期間限定! 自信という名の相方
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:あべえみこ(ライティング・ライブ福岡会場)
「自信をつけたい!もっと自信を持ちたい!」こみ上げてくる熱さを意識しはじめたのは、衝撃のスピード離婚からメイクアッププロ養成校に通いはじめて1年が経とうとしていた頃だった。
もともと不器用なわたしは、養成校に通いはじめて1年近く経っても目に見える上達という手応えを感じられないまま、ただただ新しい知識が増えていくのが楽しくそして没頭できるものを見つけたことに満足している状態の日々を過ごしていた。
そんな日々の中でこみ上げてくる「自信をもちたい!」という熱い情熱のようなもの。わたしの内側からアクセスしてくる「自信への欲望」とやらに時には励まされ、またあるときには凹まされながら日中活動しているときのほとんどを「自信への欲望」と共に過ごすようになっていた。
あるころから同期入学の同志たちが早々と化粧品会社のアーティストに抜擢され卒業する前に就職していく。同じスタートラインだった同志たちに先を越されていく焦り?!
なんだ?このジリジリするような感覚は?なになに?
自分を探る。そしてポンと飛び出した「う、う、羨ましい!!」 我ながら驚いた。
いやいや待てよ!会社員という安全パイは最初から確保してある!
羨ましがる必要も焦る必要もどこにもないじゃないか?
「そもそも、趣味のつもりではじめたのだよ!」自分に投げかけてみる・・・・・・
なんだかゾワゾワする!
もともとOLをしながら趣味程度のつもりではじめたはずのメイクアッププロ養成校生活の中で、いつしか自分が真逆の方向を向きはじめていることに気づかされた。
自分でもよく分からない。「自信を持ちたい!」という声のみがやたらと内側から響いてくる。
「自信ってどうやったらつくの?」「・・・・・・」無言の相方に「自信」というそのままの名前をつけてみた。
わたしにその欲動をぶつけてくる「自信」という名の相方。
決して引っ付いてこない!が、離れもしない!近距離に居ながら掴めないものという感覚の相方。
どうやったら自信がつくのかなんて見当もつかない!
つけたい!と思ったところで「はい」とシールを貼るように付けられるようなものでもない。
モヤモヤとしながらも、とにかく今やれることに集中することにした。
そんなある日、生徒が自分の作品を発表する養成校のビックコンテストにエントリーすることになった。
そのコンテストは各々テーマを決め、ヘアー、メイクアップ、ファッションまでトータルで作品を作り上げていくというものだった。
コンテスト優勝者にはロサンゼルス旅行が贈られる。そして優勝~4位までが表彰されるという1年で最大のイベントだった。
わたしはエントリーすると同時にあらゆるファッション誌に目を通しながら、まずはテーマ決めからはじめた。
テーマが決まり着々と構想が固まりだす。そして衣装づくりからヘアーアレンジの練習までメイクアップ以外に費やす時間も大幅に増えていった。「ああでもない」「こうでもない」1度組み立てた構想を崩し、また組み立てる日々が続いた。
今考えると、この頃「自信」という名の相方は息をひそめていた。
作品づくりへ没頭し徐々にカタチがしっくりきだす。
そしてコンテスト当日。
約80名の生徒が一斉に作品を仕上げていく。もちろん仕上げていく過程も審査対象だ。
わたしは周りの声が耳に入らないほど集中した。
作品が仕上がった後はステージ上での第二次審査が行われる。
仕上がりの細部からトータルバランスまでのすべてが審査対象だった。
すべての審査が終わり結果発表のとき。
そのとき正直わたしは「やりつくした感」満載で何とも言えない満足感を一人味わっていた。
表彰されようが、されまいがこの満足感を味わえただけで参加した意義が充分にあったのだ。
わたしの一人満足感をよそにステージでは表彰者発表がはじまった。
まずは第4位の発表・・・・・・呼ばれたのはよく知っている同志だった
「おめでとう!」拍手とともに彼女がステージに上っていく。
つづいて第3位の発表・・・・・・拍手とともに呼ばれた名前は・・・・・・わたしだ!
「マジで?!」驚きを隠せないままステージに上がった。
はじめて見る景色「なんとも気持ちいい!!」わたしの内側が晴れやかな黄色で埋め尽くされていく感じがした。そのとき久々の相方登場を感じた。それは以前の登場とはまるで違う感覚だった。ジワッとこみ上げてくる嬉しさを共に味わい喜んでいる。
生まれてはじめてピタッと引っ付かれた感じがした。
「やったね!これこれ!」とでも言いたげな相方の感触だった。
わたしにピタッと引っ付いた「自信」という名の相方はそれからというもの、
もはや相方とは言えないほどわたしに同化していった。
自信を欲するカタチで現れたもう一人のわたし(相方)に突き動かされ躍進するきっかけを得た22年前の忘れ難い青春の1ページでした。
***
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