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国際比較文化論 保育園落ちた、ローマ行く!


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記事:Mizuho Yamamoto(ライティング・ゼミ)

「日本生まれのこの子だから、日本の保育園
に、入れようかと思って!」

真っ青な瞳のキュートな赤ちゃんを抱いて、
私の英会話の先生は言った。そもそも、プロ
ジェクトマネージャーとしてNYで活躍して
いた彼女は、PCさえあればどこでも仕事が
できるので、日本に来ても産休2か月での、
会社に催促されての復帰だった。数回の流産
を乗り越えての高齢のリスクの高い出産で、
出産2か月前から極東一大きな沖縄の米軍病
院に入院してやっと手にした我が子。

仕事を辞めて、育児に専念したくても、会社
が手放さないし、米軍勤務のドイツ系アメリ
カ人の夫も、きみの今の仕事を手放すのは惜
しいから、この時期を一緒に乗り切ろう!
と。
ところが日本に来ると米軍までが日本に毒さ
れて、朝6時から夜9時まで帰ってくること
ができない忙しさの夫。結局、慣れない育児
と仕事と(在宅の寝る暇もない状況での仕事)
ほとほと疲れ切った彼女。ベビーシッターも
なかなか見つからず、言葉の壁が邪魔をして
日本人の雇用は難しく、やっと見つかった米
軍の奥さんシッターは3か月でアメリカに異
動に。

「私、気づいたのよ。うちの子は沖縄生まれ
でアジアが大好き。アメリカに旅行した時も
アメリカ人には愛想よくないけど、アジア人
が声をかけてくれると、ご機嫌で。やっぱり
アジアが好きみたいで。だから日本の保育園
に入れようと思って」

基地の街佐世保では、保育園にも幼稚園にも
小学校にも、米海軍の軍人の子どもたちが通
っているのが普通の光景だ。両親は日本語を
話せないが、子どもは流ちょうに日本語を操
るというのも珍しくない。

「うまく保育園で預かってくれるといいね」

「日本では、保育園に入るのは大変だと聞い
ているけど、近所の赤ちゃんも預かってもら
ってるからきっと大丈夫だわ。週3日の半日
でもいいから、仕事を集中してやりたいの。
やんちゃな娘から目が離せなくて、ちょっと
目を話すとこの前はクモを食べてたし、コン
セントにものを突っ込もうとするし」

やっと7か月なのに歩こうとするし、何でも
よく食べるし、確かに日本の赤ちゃんとは違
う! なんせ生後1週間ちょっとでビーチに
もお出かけするくらいだから
(参照https://tenro-in.com/mediagp/16683)

そしてやたら可愛くて、アーケードを一緒に
歩こうものならあちこちから、

「可愛い!」

「抱っこさせてもらえますか?」

引っ張りだこになってしまうのだった。

我が家でのワインパーティの当日、彼女から
参加できなくなったとのメールが届いた。あ
んなに楽しみにしていたのにと、よく読むと

「先週、お願いに行ったけど保育園落ちた、
ローマに行く!」

とあった。ポーランド人の彼女は、ローマに
妹がいて去年日本に来た時に妊娠中で動けな
い彼女の代わりに、私が妹とその息子の3人
で、長崎市内への1泊旅行ツアーをしたのだ
った。今度はローマを案内したいから、いつ
来るの? とずっと言われている私。

夏休みで、中学生の甥っ子もうちにいるから
ベビシッターの戦力になるわと彼女。1か月
滞在して、その後の1か月はポーランドの両
親のところへ行くという。PCさえあればど
こでもできる仕事はときに不便であり、とき
にはものすごく便利なのであった。

「保育園落ちた、日本死ね」のお母さんは、
今頃どうしているのだろうとふと思った。
赤ちゃんの預け先がなければ、せっかくのキ
ャリアを積んだ仕事を失い、子どもが大きく
なった時には、復職先がないのが現実の女性
の状況。

それは、日本人も、アメリカ人も、ポーラン
ド人も変わらない共通の悩みなのだ。

とりあえず、目の前の2か月をローマとポー
ランドで凌ごうとする彼女は、世界中の同じ
悩みを抱えたお母さんの姿でもある。
子育てか仕事か? 二者択一で決められるよ
うな単純な問題ではない。子育ての方が、仕
事よりはるかに早く終わりを告げる。どちら
もやりたいというのは、わがままではなく、
人間として当然のことなのだ。

35年間休まず続けてきた仕事を一昨年退い
た私にも、子育ての時期はあった。しかし運
よく素敵な「保育ママ」と巡り合い、二人の
息子たちを安心して預けられたし、実家の母
の協力もあって、息子たちが小学校から帰っ
てきても、学童保育がなくても困らなかった。
離島転勤を命じられ、小3と小6の息子たち
を連れての逆単身赴任では、島の人たちが助
けてくれた。

いろんな人たちの助けがあって、仕事と子育
ての両立ができた人生は、仕事をあきらめな
かったことで辛いことはたくさんあったけど
、楽しくもあった。

どちらかを選ぶ人生もありだと思うが、両方
を望む女性が普通に生きられる世の中になっ
て欲しいとつくづく思う。

保育園を落ちたことが、この世の終わりとな
らないためにも…… 。

保育園落ちた、ローマ行く!

来世で子育てをすることがあったら、そして
そのときやっぱりニッポンの状況が変わって
いなかったら、言ってみたいし実行したいと
思っている。

 

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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2016-07-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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