類は友を呼ぶ……なのか?
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:田原亜美(ライティング・ゼミ6月コース)
突然現れたイケメン。「何こいつ!? 大っ嫌い!」そう思っていたのに……!!
少女漫画であるあるな恋の模様。そんなのありえないと思っていたのに、ヒロインさながらの体験をしてしまった。
ただ、残念ながらお相手は同性の女の子。友情でのお話だ。
3年前の秋。転勤先の札幌で”彼女”にであった。
彼女の第一印象は、”学生ヒエラルキー上位のリーダー”だった。
目鼻立ちのはっきりした顔は自信に満ちあふれていて、東京本社から札幌支店にやってきた3つ年上の私にも積極的に声をかけてくれた。
はっきり言って、苦手なタイプだ。
「交友関係は狭く深く」と31年間、生きてきた私。
幼稚園から大学まで国立で、ちょっと保守的な、まあそれなりの家庭の子に囲まれて育ったからか、バカをしたり羽目を外すということもなく生きてきた。
周りも当然そういう子が多かったし、友達というのはそういうものだと思うが、仲良くなる子は特に自分と同じようなタイプの子だった。そしてそんな少数の友達だけいればいいというスタンスで生きてきた。
大人になった今でもそれは変わらず、大人数で集まることは苦痛でしかない。
なので彼女から
「札幌支店へようこそ! 今度、歓迎会をやりますので、いらしてください!」
とお誘いを受けた時は、
(気持ちは嬉しいんだけど、なんとかして断る理由を探さないと。)
と思っていた。
歓迎会当日。15名ほど集まってくれた札幌支店の若手の結束感に、
(今後はこういう飲み会に行かなければならないのか……。すごく苦手な風土だ……。)
と、本社にいた頃のドライな付き合いを懐かしんでいた。
そういう浮かない気持ちが顔に出ているのを知ってか知らずか、彼女は私を「次は○○さんとそのお友達のグループ」「次は女子だけで」としょっちゅう飲み会に誘ってくれる。
やはり彼女は「みんなでワイワイ!」が大好きな人種なようだ。
やはり苦手だ。
しかし、その気持ちはありがたく、無下にできない。彼女から誘われるがままに出歩いた。
社会人となると友達ができる機会は少なくなるが、否応なしに人間関係を持たなくてはならない機会は多くなる。別に話さなくても仕事はできるけど、同世代が少ないとか、女性が少ないとかで、なんとなく一緒にいなきゃいけない雰囲気があったり。そんな人間関係が増えていくように思える。
(彼女もそんな人間関係の一人なんだから。)
と半ば自分に言い聞かせては、少し苦手な飲み会に参加していた。
ここで普通であれば、彼女とはつかず離れずで、”社会人らしい”人間関係になっていただろう。
しかし、私にとっては彼女は普通ではなかった。
初めて会う”新人類”であった。
一緒にいる時間が増えるごとに、今まで触れてこなかったタイプだと実感することが増えていった。
お酒(彼女風に言えば、酒)をよく飲み、酔って大声をだし、シラフであればスマホゲームに万単位で課金。口癖は「金がない」。ファッションが大好きで、まず私は手に取らないような、上級者向けアイテムに身を包む。
(まず、お酒をあれだけ飲むというところがありえないな。)
と引いてしまうことも続いた。
(慕ってくれるのはありがたいけど、全然生きてきた環境が違いそうなんだよな……。)
そんな風にさえ思っていた。
そう思っていたはずなのに、それから3年……。
なぜか彼女は大親友になっていた。”つかず離れず”どころか、”つくために頑張る”という関係になっていた。
この3年で、私たちの価値観が似てきたかといえば、全くそうではない。
桃鉄で遊べば、
「あ、手持ちの金でこの物件買えるな。これもこれも買っちゃおう〜」
と彼女は、持っているお金を全て注ぎ込んで物件を押さえていく。対して私は
「いくら儲かる物件か試算するから待ってね」
といちいちケータイで計算。
「もう! 金は持っているんだから早く買ってくださいよ!」と怒られる始末だ。
そして相変わらず、お酒を大量に飲む。ついていけない。
いまだに金銭感覚のずれだったり、言葉遣いの違いで、びっくりすることもしばしばある。
でも、そんなだからこそ
「このイベントに来て、そういう過ごし方するんだ!」
「絶対嫌って思ってたけど、やってみたら楽しかった」
「まあ、人それぞれいろんな考え方があるもんだね」
と発見の連続で、楽しい。彼女と一緒にいると自分がキラキラと活性化したように思えるのだ。
彼女と出会って初めて、自分とは全然違う友達ができた。新しい考え方やコトに気づかせてくれて楽しいし、そうやって自分自身の人としての幅が広がってきたことも嬉しく思える。
ちょっとここで友達について考えてみる。
学生の頃は、ずーっと一緒に友達と過ごしていた。だから、同じような考えを持ち、阿吽の呼吸のように安心感のある友達が心地よかった。
でも、社会人になると友達と一緒にいれるわけではない。せいぜい1週間に1回会える程度だろう。だから、ばっちり感覚があう人も楽しいけど、学生の時では到底合わなかったような別グループの人と話しても、いい関係がつくれる。
むしろ、たまにしか合わないから、そんな”違う方向を見ているけど、なんか会う人”との時間が楽しいと思えるようになったのではないだろうか。
そう考えると、逆に社会人って友達が作りやすいと気づく。自分と違う価値観の人は、世にたくさんいるのだから。
”「もー!この人なんなの!?」そう思っていたのに……!!”なヒロインを、これからも何度も体験するつもりだ。
***
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