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「それなりの人」こそ、結婚披露宴をしないと損をする。


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記事:YO-DA(ライティング・ゼミ)

30年ほど前、私はあるシティホテルの婚礼予約係だった。
ある日、私が宴会ロビーでアテンドしていると、遠くのほうから腕を組んだ若いカップルが、ずんずん、ずんずんと近づいてきた。
そして、女性の方から、歩きながら軽く声をかけられた。

「山中さーん。こんにちはー。また、来ちゃったー」
「えっ、またって、・・・・・・、あ、確か、あ、あなたは、昨年の秋に結婚された・・・・・・」

そのとき、私はホテルマンになって2年目だった。
ホテルマンになる前、私は、国鉄職員として駅に勤務していた。
当時、国鉄は民営分割を目前に、余剰人員対策の一環として出向制度を開始していたのだ。
多くの国鉄職員が、基本的には本人の希望にもとづいて、官公庁をはじめ、国鉄が出資していた関連企業等へ出向した。なかには、仕方なく出向した人がいるかも知れない。
しかし、私は心から希望してホテルマンへの道を志願した。大学浪人のとき、コーヒーショップや宴会場でアルバイトをした経験もあり、華やかなホテルの仕事が好きだったのだ。

当時の国鉄は世間からサービスが悪いと言われていたこともあって、特にわれわれ出向社員に対する指導は厳しかった。姿勢や立ち振る舞い、言葉遣い、身だしなみはもちろん、ホテルマンとしての基礎知識から実践的なノウハウまで、プロのホテルマンである先輩や上司から毎日厳しい指導を受け、また、いろいろなセールストークも教わった。

「どなた様でも、一生に3度は必ず主人公になれる日があるといわれています。1度目は、この世におぎゃあと生まれた日、つまり誕生した日ですね。そして3度目は、あの世へ旅立つとき、つまりお葬式の日です。では、2度目は何だと思われますか?そう、結婚披露宴の当日です」
「でも、誕生した日も、お葬式の日も、あなたが主人公だよって言われたって、本人は自覚できないですよね。だから、結婚披露宴は大事なのです。どなたでも、必ず主人公になれると約束されていて、それを本人が自覚できる日、それが結婚披露宴の当日です。特に、ご新婦様は、絶対的な主人公、ヒロインになれます」

このせりふは、接客中によく使った。仕事以外でも、何度も人に話した記憶がある。
なにしろ説得力がある。映画俳優やプロのスター選手ならいざ知らず、一般ピープルにとっては、絶対的な主人公になれる場面はそうそうないだろう。

特に、ご新婦様(ホテルでは「花嫁」とは言わない)は、誰でも(つまり、女優のような美人でもなく、ファッションモデルのようなスタイルでもない「それなりの人」)ヒロインになれる日、それが結婚披露宴の当日なのだ。

確かに、披露宴当日は、ご新婦様中心に全てのことが進められていく。
特に、お支度からお引き上げまで、一日中ご新婦様のお側につきっきりでお世話をする担当者である「介添え」の気の遣い方は尋常ではなかった。
特に、当時は紫色の和服を着た、清楚な、品のいい中年の女性が担当していたこともあって、印象としては、まるで時代劇でお姫様のお世話をする「お女中」のような感じだった。
今では、黒のパンツスーツに身を包んだ、ウェディングプランナーやアテンダーといった専門職が、きびきびとしかもスマートに対応していると思うが、ご新婦様を「ヒロイン」としていかに引き立てるのかに集中して仕事をしているに違いない。

そうそう、ご新郎様(ホテルでは「花婿」とは言わない)についても、触れておかなければならない。
当然のことだが、結婚披露宴とは、ご新郎様とご新婦様のご結婚を披露する祝賀会である。
ご新郎様とご新婦様が揃っていなければ成り立たない。
しかし、当日のご新郎様になると痛感すると思うが、ご新郎様は誰からもほとんどかまってもらえない。もちろん「介添え」は付かないし、(特別に頼めば別かも知れないが)メイクやヘアセットもしてもらえない。参加者の多くがカメラ撮影する対象はご新婦様中心だ。
「花婿は、刺身のツマのようなものだ」とは、よく言ったものだと思う。ホテルマンとしては言ってはいけないが・・・・・・。

私は、新米の婚礼予約係ではあったが、この田中様のために、一生に一度の大切な日を思い出深い、すばらしい日にしていただこうと思い、お客様のご要望にできる限りお応えするよう、調理部をはじめとするホテルの各セクションや協力会社にも少し無理を言いながら一生懸命手配をし、自らもサービスに努めたつもりであった。
その田中様が、1年後にひょっこり、ご来館されたのである。

「そう、去年の10月にお世話になった田中よ。山中さん、今度も担当してくれる?」
「え、は、は、はい、もちろん、はい、喜んで。でも、あの、えーっと、・・・・・・」
「大丈夫、大丈夫。全部話してあるから。えー、紹介します、この人が今度の佐々木さん」
「・・・・・・」

「目が点になる」というはこのことだ。きっと、口もぽかんと開いていただろう。
さすがに、「今度の」って言われたときには絶句した。
しかし、「今度のご新郎」に対し、いったいどんな顔をすればいいのか・・・・・・。

やっぱり、ご新婦様にとって、きっと結婚披露宴は非常に心地よいステージなのだ。
これは、やはりホテルマン冥利に尽きると言うべきなのだろう。
でも、今度のご新郎様と末永くお幸せに!(ご新婦様としては、もう二度と来ないでください)
***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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2016-10-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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