れさま!」の言葉を送信した。
その日、返信は来なかった。
それは次の日も同じだった。
しまいには約束の日である当日も返信はなかった。
 
相手の人からの返信はもうないのだと悟ってから、私は数日、だいぶ凹んでいた。
気軽にアプリをインストールしたはずだったのに、気付けばのめり込んでいた。
 
それでも前を向くため、周りの人の意見を聞いてみたり、インターネットで恋愛や結婚について調べたりもした。
そのとき「恋愛依存は、自己肯定感の低さが原因」というコラムを見かけた。
自己肯定感とは、「自分はありのままでいい」と自ら思える感情のこと。
私はこの自己肯定感が低かったのだと気づかされた。
英語ができない今の自分を受け入れられなかったためだ。
そして、自分には合ってない英語学習アプリでやり過ごし、突然無気力になって、いつのまにか恋愛で誰かに幸せを求めていた。
少しずつ、凹んだ心が元の形に戻ろうとしていた時、あるドラマのセリフがふと浮かんだ。
 
「歯を抜いて空いた穴は、歯で埋めたいです。
他のものでは埋めたくありません」
 
2018年に放送されていた「僕らは奇跡でできている」というドラマで出てくるセリフだ。
主人公の一輝(かずき)が通っている歯科クリニックで歯科医師として働く育美(いくみ)は、恋人とうまくいかなくなり、恋愛で空いた心の穴を仕事で埋めようとしていた。
この言葉を主人公の一輝から投げかけられたとき、育美は自分の本当の願いに気づくという展開であった。
 
私は、勉強で空いた心の穴を恋愛で埋めようとしていたこと、そして、英語を話せるようになりたいという本来の目的から大きく逸れていたことに気づいた。
 
何かにうまくいかなくなった時、逃げ出したい時は、一度ほかのことで気分転換することは大切だ。
しかし、それは、自分一人の行動で完結でき、私のように何かの依存状態に陥らずに済むものがいい。
自分だけでできる気分転換は、相手の都合に左右されず、リフレッシュができたら、すぐにやるべきことに着手できるためだ。
 
心に穴が空いたと気づいたら、まず自分自身を認めてあげる。
そして時には気分転換しながらも、自分の願いを見失わないように、できることを工夫しながら続けていけばいい。
そして、大事なのは決して誰かに埋めてもらおうとしないこと。
「心に空いた穴を埋められるのは自分だけ」だから。
 
 
 
 
***
 
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2021-06-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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