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私(茨城の田舎者)の渋谷の歩き方


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記事:内野真紀(ライティング・ゼミNEO)
 
 
「そんなに上を見上げていたら、田舎者だってバレるよ」
高校生だった頃、珍しく東京で遊んだ時に隣を歩く友人が言った。
 
確かに私は上を見上げていた。
東京のキラキラした夜景や高層ビルの一つ一つが新鮮で「この夜景をどうしてみんな見ようとしないの?」ともったいなく感じたし、「どこまで続いているんだろう?」とビルのてっぺんが気になった。
 
こういう考えが、もう田舎者。
キョロキョロしていたら、田舎者だ。
 
そのときは「別にバレてもいいじゃん」と返事をしたものの、あれから東京を歩くたびにその言葉を思い出すのだから若干引きずっている気がする。
 
でもしょうがない。私は確かに田舎者なのだ。
幼稚園から大学まで茨城で過ごしてきた。
茨城の中の蛙、大海を知らず。
 
 
 
そんな私だが、4月から渋谷で一人暮らしを始めることになった。
「いかにも都会」な街で生活してみると、これまでの生活とのギャップに驚くことはもちろん多い。
 
でも一番驚いているのは、東京の「見て見ぬふり精神」だ。
東京が「ドライ」だと言われるのはこのためなのだろう。
 
例えば……
ある日、駅の改札を出たところで男性がうずくまっていた。
そこには「3日間何も食べていません。助けてください」と書かれたスケッチブックが置いてある。
 
それを見て私は「何をしてあげればいいのだろう」と考えながら目が離せなかった。
しかし隣を歩いていた東京っ子の従姉妹も、その他周りの大勢も、見て見ぬふりを貫いている。
 
「そうか、東京にはいろんな危ない人がいるから、知らない人とは極力関わらない方がいいのか」と一人静かに学び、東京の人らしく私も素通りした。
 
 
でもこれは結構後悔している。
うずくまった男性がただお金をもらうために嘘をついていたという可能性も確かにあるのだが、何もせず素通りしてしまったことは今でも申し訳なくて忘れられない。
 
どうするのが正しいのか今でもわからないが、「東京って厳しい……」と思うと同時に、「茨城って優しかったんだな」と気づいた。
 
茨城だったらこんな人が放っておかれないだろうに……。
 
 
 
もしかしたら茨城だと「身内判定」が緩いのかもしれない。
だとすれば、人に優しいというのも納得がいく。
身内が困っているのを見つけたら、誰だって「見て見ぬふり」をすることはできないだろうから。
 
 
例えば同じ店じゃなくても、同じビルで働いている人はなんとなく「身内」として挨拶するし、世間話もするし、困っていたら助けてあげる。
これが茨城。
 
でも渋谷では同じビル内でも挨拶すらしないから驚いた。
 
先日、私が勤務しているビルで他の店舗のスタッフが入館できず困っているときに、「こうしたらうまくいきますよ」と声をかけたら、その人がすごくびっくりして「優しい人!」と言った。
それで私もびっくり。「これくらいで『優しい』んですか……?」
 
逆に私が困っている時、誰も助けてくれないのかな……と思うとゾッとするが、どうなのだろう。助けてくれるだろうか。
 
 
「見て見ぬふり」をした方が楽というのはわからなくもない。
渋谷は人口が多いし色んな人がいるから、全ての人に丁寧に対応してはいられないのだろう。
 
「見えていません」「聞こえません」と言った方が面倒なことに巻き込まれずに済むし、なんならそう言わなくても態度で示せば良い。
 
 
 
最近気づいたのは、東京の若い人がだいたい同じ歩き方をしているということ。
 
「なんか東京の人っぽいな」と思う人は、イヤフォンをつけて、片手でスマホを見ながらもう片方の手はポケットに突っ込んで、大股でゆっくり歩くのだ。
 
しかもそのスマホの持ち方も、右でもなく左でもなく、体の正面にスマホを据え、顔が俯かないように目線に近いところでスマホを持つ。
 
なるほど。
こうしていれば周りに気をつけながら不都合なことをうまくすり抜ける事ができるのだろう。
 
ということでちょっと真似してみた。
 
これで少しは洗練されて見えるかな?
 
でもやっぱりちょっとよそよそしい。
 
これだと私と周りの環境が完全に別の世界みたいになっている。
 
困った人がいても、誰かに声をかけられても、芸能人とすれ違っても、面白いお店がそこにあっても、夜景が綺麗でも、ビルがどれだけ圧倒的でも、気づく事ができないかもしれない。
 
なんだかそれこそ井の中の蛙みたいだ。
 
そんなことでは勿体無い。
渋谷という大海に解放された今、この大海原を思う存分味わいたいと私は思う。
 
まわりを見渡し、耳を澄ませて、刺激をいっぱい受け、心を震わせたい。
 
それで田舎者だとバレたって、別に構わない。
 
笑うなら笑え!
私は渋谷を泳ぐ茨城の蛙だ!
 
 
 
 
***
 
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2022-04-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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