ふるさとグランプリ

旅をすることはダイエットに繋がる《ふるさとグランプリ》


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記事:かのこ(ライティング・ゼミ)

鏡を見て愕然とした。
なんだこの憎たらしい贅肉は。
運動不足、不摂生……振り返ってみれば色々と思いあたる節はあるのだが、それ以外にもひとつ、私には思い当たる節があった。

そうか、最近ひとり旅をしていないな。

最初にひとり旅をしたのは、いつの事だっただろう。
大学入学とともに東京に出てきた私は、帰省の際には一人で新幹線や電車に乗って、最寄り駅まで両親に迎えにきてもらっていた。
なので、いまでも一人で新幹線に乗る時間は結構好きで、物思いにふけったり、読書したり、貴重な時間のひとつで、新幹線に乗りたいばっかりに旅行を計画したりもする。
でも、大学生の頃は、毎日に夢中で、あまり一人になりたいと思うこともなく、旅と言えば誰かに連れて行って貰うことが多かった。

ひとり旅の回数が増えたのは、多分社会人になってからだ。
平日休みの仕事に就いている人が多いこともあり、私の周りにはひとり旅をする友人も多い。話を聞いてみると、人と休みが合わないから、という理由が最も多いものの、人と会話する機会がとても多いので、無差別に入ってきた情報を整理したり、思考をクリアにする為に、ひとりの時間を設けて旅に出る人が多いように思う。

ダイエットに効く旅をしたかったら、なるべく一人で、出来るだけ行ったことのない所がいい、と私は思っている。そういう意味で、一番鮮明に覚えているのが、広島に行った時のことだ。

向こうで知人と合流し、夕食を食べたり、宮島を巡ったりしたので、完全なひとり旅ではないが、自由行動の2日めは、尾道に行くことにした。
尾道は、海の街であり、眺望の良い坂の街であり、映画の街であり、猫の街だ。
最近は猫ブームや島ブームなんかも手伝って、若者にも人気の観光地となっているらしい。
私も前日にホテルのベッドの中で観光案内を読みふけり、広島に行くときにはこれを! と決めていた本を片手に、広島市内から約1時間在来線に揺られ、尾道駅に降り立つ頃にはすっかり好奇心の権化のようになっていた。

尾道ラーメンも食べてみたかったし、猫とも遊びたかったし、
志賀直哉の暗夜行路に出てくる、千光寺にも行ってみたかった。
わくわくする思いを全身から漂わせながら、海沿いの道を歩きだした。

しかし、始めに訪れた映画資料館で、その予定は完全に崩れた。
尾道映画資料館は、他の有名な場所に比べればとても小さな観光スポットだ。
普通に回れば、30分も掛からないだろう。
私も、まずここを見て、それから山側のメインスポットに行けば時間を有効に使えるだろう、という思いで入口に足を踏み入れた。

……それは私が映画に詳しくないからだったのしれないが。
ここで見たものはとても新鮮な風景だった。
私の生まれる前の日本には、こんな素敵な風景が広がっていたんだ――
上映されているモノクロ映画や、資料などを観て、小津安二郎の世界にすっかり魅了されてしまい、飲まず食わずで気付けば3時間もそこに居た。

資料館を出る頃にはすっかり太陽が昇っていて、急いで他の行きたい場所を巡り、市内へ戻った。
市内へ戻る電車は少し混んでいて、隅の席にちょこんと座って、今日一日の事を静かに反芻していた。
尾道ラーメンは食べられなかったけど、私の心はとても満たされていた。

旅に出ると感覚がだんだんと狂ってくる。
時間とか、予期せぬ出会いとか、自分の力ではどうにもならない事が多くて、普段のああしなければとか、こうなりたいとかいった自分の意識が徐々に薄れていく。行動を誰かに合わせる、ということが無い分、ひとりの方がその感覚はより研ぎ澄まされていく。

東京の街は多分、とても親切だ。
一人で気兼ねなく行けるおしゃれな飲食店がどこにでもあるし、
自分の足で歩かなくても、電車やタクシーがひっきりなしに行き交い、目的地に連れて行ってくれる。やりたいことは自分次第で何でも出来るし、時間も手間も省いて、かなり効率のいい日々を送れる。

でも、私はときには旅に出て、回り道をして、初めて食べるものや景色に感動したりする時間を持ちたい。
それに、旅先で食べるものは、普段食べているものだったとしても不思議と身体に沁みるし、ひとつひとつがとても美味しく感じる。お風呂あがりに旅館のおじさんが出してくれたミカンだとか、散歩のお供に買ったコーヒースタンドのカフェラテとか。

ダイエットは自分の意思さえあればどこに居たって出来るけれど、
この自分の感覚をリセットして、栄養を与えてあげるダイエット方法は結構おすすめだ。
日常生活で乾ききった身体と心を満たして潤してあげることが、その後の日々に繋がっていくと思う。

最近姿を見せていなかったコロコロローラーを手に取りながら、
次はどこに行こうかなぁ、と旅行ガイドをぱらりとめくった。

***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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