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転職の仏教的解釈


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記事:上海太郎(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「ち ょっとお話がありまして、宜しいでしょうか……」

部下から、畏まって声を掛けられるとき、
いつも、ドキッとしてきた。
 
こういう場合は良い話であることはほとんどなく、ほとんどが悪い話で、
ワースト1は、「退職願い」である。
 
手塩にかけた(と自分では思っている)部下であればあるほど、
言われた瞬間、頭をハンマーで殴られたような感覚になる。
 
「自分が相手の気持ちに寄り添えていなかった」からなのか、
「相手に成長の空間を用意できなかった」からなのか、
「自分に実力がないから一緒に仕事をしたくなくなった」からなのか。
 
すぐに自己嫌悪の考えで、頭がいっぱいになる。
 
部下が上司に声を掛けた時には、転職先から既に内定をもらっていることがほとんどなので、
部下の意思決定が変わることはほとんどない。
 
一方で、人間とはおかしなもので、頭のどこかで、
「もう一度、話をすれば、気持ちを変えてくれるのでは」という希望を持ってしまう。
しかし、部下の意思決定が変わることはほとんどない。
 
そして、部下の意思が変わらないと分かれば、次は、
「ご家族の都合」など、自分にはどうしようもない理由を言ってもらいたくなる。
 
しかし、現実は甘くはない。
僕は10年以上、上海に駐在しているが、
中国人の部下は建前ではなく本音で言ってくれる方が多い。
「あなたの元では、これ以上学ぶことがないから転職します」と言われたこともある。
 
「気持ちは変わりません。お世話になりました」
この最後のダメ押しの言葉を言われるとき、いつも頭に浮かぶ言葉がある。
 
「因果応報」
 
失敗した時、いつも頭に浮かぶ言葉だが、
何度も何度も同じ過ちを繰り返している。
 
「もうこんな気持ちになるのは嫌だ!」
いつになくそう考えた僕は、珍しく振り返ることにした。
 
まず、因果応報について調べてみた。
因果の道理とは、
「良い行いをすれば良い結果が還ってくる。悪い行いをすれば悪い結果が還ってくる。
自分に現れる結果のすべては、自分の行いによって生み出される」
という、仏教の根幹の教えであるらしい。
 
次に、仏教について調べてみた。
 
仏教は、約2600年前のインドで生まれ、
どれだけ時間が経っても、どれだけ時間が変わっても、どの場所に行っても、
変わらない道理を説いた教えである。
 
ここで、自分はアホなのでは、と気がついた。
40年そこそこしか生きていない僕が、一人でウンウン悩むのはアホなのではないか、と。
2600年もの間、世界中で信徒を得ている仏教に、全部ヒントがあるはずだと。
 
仏教では、この世の事象のすべてを三つの基本的立場(三法印)で考える。
 
1つ目は「諸行無常」
「全てのものは常に変化し、同じ状態のものは何ひとつない」という意味。
 
我々はお金・地位・人間関係・自分の肉体に至るまで、さまざまなことを「変わらない」と思い込み、「このままであって欲しい」と願ったりするが、これが執着へと繋がる。
このような苦しみに囚われないためには、全てが無常の存在であると理解すべき、という考え方。
 
「部下の転職」を仏教的に解釈すると、「相手にとっても自分にとっても必要が合って変化していると受け止めるべき」、となるのではないか。
 
2つ目は、「諸法無我」
「諸法」はすべての物事で、「我」は単体での存在で、「世の中のすべての物事は、影響を及ぼし合う因果関係によって成り立っていて、個として独立しているものは一つもない」という意味。
 
自分の命も家族も財産も、全て自分のもののように思うけれど、実はそうではない。
世の中のあらゆるものは、全てがお互いに影響を与え合って存在している、支え合っている、
という考え方。
 
「部下の転職」を仏教的に解釈すると、「すべてのことを他人事ではなく自分ごととして受け止めること。そして、過去の自分の行いを教訓とし、必ず未来にもつながると捉えること」となるのではないか。
 
3つ目は、「涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)」
仏教において、究極の目的である解脱を示し、「苦しみや煩悩から解放された状態」を表す。
「諸行無常」と「諸法無我」を実践していけば、個人の欲望や執着心から離れ、真実の自己を認識し、心の中に平穏を作り出すことで達成される。
 
「部下の転職」を仏教的に解釈すると、「苦しみはあるが、すべては自分の捉え方次第なので、心を穏やかに保つ努力をすること」、となるのではないか。
 
つまり、「部下の転職」を仏教的に解釈すると、
「相手にとっても自分にとっても必要が合って変化していると受け止め、
他人事ではなく自分ごととして受け止め、
過去の自分の行いを教訓とし、必ず未来にもつながると捉え、
すべては自分の捉え方次第なので、心を穏やかに保つ努力をすること」
 
一言で表すと、
「全ては自分の捉え方次第。
苦しい状況でも常にポジティブに捉え、より良い方向に変えていく努力をすること」
という仮説を持った。
 
僕のほとんどの悩みは、仏教で答えが出ているのではないか。
 
 
 
 
***
 
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2023-05-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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