カメラを持つと小さな幸せが増えたという話
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:庄司健人(ライティング・ゼミ12月コース)
あなたはカメラを持つ理由をどのように考えているでしょうか。旅行の思い出を残したい、一生残る記念にしたい。理由はそれぞれですが、大きく共通しているのは何かを「残す」「記録する」 といった考え方です。
これは当然の考えです。カメラはその瞬間を「記録する」 ために開発され、より綺麗に、より便利に保存できるようになっています。カメラ以外でも紙がPDFファイルとなりパソコンの中に保存されているなど、技術が発達するにつれて利便性のために使うことが増えてきます。そういう私もカメラを始めたきっかけは、旅行での楽しみを増やしたいからでした。
その視点が変わったタイミングは、カメラから写真に向き合うようになってからでした。何が変わったのかと言うと、今まではみんなが撮ってる有名な観光地や旅先での写真を撮ることに注力していました。いわゆる誰でも撮れる写真を撮っていたのです。その写真を自分で振り返っていた時に、これならスマホでも撮れるしわざわざカメラを使って撮る必要はないんじゃないかと思いました。そこで「自分にしか撮れない写真を撮りたい」 そう思いました。
自分にしか撮れない写真を撮りたいと思ってから、身の回りのものや出来事をよく観察するようになりました。いつも何も気にせず歩いている道、そこにあるけど入らないお店、小道に差し込む光の形などあげだすとキリがないです。こういった視点を持つようになると、日常に当たり前にあるものの小さな変化に気づくことができます。この小さな変化に気づき、その変化に目を向けると、不思議とシャッターを切りたくなります。それは何故か。今この時この場所にいるのは自分だけだからです。観光地の撮影と何が違うんだと言われるかもしれません。しかし、こういった自分の身の回りにあるものには、自身の思い入れや体験が付いています。
人と人のコミュニケーションには、接触回数が大事だという話があります。これは単純に交流の回数が増えるほど、相手のことをよく知り、親睦が深まるということです。付き合いが長い友人は必然的に仲が良くなり、お互いのことを気兼ねなく話すような関係になります。これは人と人の関係に限らず、人と物、人と場所に置き換えても同じなのではないかと私は感じています。
あなたの家から最寄り駅までの道を想像してみてください。主要な交通手段が電車であれば、会社に行く時も、友人と遊びに行く時もその道を通っているのです。その接触回数は数えきれない回数になっているかと思います。あなたは気づかない間にその道と数えきれないコミュニケーションを取っているのです。普段何気なく見ているその道も、通る時間帯や天気の影響で見せる顔は様々です。そういった普段触れているものの小さな変化に気づけると、小さな喜びが増えてきます。
友人と話していると、相手が喜んでいると自分も嬉しくなったり、逆に怒っていると自分も苛立ちを覚えることがあると思います。他人の出来事であったとしても、自分がそういう風に感じられるのは、親密度が高いことや無意識に自分ごとに捉えられていることがあると思います。あなたの友人の1人である家から駅までの道でも同じ感情を得ることができます。
人と同じように道にも表情があります。雨の日や夜の道からは少し気持ちが落ち込んだりすることがあるかもしれません。逆に朝日が差し込むその道からは、その日もまた頑張ろうとか何かいいことがあるかもといった前向きな感情が浮かんできます。日々のそういった変化に目を向けていくと、友人と関係が深まったような状態になります。関係値が深まってくるとこういった道の表情の変化が私に小さな幸せを与えてくれるのです。
最後に小さな幸せを見つけるポイントを1つお伝えしたいと思います。それは「光」 を見つけることです。カメラをしている人からすると光に着目するのはさほど意外ではないと思います。写真のシーン作りにおいて光という要素は切っても切り離せないくらい重要だからです。しかし、そうでない方からすると当たり前にあるだけで、見落とされているものです。ここに着目して欲しいのです。
光といっても種類はたくさんあります。朝日、夕焼けの柔らかい光や木々の間から差す木漏れ日など、着目してみてみると連想ゲームのように映画等でみたことあるような情景が浮かぶと思います。こういった光は自分の心にも安らぎを与えてくれたり、感情的な情景を思い出させてくれます。何気ない日常の中にもそういった小さな幸せが隠れています。私はそのことにカメラを持つことで気づくことができました。ぜひあなたもいつも素通りしているその道と改めて向き合ってみてはいかがでしょうか。
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