大きく自分の意識が変わったこと
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:岡 英子(ライティング・ゼミ10月コース)
結婚14年目、子なしで友人も多くない私の誕生日、毎年一緒に祝ってくれるのは、ほぼ旦那だけ。結婚して数年間はバースデーカードをもらったり、旅行に行ったり、プレゼントをもらったり、心のこもった誕生日を過ごさせてもらった。とても楽しい恵まれた時間だった。
が、しかし私の誕生日は4年前から激変した。
旦那はもともと記念日に興味がない人である。それなのに誕生日は私を楽しませようとして一生懸命考えてくれたのに私は次第にわがままになっていった。今年はどんな誕生日になるかと期待が膨らんでいくのだが、5、6年を過ぎると旦那のアクションは徐々に減り、とうとう誕生日も日常と変わらない1日へと姿を変えていったのである。ひどい時は私から声をかけなければ、ケーキすらも出て来ない。私は勝手にすねて、機嫌を悪くして、察してほしいオーラ全開で過ごした年が数年か続いた。
10年目の誕生日、旦那は仕事で夜勤に入ることが随分前から決まっていた。私は結婚するまで実家を出たことがなかったので、彼や友人がいなくても家族はいて一緒に誕生日を過ごしてきた。
それが、今回初めて一人で過ごすことに私の心は穏やかではなかった。友達に声をかけてご飯に行こうか悩んだが決め手に欠ける。そんなもやもやした状態が続いていた時に、ふとTVでB’zの特番を目にした。学生時代によく音楽を聞いていた中の1組で、まさに私の青春に切り離せないアーティスト。もともと5年に1度、ベストアルバムの曲だけでライブを行っているそうだが、その年がまさに今回だという情報を私は得た。
一気に興味をもち、チケットを買える日はないかと検索するとなんと自分の誕生日に名古屋でのライブがあることを知った。私の心はすぐ固まった。当時、仲の良かった友達に連絡してライブへ誘った。仕事の旦那を置いて、自分の誕生日に1泊して友人と名古屋まで行くことに罪悪感がなかったわけではない。でも、旦那に気を遣って我慢してもイライラと寂しさがこみ上げてくることはハッキリしていた。私は思い切って旦那に話をして、誕生日に名古屋へ向かった。
ライブは全部知っている曲が流れ、音楽とともに学生時代の思い出も蘇った、最高な時間だった。その後は、居酒屋で友人と過ごし誕生日を終えたのであった。
そして私はこの年を機に大変革を起こした。毎年誰かに祝ってもらいたくて、実は「クレクレ星人」になって待っていた。祝ってもらうのが当たり前と思っているイヤな奴だった。気に入らなければ機嫌が悪くなる、しょうもない奴だった。
だけど私は変わった。誕生日は自分から行動を起こしていい。自分自身をお祝いしていい。誰も待たず、一人で楽しんでいい。自分で自分を幸せにしていい! と学んだのだ。
翌年から私は誰にも期待しなくなった。一人で1ヶ月前から誕生日プランを考えるようになった。誕生日に仕事なんかしていられない、有給を出してしまおう。ちょっとおしゃれして、新宿まで足を運び自分にプレゼントを買おう。ランチも奮発して美味しいお店に行ってみよう。帰りはデパートで一目惚れしたケーキを買って帰ろう。もちろん夜ご飯も作らない、食べたいお惣菜を買って帰ろう。そんなことを考えながら当日を迎える。残念ながらコロナ禍で行きたかったお店は営業していなかった、新宿まで行ったけどランチは奮発できなかった。計画に甘さもあり結局、食べたいケーキを買って帰ることしかできなかった。だけど私は大満足して家に帰る。その夜は旦那と二人でケーキと惣菜を食べた。
昨年の失敗を取り戻そうと意気込んだ今年の誕生日。同じく有給を出して、夢中になっているサウナに足を運ぶ。少し前から注目されている予約制ソロサウナ。個室でゆっくり好きな音楽を聞きながら一人過ごす。もう誕生日に誰かと過ごすなんて思わなくなった。一人でどこまで楽しめるか、自分で自分を幸せにするには何があるか。そんなことしか考えられなくなった。
そして不思議なことも起こった。日常になっていた私の誕生日が近くなると旦那がケーキを買おうとか、夜ご飯はどうするとか、再びアクションを起こし始めた。期待していないのに、お祝いしてくれるようになった。今年に至っては、誕生日の前後の週末に好きなものを食べて、好きなところに行って、何買ってもいいよ。と言い出した。私は言葉に甘えて、大胆に希望を出して幸せな誕生日週を過ごさせてもらった。当日は、自分でもたくさんお金を使ったのに気にしなかった。
人に期待しないって素晴らしい。こんなにも自分が変わることができて、人の感覚まで変えることができるのか。何も気にしなくなった分、人の見方が変わっただけかもしれないが随分自分に余裕を持つことができた。
私は来年も再来年も自分で自分を幸せにする。毎年パワーアップして自分を喜ばせ続けるに違いないだろう。
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