無意識の力で幸せになれるか？
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記事：中村 愛（ライティング・ゼミ6月コース）
無意識の力で幸せになる、と聞くと、何かうさん臭く感じないだろうか？
スピリチュアル系の話？ それとも瞑想系？
どちらにしても怪しいし、ちょっと苦手、とこの手の話には拒否反応を示す方もそれなりにいると思う。
しかし、快適な睡眠を手に入れることで幸せになる方法、と聞いたらどうだろうか？
無意識が快適な睡眠に役に立つ、という話をしてみたい。
人が意識出来ることはせいぜい１％程度で、残りの99％は潜在意識、つまり無意識の中にあるという。
最近歳のせいか、驚くほど忘却力が発達してきたが、情報は記憶として保持出来なくても、なくなってしまうのではなく、無意識下に入るらしい。
必要な時に取り出せたらこんなに便利なことはないが、いかんせん無意識なので、持っていることも知らないから出しようがない。
そんな無意識に、それでも私たちは日々助けられている。
これまた歳のせいか、最近睡眠が浅くなってきた。夜中に何度か目が覚めてしまう。
休日の朝に寝坊をするのが大好きだったのに、どうしても早い時間に目が覚めてしまい、寝直すことも出来ない。ものすごく損をした気分になる。
大学生の娘は、昼過ぎてもガーガー寝ている。起こしても適当な返事をして即眠りに入る。
なんとも羨ましいが、私も若い頃は同様だった。
年取ると眠れなくなるよ、と、人生の諸先輩から聞いてはいたが、こういうことか、と愕然とする。眠るには若さと体力がいるらしい。
何とかしてあの快楽を取り戻せないだろうか、といろいろあがいてみた。
枕を変えてみたり、眠くなる音楽を流してみたり、アロマディフューザーで好きな香りの芳香浴をしたり、瞑想をしてみたり……。
どれもそれなりには効果があった。でも深く眠れた、という満足感にはなかなか至らない。
そんな時、ある本を読んだ。
無意識を使うとよく眠れるようになる、と書いてあった。
確かに、頑張って眠ろうとすると、余計に目がさえてしまうことはある。
残念なことに、眠ろうとする努力が余計に眠りを浅くしていたのかもしれない。
本にはいくつかの方法が書いてあった。
心理療法の中に催眠療法というものがあるが、自分でそれに近い状態を作り出せるという。
本に書いてあるフレーズを唱えているといつの間にか眠ってしまい、翌朝はすっきり起きられるそうだ。
そんなにうまい話があるだろうか。
半信半疑ではあったが、快適な眠りの為なら、と試してみた。
結果、確かに眠りにつき易くなり、途中で起きることも激減した。
私が試した方法は２つある。
ひとつは気になっていることについてはひとまず無意識に委ねよう、と決めて、本に書いてあるフレーズを唱えること。「私と波長の合う人は必ずいる」とか「眠ると処理能力は100倍」とか、なるほどね、とは思うもののそれほど意味を感じない言葉を何回か心の中で唱えていると知らぬ間に寝てしまう。
眠ろうと意識せず、他に意識をもっていくことが結果的に眠りに導いてくれる。
もう一つはあえて意識を使う方法で、その日食べたものをひとつひとつ思い浮かべてそのたびに「愛してる」と心の中で唱える、これも何だか意味は分からない。
「なんでおいしい、じゃないんだろう？ おいしいだと意識的になっちゃうからなのかな、だったらかわいいとかでもいいのかな……」どうでもいいことを考えているうちに意識が途切れた。
自分が最も望んでいる夢を考える、と言う方法もあった。最も、と言われても、いざとなると意外に出てこない、あれも違うこれも違う、とぐるぐるしているといつの間にか眠ってしまった。
眠りが深いと、具体的に何かが解決したわけではないが、心身ともに余裕が出来るので、トラブルがあっても比較的冷静に対応できて、よい結果となることも多い。
それが幸せに生きることに繋がる、という面はあると思うが、もうひとつ、意外なものを手に入れたことに私は気づいた。
それは、自分を少し好きになれた、ということ。
思いもよらなかったが、私の中にはまだ眠っているたくさんの可能性がある、私には価値がある、と特に根拠はなくても、自分の中に無意識がある、と思うだけで信じられるようになってきたのだ。
時々疲れてくると、どうしようもなく自己嫌悪に陥ることがある。
周りの人は難なくこなしているように見えるが、自分は何をやってもうまくいかない、人に比べて秀でている特技もない、今までいろいろやってきたこともちゃんと思い出せないからアウトプット出来ない、それではないものと同じだ、自分には価値がない……と感じてしまっていた。
しかし、出せないだけでちゃんと自分の中には価値ある情報、積み重ねた経験が入っている、と思うだけで、自分やこれまでの人生を価値あるものとして感じることが出来るようになってきたのだ。
変わったのは無意識の存在を受け入れただけ。でもそれは自分を好きになって幸せに生きることに確かに繋がっている。
最近眠ることがとても楽しみになっている。
＊＊＊
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