メディアグランプリ

年収1000万円の仕事を捨ててまで、本当にやりたかったこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:小野勝秋(ライティング・ゼミ)

勤続25年、取締役、年収1000万円超、残業なし、休日出勤なし、出張なし、ノルマなし
取引先に人脈あり、豊富な業務実績あり、部下との関係まあ良好、通勤時間1時間以内……。

思いつくことを並べてみた。
辞める理由は見当たらない。

2016年6月、僕は長年勤めた会社を辞めた。
いろいろと考えることはあったのだと思う。おかしな話だが、正直なところ自分でも辞めた理由がはっきりとわかっていなかった。
人に聞かれると本当に困った。
「なんで会社辞めちゃったんですか?」
この質問にどう応えていいのか、いつも迷っていた。

人事で退職勧告をしていたこと、精神疾患を発症する社員が多い職場環境のこと、自分で事業を起こしたかったこと、その都度、いちばんその場にふさわしいと思った理由を語っていた。どれも嘘ではなかったが、真の理由ではなかった。

サラリーマンになったとき、出世したいとか金持ちになりたいとか、そんな気持ちは持っていなかった。プログラミングが好きだったし、職場の先輩や同僚との付き合いが純粋に楽しかった。

管理職になった頃からだろうか、仕事に対する考え方が徐々に変わって行った。
自分が楽しむことよりも、会社にとって利益になること。社員がやりがいがあることよりも、会社にとってコストが削減できること。優先することがいままでとは真逆になった。そのことに疑問を感じることもなく、むしろそうすることが当たり前だと思ってやっていた。

自分の考えに反する意見は、すべて頭から否定した。自分がやってきたことと同じことができない社員のことは、まったく評価していなかった。本人を前にして「辞めろ!」ということはなかったが、内心ではいつもそう思っていた。

自分のしてきたことを客観的に見ると、最悪の上司の姿しか見えない。しかし業績という名の数字を積み上げてきた僕は、会社という利益追求型組織からは最大限の評価をされていた。

そのまま仕事を続けることで、困ることは何もなかった。そのまま会社に居続けていれば、暮らしは安定していた。 そんなことは、誰に言われるまでもなくわかっていた。

いつの日からか、こんなことを考えるようになってしまった。
「何のために働いているのだろう?」
「働くことで誰を幸せにできているのだろう?」
「僕が働かなければ誰が困るのだろう?」
この歳になって、何でこんなことを考えなくてはいけないのか。
そして、その解答を自分で見出すことができなかったことがショックで、自分の過去が無性に虚しかった。

会社に行くことが面白くなくなり、外部のセミナーやイベントに出かけることが増えた。
そこには、新しいことにチャレンジして、ワクワクしている人たちの眩しい笑顔があった。

50歳を目の前にして「新しいことをやるなら、いましかない!」という思いが大きくなっていった。
わかっていても、なかなか決心する勇気がなかった。
相談できる人は誰もいなかった。 孤独だった。

そんな僕の背中を押してくれたのは、妻のひと言だった。
「やりたくないことを続けることは、幸せをどんどん手放すことになるよ」
一度も相談などしたことがなかったのに、いつものようにしっかり見破られていた。
その突き放すような優しいひと言は、僕にとってはまるで神のお告げのようだった。
僕は会社を辞めることを決めた。

あの日から約一年半、暗中模索の日々が続いた。楽しいこと、やりたいこと、儲かりそうなこと、続けられそうなこと、全部バラバラで、完全に自分を見失ってしまった。
本を読み、ネット記事を読み、人に相談し、そして余計に頭の中が混乱してしまった。
心のバランスが崩れ、体重は5kg減った。これまでの経験なんて何の役にも立たないのかと、完全に打ちのめされたような気がした。 心も体も限界に近かった。

そんなとき、ある映画と出会った。たまたま自宅近くの会場で、その映画の上映会イベントが開催されたのだ。

主人公の若い女性は、自分が本当にやりたいことが見つからず、自分の能力に限界を感じ、会社を辞めてしまう。そして友人や地域の住民たちとのふれあいの中で、自分自身が心を閉ざしてしまっていることが原因だと気づく。

まったく映画の内容を知らずに鑑賞にきた僕は、あまりにもいまの自分の状況と重なることに驚いた。

それから、何度もその映画の上映会に足を運んだ。気が付いたら10ヶ月ほどの間に、15回も鑑賞していた。
観るたびに気付くことがあり、僕の心のモヤモヤが少しずつ晴れていった。

特に僕を勇気づけてくれたのは、エンドロールのときに流れる主題歌の歌詞だった。
「迷っているときには、同じように悩んでいる誰かがいる」
「自分で気づいていなくても、その行動はきっと誰かを励ましているから、自分の歩みを止めずに、まっすぐに夢を追いかけろ」
そのような内容だった。

その歌詞を理解することと同調するかのように、僕がいまやるべきことが、明確に見えた気がした。
以前の僕と同じように、仕事に行き詰まり、立ち止まっていり悩んだりしている多くの人たちに、この映画を観てもらおう。
そんな悩める人たちが気軽に集まって、仲間を見つけることのできるような憩いの場を作ろう。

そして自分への戒めとして、これまでずっと囚われてきた「常識」という呪縛から、完全に離脱して自由に生きていこう。
その昔「赤信号みんなで渡れば怖くない」というブラックギャグが流行ったが、いまの僕の心境は「赤信号ひとりでも平気で渡っちゃう」そんな感じだ。

これまでの人生で初めての経験だが、ここ2ヶ月くらい朝起きた時に
「今日はいやだなあ……」
と思う日が1日もない。

安定もお金も贅沢もすべて失ってしまったけれど、僕はそれと引き換えに、何かもっと人として大切なもの、その何かのしっぽを捕まえたのかもしれない。

僕を主役に描いた未来の銀幕は、いまクランクインした。

 

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2016-12-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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