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ふるさとグランプリ

ラオスの山奥で見つけた、現役で東大に受かる方法《ふるさとグランプリ》


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:菊地功祐(ライティング・ゼミ)

「なんだ、このおっちゃんは……」

海外でバックパッカーの旅をしている時に訪れた、ラオスの首都ビエンチャンで、私はとんでもないおっちゃんと出会った。

「う……う……」
やたらと唸り声をあげながら、紙を見せてくる。

その紙を見てみると、
「Where are you from?」
と書かれていた。

そうか、このおっちゃんは耳が聞こえないのか。

私は、貧乏旅行をしていたため、首都ビエンチャンでも今まで通り、
一泊3ドル(300円)ほどの安宿に泊まることにした。

東南アジアを放浪していると、安宿には必ずと言っていいほど、長期滞在している人がいる。
気候が良く、物価が安い東南アジアに魅了されて、何ヶ月もの間、
居座ってしまい、自分の国に帰る気すらおきなくなってしまうのだ。

1年以上居座ってしまったら、その人が社会復帰するのは難しくなると思う。

そういう人を見かけるたびに、こうはなりたくないと思っていた。

私に唸り声をあげて話しかけてきたおっちゃんは、腕に刺青を入れていて、
明らかに1年以上、ここに居座っている風勢があった。

めんどくさいことになったぞ。

少しだけ話に付き合ってあげて、シャワーを浴びて、昼寝でもしようと思い、
私はさっと紙に書いていった。

「Japan」

すると、おっちゃんは、笑みを浮かべて

「日本のどこから来た?」

と突然、紙に日本語を書き出した。

ん? このおっちゃん、日本語ができるのか?

自分が部屋に入ってくるまで、おっちゃんはドミトリーが一緒だったイタリア人と、紙とジェスチャーで、何やら風俗や下ネタの話で大盛り上がりだった。
(下ネタは万国共通らしい……)

その時は、確実に英語を使ってコミュニケーションを取っていたので、
まさか、おっちゃんが日本語のできる人だとは思わなかった。

「東京」
と私が紙に書くと、おっちゃんはニコッとして

「私は昔、大阪に住んでいた」
と紙に書き出した。

話を聞いてみると、おっちゃんは在日韓国人の方で、
日本で生まれ育ち、韓国で暮らしていたという。
幼い時に聴力を失い、苦労の末に、焼肉店の経営で成功して、定年を過ぎた後、
事業を人に譲ってから、海外を悠々自適に旅して回っているらしい。

おっちゃんは自分のエピソードを熱く語ってから、私が持っていた
「地球の歩き方」というガイドブックを指差した。

その本を広げ、ビエンチャンのページを開く。
「うぁ……うぁ……」
と、観光地を一個一個、丁寧に説明していく。

そうか!
おっちゃんはドミトリーが一緒になった人に毎回、
ビエンチャンの観光地を案内しているんだな。

地図を細かく説明していくおっちゃん。
ビエンチャンが説明し終えると、次はバンコクに向かうという私のために、
バンコクの観光地や安宿まで説明してくれた。

「ここの女は良いぞ!」
と、ついでに風俗の話も……長時間、聞かされた。

この、どスケべオヤジ!

2時間ものあいだ下ネタに付き合わされ、さすがにぐったりした。

ようやくおっちゃんのエロトークから解放され、私はアドバイス通りに宿で
自転車をレンタルして、ビエンチャンの街並みを探索することにした。

フランス・パリをイメージして造られた緑豊かな都市、ビエンチャン。
街の中央には凱旋門のような、大きなアーチ型の門がある。

緑豊かで落ち着いた雰囲気のある街だ。

数時間、街を探索してから私は宿に帰ることにした。

宿に帰るとおっちゃんは、今度はトルコ人と話し合っていた。
また、お得意の下ネタトークで大盛り上がりだ。

あれ?

おっちゃんが話すときは、紙に書いて伝えている。
だけど、トルコ人は普通に英語をしゃべっている。

もしかして、おっちゃんは相手の口の動きだけで英語を理解しているんじゃないか……

そういえば、さっき私が日本語を紙で書いた時も、
自分が紙に書くよりも早くおっちゃんは反応していた。
伝えたい内容を日本語でつぶやいていた私の口の動きを見ていたのだ。

聴力がない分、おっちゃんは相手の口の動きだけで英語と日本語を理解できるようになっていた。

おっちゃんは幼い頃に聴力を失って、学校の勉強も満足にできなかったという。
耳からの情報が寸断されて、絶望していた。
その上、日本では在日韓国人というレッテルを貼られて、周囲からいじめられていたという。

だけど、おっちゃんはくじけなかった。

口の動きだけで日本語を理解できるように努力したのだ。

その努力が認められ、アメリカの大学にも留学できた。
そこで英語も学んだ。
ほとんど音ではなく、口の動きだけで。

おっちゃんは、どれだけ苦労したんだろう。
相手の口の動きだけで、日本語と英語を理解できるようにするために、
血のにじむような努力をしたんだと思う。

おっちゃんは、ただのエロオヤジだと思っていたが、
とんでもなくスゴイ人だった。

おっちゃんの生い立ちを聞いていくうちに、ある予備校講師が言っていた言葉を思い出した。

「現役で受かる生徒は、直前になったら苦手科目を捨てるんだ。
7科目以上あるセンター試験の勉強を、満遍なくこなすのは不可能だ。
出来るやつは、捨てる。
苦手なものを捨てると、他の分野が伸びてくる」

おっちゃんも苦手なものを捨てたんだ……
ほとんど聞こえない聴力を捨てた代わりに、
口の動きだけで相手の言葉を理解できるようになったのだ。

苦手なものを捨てると、他の分野が伸びる。
現役で東大に受かった同級生は、苦手な英語を捨て、その代わり数学は満点を取るつもりで勉強していた。
高校生だった私は、配点が高い英語をなんで捨てるんだろう? と思っていたが、そうか……彼は受かるために捨ててたんだ。

東大に現役で受かるためには、苦手なものを捨てる覚悟が必要なんだと思う。

おっちゃんは自分の生い立ちを語った後に、このように紙に書いた。

「努力をしない人間は嫌いだ」

耳が不自由なのに、ありえないほどの努力をしてきたおっちゃんの言葉を胸に秘めて、私は日本に帰り、日々ライティングに励んでいる。

1日でもライティングをさぼってしまいそうになると、ラオスで出会ったおっちゃんの、あの言葉を思い出して。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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