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夫婦間ランチミーティングのススメ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:西元英恵(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「最近、何か気になることはありますか?」
 
これはミーティング中の上司でも、保護者面談中の教師のセリフでもない。
目の前に座っている夫のセリフだ。
私たちは時間に余裕のできた平日のランチタイム、二人でレストランにいた。
最近始めた夫婦ランチミーティングでの一コマだ。
 
お付き合い当時はよく言葉を交わしたものだった。
仕事の悩み、人間関係、趣味のこと、好きな食べ物、将来の野望……。
話のネタに困ることはなく、会えば何時間でも話していられた。
しかし、いつからだろう。話が弾まなくなった。
 
理由はいくつか考えられた。
ひとつは結婚後、夫の仕事量の増加により物理的に話をする機会が減ったことだった。
しかもフリーランスでその頃は自宅内のひと部屋を事務所にしていたこともあり、夕飯が終わると仕事部屋に直行する。扉を閉めると一切明かりの漏れてこないその部屋の前で私は立ち尽くし、こう思う。
「思っていた新婚生活と全然違う……」
 
更には、このあともう一つ「会話減」の理由となる出来事が起きる。
出産だ。
 
ここに一つの恐ろしいデータがあるが、厚生労働省の調査によると出産後2年以内に離婚に至るケースが増加しているという。その離婚率は35.1%。実に三割を超えている。
この2年に何があるのか。
 
それは「産後クライシス」という魔物だ。
 
妊娠出産という体の劇的変化で生じたホルモンバランスの急な増減により、自立神経が不安定になる。その結果、情緒不安定になるというのだ。しかもこの変化についていけない夫との間で意思疎通が難しくなってしまう。
可愛い子供が生まれて幸せいっぱいを夢見ていたはずなのに、なんということだろう。
私たち夫婦も例外では無く、このような事態に陥った。
会話が弾まないどころかなんだかギスギスした空気が漂い、楽しむ気持ちになれなかった。
 
そして我が家の場合、もうひとつの難題が待ち構えていた。
長男が大きくなるにつれて、超絶お母さんっ子だった彼が、私たち夫婦の会話に激しく焼きもちをやく時期があった。もちろん、もうラブラブするような時期はとっくに過ぎているし、会話といっても業務連絡のようなものばかりだ。
「そういえば○日は仕事の帰りが遅くなりそうで……」
「夕飯はどうする? 家で食べるの?」
こんな簡単な会話でさえ、長男が横入してきたり不機嫌になってくることに気付いた時、面倒になってしまって段々と子供がいるときに夫婦で会話をしなくなった。
 
このような段階を経て悲しいことに「会話の無い夫婦」が出来上がってしまった。
会話が減ってからはケンカが増えた。普段の意思の確認ができない上に、私がそれをよしとしていないのでちょっとのことでイライラしてしまうのだ。相手がよかれと思ってやってくれたことでさえ、「ひとこと言って欲しかったなぁ」となる。
なんと悪循環なのだろう。
 
これではいけないと思った私は夫にひとつの提案をする。結婚3年目に差し掛かっていた頃だ。
その提案とは1か月に一回、夫婦だけで話をする時間を設けることだった。
改めて時間を取ることを嫌がられはしないかという危惧はあったが、夫も夫婦の在り方を見直したいと思ったのか了解してくれた。
 
子供の寝かしつけが終わると、別の部屋に集合する。最初こそぎこちない会話のスタートだったが、回を追うごとに話が弾む日も増えてきた。
「最近どうですか?」夫が私に尋ねる。
「そうだねぇ~……」夜の静けさが頭をクリアにしてくれるおかげか、落ち着いた空間だとじっくり会話しようとする気が沸いてくる。
 
この月一回の夫婦の会話があるおかげで日常の行き違いも少しずつ減ってきた頃、今度は夫から提案があった。さらに3年が経過していた時期だ。
「月に一回、外で一緒にランチしない?」
「おっ、いいねー!!」
思いがけない夫からの提案に私たち夫婦もまだまだ捨てたもんじゃないね、と嬉しくなった。
 
ところで世の中には「夫婦カウンセリング」というものがあるらしい。実際に利用したことは無いが調べたことがある。
心理カウンセラーが機能不全に陥った夫婦の関係性を読み解き、健全なパートナーシップ構築へと導く、というのがそのサービス内容だ。
あるカウンセリング事務所では心理カウンセラーがこのように言っていた。
 
「恋人や夫婦など親密な関係性では、2人の距離感に三つの段階があります」
 
三つの段階とは、「ロマンス期」「探索期」「成熟期」だそうだ。
「ロマンス期」はもちろんラブラブな時でケンカしてもすぐに仲直りできる時期のことだ。
 
そして「探索期」。
これはなんと「距離を置きたい側」と「離れたくない側」に分かれるというのだ。
「距離を置きたい側」は一緒にいることにストレスを覚え、「離れたくない側」は不安や寂しさを抱える。
なるほど! 私たち夫婦は長いことこの探索期でくすぶっていたようだ。
そしてこの「距離を置きたい・離れたくない」の割合は、物事によっても変わるし、どちらもが「距離を置きたい派」になってしまうこともあるだろう。
 
最後に「成熟期」。
身体的な距離に関わらず、心の繋がりを感じられる状態。一緒にいても離れていても、どちらもストレスが少なく自然な状態、だそうだ。
私が最終的に目指したい夫婦の形態だ。
 
さて、寝かしつけ後の会話タイムにプラスして月一回のランチミーティングを実施し出してからたくさんの楽しい瞬間がある。
 
まずは外で食事することにより「非日常」を味わえることだ。もちろん寝かしつけ後の会話タイムも悪くないのだが、外に一歩出ることで一気に気分がリフレッシュする。メニューをゆっくり見て今日のランチを決める。そしてお店のおいしい料理を堪能する。テーブルにちょっとした花なんて飾ってあったらもう最高だ。主婦になって余計に「あー、人に作ってもらうご飯って何でこんなに美味しいんだろう」と感じるようになった。毎日の献立とご飯作りは嫌いじゃないが、義務感が拭えないのも確かだ。
 
そして夫が自分の話に耳を傾けている。夫も気持ちに余裕があるのか、私の話を掘り下げてくれるようになった。
「今後、こういう事がやってみたいんだよね」と夢を語れば
「いいね、じゃあこういう方法でやると上手くいくかもよ」
フリーランスで仕事をしているとあって、何かを開拓するということに興味があるようだ。
 
前回は最後に二人でハーブティーを飲んだ。その頃にはすっかりリラックスして夫も笑顔でよくしゃべった。そんな夫を見て
「あー、なんか前はこんな感じだったよなぁ」と懐かしさのようなものさえ感じてくる。
やはり夫婦水入らずの時間って大事だ。
 
今後も結婚生活が長く続けば、意見が合わない時もあるだろうしケンカに発展するときもあるだろう。そんな時、夜間の会話やランチミーティングが綻びを直す手仕事のような役割を担ってくれるんじゃないかと密かに期待している。
 
せっかく縁あって夫婦になったのだ。一緒に生きていくなら絶対楽しい方がいい。
 
 
 
 
***
 
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2021-07-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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