メディアグランプリ

ゆりかごから神戸まで


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:大森ちはる(ライティング・ゼミ)

 

秋は釣り。カワハギがかかればさらなり。
先週土曜日の晩ごはんは、カワハギのちり鍋だった。
夫が淡路島で、大小合わせて10匹ほど釣ってきたのだ。
我が家では、10月下旬から11月にかけてが釣りのシーズンである。
暑すぎず寒すぎもしない気候と、お昼過ぎに赴いてもカワハギがよく釣れるのが、その理由。
カワハギ釣りは、わたしのような「魚釣りをしてみたい。でも捌けない」のジレンマに苛む人にうってつけだ。

まず、釣り方がお手軽。
釣糸の先端におもりと仕掛け(針)とエサを付けて、釣り場の整備された岸壁から海に向かって竿を投げる。
魚がエサ(の付いた針)に食らいついた振動がブルブルッと竿に伝わってきたら、リールをぐるぐる巻く。
いわゆる「ちょい投げ釣り」である。
船に乗ったり、足元の悪い岩場に行ったりしなくていい。
柵のある岸壁を選べば、子ども連れのレジャーにちょうどいい。

次に、下処理が簡単。
カワハギには、ウロコがない。
名前のとおり、皮をメリメリッと手で剥げるのだ。
大きさも大人の手のひらサイズなので、次から次にメリメリできる。
皮にぬめり気がないのもいい。
ヌルヌル感で鳥肌が立つこともないし、頭を落として肝と内臓を取り出す工程もさくさく進む。

下処理はこれで完了。
なんせ手のひらサイズなので、三枚おろしとかそういうのは要らない。
ほかの魚は一切捌けないわたしでも唯一できるほどに、カワハギの捌き方は簡単なのだ。
そして、こんなにお手軽に釣れて、下処理が簡単なうえに、味もいいとくる。
煮つけでも塩焼きでもなんでもござれだが、我が家はもっぱらちり鍋で食す。
さっと湯通ししたカワハギを、昆布出汁の鍋でネギや白菜などの野菜とともに煮込む。
おろしポン酢につけて口に入れると、しっかりした歯ごたえとともに、ポン酢と旨味がじゅわーっと広がる。
たまご雑炊で〆れば、たらふくたらふく、立派なごちそう。

神戸市内の我が家から淡路島のその釣り場までは、車で40分。
わたしは今回、季節の変わり目でまんまと風邪をひき留守番だったのだが、この距離なら今週来週にも優にリベンジを仕掛けられる。
明石海峡大橋――神戸と淡路島をつなぐ世界最大の吊り橋――を一直線に駆けるだけでも、ワクワクする。
前方には、視界180度の青い空。
横を見向けば、両手に海。
ハレ感が満載である。

父の転勤で、小中高の12年間を横浜で過ごした。
小学校に入るまでの6年と、大学入学から現在に至る15年は、ずっと神戸に居る。
だから、ほかの街の住み心地がどうなのかは、正直なところわからない。
わからないけれど、断言できる。
神戸は、住み処として最高だ。
神戸にしかないものは、ないかもしれない。

ただ、神戸には何でも揃っている。
海も山も街も。
明石海峡大橋も、1000万ドルの夜景も、三宮も、元町も。
サッカー場も、野球場も、水族園も、動物園も。
六甲山スキー場も、有馬温泉も、白鶴や菊正宗などの酒蔵も、神戸ワインの農園も。
JRと私鉄が東西に並走する便利さも、神戸空港も、新幹線の駅も。

横浜と神戸は、ともに港町という点で似ていると言われるが、決定的に違うところが1つある。
規模だ。
人口370万人と150万人の差は大きい。
みなとみらいとハーバーランド、それぞれにある中華街、新横浜と新神戸の駅。
何をとっても、神戸の方がこぢんまりとしている。
このこぢんまりさが、神戸が神戸たるアイデンティティーだ。

秋はまた紅葉。車を降りてロープウェイで山に抱かるるはいとをかし。
こぢんまりしているにもかかわらず、神戸市内にはロープウェイが4箇所も架かっている。
須磨浦山上遊園、布引ハーブ園、摩耶山、六甲有馬。
こんなにロープウェイをより取り見取りできる街も珍しいのではないだろうか。
秋は、カワハギ釣りだけでなく、山の彩りも旬である。
麓からロープウェイに乗り込み、山頂に向かってぐいーんと紅葉のじゅうたんの上を空中散歩する。
目に入る限りの山、山、山。
振り返れば、海と街。
圧巻だ。
みるみる胸がすいていく。
摩耶山上のロープウェイの駅にあるカフェでは、ハンモックもレンタルされている。
標高700mの青空の下、ハンモックに寝転がり、読書。
たまらない。

神戸は、そのこぢんまりさゆえ、観光地やレジャースポット(ハレ)と生活圏(ケ)の境界があわい。
例えば布引ハーブ園であれば三宮から1駅、摩耶山なら同じく三宮から1駅とバス10分で、麓の駅だ。
釣りだって、なんなら淡路島まで行かなくとも、そこら中の岸壁でおじさんたちが釣竿を海に投げ込んでいる。
ゆりかごから……ならぬ、ケからハレまで、神戸はいっしょくたに住人の面倒をみてくれる。
海も山も街も、たらふくたらふく、ここで骨を埋める所存だ。

***
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2016-11-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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