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メディアグランプリ

素敵な言い間違い(あるいは読み間違い)


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:弓削 浩美(ライティング・ゼミ12月開講コース)
 
 
「トウモロコシ」を「トウモコロシ」
「オタマジャクシ」を「オジャマタクシ」
最近同僚の4歳の息子さんがよく言い間違えるらしい。
 
かの有名なメイちゃんみたいなことが本当にあるんだねぇ、なんて笑ったあとで、子どもに限らず大人になっても言い間違えることはよくあるのだと思い起こす。読み間違い、も含むが。
 
私の長年の友人にその傾向が大いにある。
 
高校生時代まで記憶をさかのぼる。その頃まだLINEはなく、ガラケーのメールを使っていた。メール画面は小さくて、上からTo/Sub…という表記だったかと思う。
 
彼女がしきりに
「そつけ」「そつけ」と、繰り返す。
何のことやらと聞くと、メールで写真を送るから、ということを言いたいらしい。
 
まさかの「添付ファイル」の「添付」を「そつけ」と読んでいた。
「てんぷ」という言葉とその意味は理解しているのだが、どうしてか画面を読むと「そつけ」になってしまうらしい。
 
誰にでも間違いや勘違いはあるし、
「てんぷって読むんだよ」と笑いながら教えたことを覚えている。
 
実は自分も一時期「月極駐車場」のことを「げっきょく」だと思っていた。人のコトは言えない。いや「つきぎめ」のことは知っているんですよ、と言い訳をしておく。お恥ずかしい。
 
普段からさらに聞き間違いや勘違いの多い彼女とは出会ってから早15年以上が経過し、長く過ごした課程の中で生まれた驚きは数多くある。
 
そのうちの一つとして、大学生時代ファミリーレストランでメニューを見ていた時のこと。大学は違う所に通っていた彼女とは月1回程度でランチをしたり、映画やカラオケに行っていた。この日は毎年春に上映される推理映画を見に行った帰りだった。
当然だがファミレスは多種多様な料理がある。その頃の私達は毎回パスタかハンバーグか迷っていた。
「迷うね。メニューいっぱいあって、いろどりみどりだね~!」彼女は言う。
「いやそれただのみどり」
 
今思い出すと笑えるより感心してしまうのだが、その時の自身の突っ込みならぬ訂正は非常に冷め切っていた。それを言うなら、「選り取り見取り」ですね。
 
近年我々も無事社会人となり、異なるフィールドではあるがそれぞれ毎日働いている。
彼女の会社はECのコンサルティング系の企業で、ある程度のポジションを任されているらしい。IT系らしく会議の会話には横文字が多いとのこと。理解できない言葉もたまにあるけどなんとかなるのよ、と教えてくれた。
 
そんな彼女も部署異動に伴い、これまで持っていた業務をチームと後任に引き継がなければならなかった。
彼女は異動前、営業がとってきた仕事を組み立てる企画のような立場にいたという。複数の取引先を持っていたこともあり、引継ぎ作業は煩雑で時間がかかったが、何とかチームを集めて最終ミーティングを開くところまで落ち着いた。
 
「こちらの定期のお客様に関してのデータはまとめてあって引継ぎ資料通り。あとは年1回あるかないかのお客様と臨時の案件は、ヨイショヨイショで確認していくしかないですね」
 
ミーティングに同席した彼女の先輩と同僚はなぜか彼女の話の途中でクスクスと笑っていた。
仲がいいとはいえ、まじめな席でなにかあったのかと疑問に思って聞くと、「ヨイショヨイショ」とはなんぞやということだ。
 
私もその話を聞いていて漢字に変換するのは容易ではなかったというか、できなかったが……。
 
ここで驚くが、「ヨイショヨイショ」は「要所要所」のことだった。
更に彼女は「ヨイショヨイショ」をまさに「要所要所」の意味で使っていたから、彼女としては違和感はないのだけれど、他人からしてみれば突然「ヨイショヨイショ」と言われても、理解はできなかったのだ。
生まれて30年、彼女はこれにて「要所要所」は「ヨイショヨイショ」ではないと知った。
 
大人になっても学ぶことは多くありすぎるし、長年一緒にいても友人の頭の中は底知れない。
 
正しい文法と言葉を正しく使うことは正しいことなのだが、人を笑顔にしたり、新しい価値観や驚きを与えたりすることを考えると、「言い間違い」も「読み間違い」もある種の「創造」なのではないか。
子どもの時に言えなかった単語も、大人になって誤りを直されていく。もちろんそれが正しいのだけれど、その人だけの頭の中でそのタイミングで偶然生まれた、なんと尊い言葉かと思えてくる。
 
彼女としては、今回の言い間違いは恥ずかしすぎた、と少し落ち込んでいたので、「ヨイショヨイショ」に私が手振りをつけてあげた。
両手の人差し指と親指をL字にして、「アゲアゲ↑↑」と同じイメージである。
今後も彼女には「ヨイショヨイショ↑↑」という気持ちで、要所要所で仕事を頑張ってほしいし、
私もこの言葉を使って(思い浮かべて)日々を明るく過ごしたい。
 
今後も「ヨイショヨイショ↑↑」確実に、丁寧に笑顔で生きていきたいと思います。
 
 
 
 
***
 
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2022-01-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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