『「推せるスプレッド」でZINEを作ろう』のイベントを開催してみた
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:なつき(ライティング・ゼミNEO)
見事に誰もいない。正確には夫が一人。それも数日前に頼み込んでお情けで来てもらったような状態だ。それでも一人でもいるのだからと中止にはせずに開催することにした。
数か月前に遡るが、私は天狼院でイベントを行いたいと思い企画した。天狼院とは全国に10店舗ある本屋で、カフェが併設されている店舗もある。その店舗を時間レンタルすることができるという話を聞きやってみたいと思った。池袋にあるカフェが併設されている店舗を選びどんなイベントがいいか考えた。何かしらやってみたいけどアイディアが出ない。カフェが併設されているのだからカフェを活かせるものにしたい。
そこで、参加者で持ち寄ったスプレッドを乗せたオープンサンドを食べつつ、ZINEも作れるイベントを考えた。題して『「推せるスプレッド」でZINEを作ろう』。ZINEとはジンと読み、内容・形・作成方法などすべてが自由な小冊子のことで、参加したみんなで1冊のZINEを一緒に作れたら楽しいのではないかと思った。食べるのみのイベントも楽しいだろうけど、せっかくならこの日に集まった方々との記念になるような事を提供したい。
とはいえ、イベントは数えるほどしかやったことがない。自分主催の食事会はあれど、一緒に物を作るといったワークショップ的なことはしたことがない。私にできるのだろうかと不安になった。でもそれでも今回はやりたかった。今回はというのは、今までも企画は考えつつも実行に移す段階になると尻込みをしてしまっていたからだ。私がやったってうまくいくわけがないと後ろ向きな気持ちになる。そうなると実行に移せなくなる。それが嫌だった。いい加減そんな自分を変えたかったし、みんなで楽しむ光景もイメージもできるし実行したかった。
どんな構成にしようか考えた。必要なことを洗い出して並べ、組み立てた。告知文を考えて募集した。そして当日を迎えた。この時点で参加希望は夫だけ。告知文がわかりにくかったのか、単純に興味の持てないものだったのか。考えても、一人しかいないものはいない。これが現実。夫だけに向けてイベントを開催するのもどうかと思ったけど、人前で話す機会を逃したくなかった。夫とは言え参加者には換算できる。たった一人の参加者に向けて行うことに決めた。
もしかしたら時間ギリギリに誰か来てくれるかもしれないという淡い思いもあったのかもしれない。時間になった。でも見事に誰もいなくて、夫一人きり。その夫に向かってイベントを始めた。枠は2時間、この時間を大切に使おう。用意した資料を配り、話を始める。ZINEを作りの流れなど一通りの話を終えた。思ったよりスラスラ楽しく話せた。書いてきた文面を確認しながらだったり、たまに引っかかった部分はあれど上出来だったと思う。ここまでは良かった。問題はこの後だった。
ワークショップが始まり、ZINEを作るためのコンテンツとして用意したオープンサンドの写真を撮ったり、食べて感想をメモするなどを行う。段取りがあまりうまくいかず、その場対応に追われることになった。さらにその後にも、今後の話などをしながら必要なことが抜けていたことに気がついたりと散々な結果になった。人前で長時間話すことがこんなに大変なことなのかと思い知った。
開催してみると課題がたくさんあることが判明した。そして何より改善の必要を感じたのは私の持久力。開催中の気力が前半しかもたず、後半の話の最中にかなり疲労し、きちんと話せていなかった。人前で1時間以上話すのは体力が要ることを知った。
かなりの疲労感を伴ったのに面白かった。また開催したいと思っている自分がいる。この疲労感は開催してみたからこそ感じられるものだ。尻込みして実行しなかった今までの自分の時は味わえなかった気持ちのいい疲労感だ。ここまで気持ちがいいとは思わなかった。こんなに達成感があるとは思わなかった。参加者が一人だけであってもイベントを開催したことが、私にもできるとの自信に繋がったのかもしれない。物事がまだ存在しない0の状態からそれを生み出して1の状態にすることは、時には1から10の状態にするよりもずっと勇気と気力が要る。なかなかイチにできなかったことを今回はやり遂げたのだ。
これは私にとって一歩前進を意味する。課題が分かったことも大きな収穫だった。
次回開催までに課題を克服して、もっと楽しいものにするぞ、そう心に決めた。
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