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料理が苦手な私があえておせち料理と向き合ってみることにしたワケ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:赤羽かなえ(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
また、申し込んでしまった……。
 
3秒ほど前に、エンターボタンを押してしまった自分にちょっと後悔した。
 
私が申し込んだのは、おせち料理のオンライン講座だ。発端は、1月に投稿した自分の文章だった。『年末年始って一番疲れる。おせち料理を放棄して旅行に行くことにしたら、すごく楽になった』という投稿をしたときに、このおせち料理の講座の先生にコメントをもらった。
 
『世の中の女性の悲痛な叫びを聞いた気がする』と。
 
その時に、なんだかやっぱり自分がちゃんとしたところから逃げているような後ろめたい気持ちでいっぱいになった。
 
私は、料理が苦手だ。結婚した時には野菜炒めしか作れなくて夕飯の時間が憂鬱でたまらなかった。何を作ろうか迷いに迷って何も作れなくて、結局外食になるということもしばしばだった。
 
子どもが生まれてからは、とにかく色々な料理を学んだ。玄米菜食から、マクロビオティックも学んだし、茶懐石というお茶席で食べる日本の伝統的な和食も2年程学んでいた。子どもの料理教室のインストラクターの資格も持っているし、発酵や保存食のワークショップも開いていた。
 
それでも、どんなに頑張っても料理が苦手という気持ちが取れることはなかった。
 
いまだに夕飯を作り始める18時過ぎになると自分の背中に「こなきじじい」でも乗っているような重たい気分になるし、作っている途中についスマホでやり取りする方が夢中になって、気がついたら夕飯が一向に出来上がらないなんてことがある。出来上がったとしても、毎回ワンパターンで冴えないなあなんて思っているので、そこで、家族から「これ、美味しくない」なんて言われた日には、
 
「こっちもしんどいのに作っているのに!」
 
とイライラしてしまうのだ。
 
どうして、こんなに料理が苦手だと思うのだろう。今までは、料理のスキルの問題だと思っていたけど、自分の気持ちの問題なんだろうな、と思う。大きな原因は、自分の母が、料理が得意だったことだ。母は、小さい頃から、色々な料理を作ってくれた。その母の姿と自分をつい比べて自分は全然できていないと思ってしまうのだ。
 
ここまでこじれ切った自分だったけれど、どうにかしたい、という気持ちはある。料理が苦手と言えばいうほど嫌になる気もしていた。最近の自分の料理はなんだか気持ちがないなと思う。
 
そんな時に、友達がこんな文章を書いているのを目にした。
 
『お母さん、料理苦手だからおいしいごはん作ってあげられなくてごめんね。と思うのはやめてほしい』
 
それを読んで私はドキッとした。友人は続けてこう書いていた。
 
『子どもさんがお母さんの絵だよ、と言って描いてくれた絵を下手でごめんね……と言って渡されたら悲しいですよね。それと同じですよ』
 
そうなんだよなあ。私はその文章を読んで少し泣きそうになった。
 
自分の気持ちは自分が自信を持たないと変えられない。でも、どうしたら気持ちを上手く切り替えられるんだろう。

そんな時に、以前にコメントをくれたおせち料理講座の先生が、広島にデモンストレーションをしに来るから見に来ませんか? と誘ってくださった。
 
いまさら、おせち料理を年末に作るのだろうか、そう思いながらも参加してみた。その講座で先生は、料理の基本を積み重ねて行くと、おせち料理ができるのだと力説していた。
 
「今の料理って、時短って言って色々な作り方をするけれど、それを調べて作ろうとするとその度に色々なものを揃えなければいけなかったり、配合が違ったりするでしょう? 料理とは本来そういうものではなくて、基本のやり方というのがあって、それさえ押さえておけば、そこから無限にアレンジできるものなんです」
 
なるほど、ひとつひとつのレシピをバラバラに学ぶから煩わしいと感じたのかもしれない。
 
言われた通りに一つの合わせ調味料を作ると、そこから、何品も応用して品物が出来上がった。これだったら私もできるかもしれない。目の前が開けるようだった。
 
もちろん、もうスキルだけを身につけるだけでは、料理が得意、楽しいとは言えない、というのは分かっている。料理が苦手という気持ちとも向き合って、どこが苦手で、どこまでは得意なのかということをちゃんと見つめていかなければ、真の意味では苦手は克服はできないだろう。
 
けれど、今回こそは、料理な気持ちごと受け入れて頑張ってみようと思う。1年後に、胸を張って料理が苦手な気持ちを克服しました、と言えたらいいんだけどな。
 
よろしくお願いしますね、料理の先生から返事が来たのを見て背筋がピンと伸びるような気持ちになった。
 
 
 
 
***
 
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2023-04-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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