メディアグランプリ

出来てたことが出来なくなってしまった時。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:島本智恵子(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
子ども達が、昨日出来てたことが今日出来なくなったとしても、それはそれでいいような気がしている。毎日、成長しなきゃいけないこともないし、出来ていたことが出来なくなったとしても
「ま、そういう時期もあるよね?」ってこと。
頭ではそう分かっているけれど、それでも、親は子の出来ることが1つでも増えるようにと願うし、出来ることが増えると嬉しいから、「どうやったら出来ることが増えるのか?」に注力してしまったりする。
 
つい先日、同じフリースクールに通う友達の家にお泊まりに行った次女。
翌日、私は、午前中から仕事が入ってたので、お泊まりしたついでに、フリースクールまで、そのお友達のお母さんに一緒に送って貰うことになってた。
 
その子の家へのお泊まりは、フリースクールに行くようになった春くらいから始まった。それまでは、通っている小学校も違うし、住んでる場所も車で15分くらいかかるとこだったので、一緒に遊ぶこともなかったのだけど、同じフリースクールに通うようになって、いつの間にか、その子の家に泊まりたい! と言うほどに仲良くなっていた。
 
お泊まりの時のスケジュールは、大体、どちらかが18時頃にお泊まりする家にお邪魔して、夕食をご馳走になり、一緒にお風呂に入った後は、そのまま就寝。翌日は、朝食をご馳走になり、そのままフリースクールに送って貰う。っていう感じで、お泊まりが始まって、3ヶ月くらいは、何事もなく泊まりあいっこしてた。この泊まりあいっこ、娘達は、仲良しのお友達と長く一緒にいられるから、もちろん嬉しいのだけれど、親にとってもお互いが交互に送迎を担当出来るので、ちょっとした息抜きの時間を取れたりする、ちょっと嬉しい時間だった。
 
なのに、その日は、夜21時くらいに電話があって「今日は、やっぱり泊まらないからお迎えに来て欲しい」って言われた。私、内心「泊まってくれた方が助かるんだけどな」って思った。
だって、自分時間を満喫してる最中だったし(韓国ドラマ観始めたとこだった…)ここで迎えに行っちゃうと、翌日のフリースクールの送迎が、決定してしまうから、ほんとは、迎えに行きたくなかった。けど、電話口でお迎えに来て欲しいって言ってる彼女の声は、とても寂しそうに、か弱く聞こえた。ちょっと静かにして欲しいと思ってしまうほど、元気に喋ることが日常な次女が、そんな声を出すことは、なかなかないので、「ほんとに、寂しかったのかもな?」と渋々迎えに行くことにした。
 
到着して、呼び鈴を鳴らすと、友人宅の玄関先に現れたのは、さっき電話で話した時に、寂しそうな声を出していた本人とは思えないくらい、いつも通り元気な娘。「いや、これなら泊まれるくない?」と思ったけど、それは口にせず、グッと我慢した。
 
帰りの車中で、本人に「今日は、泊まれない」って思った理由を聞いてみる。そしたら「ねぇねぇがいないと寂しくて眠れなかった」とのこと。「いや、そんなわけないやん?」と思った。「あんなに毎日、うるさい程喧嘩してるのに?」って。布団に横になった瞬間、狭いだの暑いだの理由を付けては、ねぇねぇを布団の隅に追いやることが多いのに? って。
だけど、今、彼女自身が、そう思っているのならそうなのだ。私の頭に浮かんだ疑問は、私が感じていることだし、私がそう感じたからと言って、今、彼女が感じていることが嘘だということにはならないのだ。うん、今、思いついた私の疑問は、なかったことにして、そういうことにしておこう。と思った。
 
帰宅した次女は、玄関に荷物を置くと、その足で、ねぇねぇが寝ている部屋に行き、彼女の布団に潜り込み、すぐに眠りについた。
 
その様子を見て、「ほんとは、迎えに行きたくなったけど、行って良かったな」と思った。内心、泊まってきて欲しかったし、その理由こじつけじゃないか? と言いそうになった。けど、お姉ちゃんの隣で、安心し切った顔で、すやすやと寝息を立て始めた彼女を見ていたら、今回は、これでよかったのだ。と思った。
 
これからもきっと、昨日まで何事もなく出来ていたことが出来なくなったりするかもしれない。その度に、「えっ? 昨日まで出来てたやん?」って思うかもしれない。出来ない理由を聞いたとしても、私自身が納得出来るような答えが返ってこないかもしれない。
けれど、挑戦して、出来なったことを「なんで出来ないの?」と責めたりしないのと同じように、出来なくなったことを、責めずに、ただ今回は、出来なかったこと。として受け止めたいと思った。
きっとそうやって受け止めることで、彼らは安心して、次の挑戦へ向かっていくことが出来ると思うから。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2023-05-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事