ヒーローはしわだらけ
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:近藤やすこ(2023年・年末集中コース)
「お父ちゃん、お母ちゃん、ただいま!!」
2024年1月1日6時35分早朝、高速バスの停留所で待ってくれている父と母を見つけ、私は思わず嬉しすぎて飛びついた。
「やすこ、お帰り!」
父も母も私の登場に驚きながらも、満面の笑顔で3人は重なり抱き合った。愛情表現に関してはまったくひと目を気にしない親子。私にとっては久しぶりのぬくもり。私が私らしくいられる居場所。この2人に会うとやっぱりすごく落ち着くのである。
2019年4月から仕事で関東方面に引っ越してきた。2023年2月に2回目の引越しを終え、現在も関東在住の私。新年を地元で過ごすのは2年ぶり。今回は父と母、家族と過ごすと早い段階から決めていた。
12月30日までは天狼院の年末集中特別講座「人生が変わる文章教室」に参加していた。そのため、31日大晦日、午前中までゆっくり疲れを癒し、午後から大掃除をして、23時20分池袋発で地元の最寄り駅まで直通の高速バスを利用し私は戻ってきた。
こんな早朝にも関わらず父と母は私を駅まで迎えにきてくれたのだ。大好きな2人に久しぶりに会うことができ、無償の愛をいつも通り感じた瞬間だった。
「あなたにとって一番大切なものは?」これ、いろいろな場面でよく聞かれる質問。
「父と母」と今の私は即答するだろう。
それくらい私にとって2人の存在は偉大なのである。
私は高校時代から寮生活だったし、その後、地元で仕事をしていた時もあったが、海外で何年間も生活していた期間もあり、何だかんだと早い段階から親元を離れ、自立した生活を送ってきた。それだけに新しい環境への適応能力は特技といっても良いくらい、すぐにその土地に溶け込むことができる。あまり世間体に流されず、孤独も楽しめる性格で、一般的には強い女性(ひと)として認識されることが多い。
父と母はまさしく私の安全基地である。
私が私らしく生きていられること、やりたいときにやりたいことをさせて頂けること、この自己効力感の源は、絶対的に父と母が私の味方でいてくれていると信じているからである。思春期の時は一丁前にたくさん暴言を吐いてきたし、大人になってからも仕事のストレスで両親の優しさに素直になれない時もあった。そういうダメな自分も含め、本音でぶつかり合いながらも、常に底抜けの愛情を注ぎ、見守ってくれていた。
私はそんな両親を心から尊敬しているし、愛している。
子育てって大変だろうなと想像すると2人の偉大さを感じざるを得ない。
だから、もし、私の安全基地である父と母に何かあったと考えると、強いといわれている私でも想像しただけですぐ涙が溢れだしてくる。
近くに住んでいなくても、安全基地があるからこそ、私は元気で明るく自分のチャレンジしたいことにまっすぐ生きることができるのだ。
自分の気持ちに正直に生きてきた分、たくさんの挫折、悲しみ、苦しみ等、きれいごとでは収まらない社会の厳しい壁にもぶち当たってきた。
その度に父と母からもらった言葉が私を支えてくれた。何気なくいった言葉かもしれないが、私はその言葉をもう何十年も大切にし続けている。
父からは、
「やすこ、お父ちゃんは、やすこが幸せだったらどのようなチャレンジでも応援するよ。でも、条件は、やすこが常に幸せであることだよ」
母からは、
「やっちゃん、良いことも悪いことも全部含めて良いことだから。だから、今、自分の歩む道が暗くて先が見えなかったとしても、必ずいつか光が差し、その経験が良かったと思えることがくるから大丈夫だよ」と。
言葉は私を強くする。
最も信頼している人からの言葉は、離れていても私の生き方の指針になる。
私はどのようなことでも幸せに変換できる能力を磨いてきた。
だから、常にポジティブであり、人を大切にする思いと同じように、自身も大切にしてきた。
私が自分らしく幸せであることは、両親への一番の親孝行と思って。
親が子に与える影響は無限大。
私の専門は教育である。だからこそ、親の存在は子どもにとって、良きにつけ悪しきにつけ心身への影響が大きい。時に、子ども時代の経験が、大人になってもトラウマとなり、精神的な病へと導くことがあるからだ。もちろん、常に正解で平等の親子関係などない。人の数だけ、家族の形があるからだ。しかし、少なからず、愛という存在は、どのような状況でもすごい突破口となり人を強くも優しくもしてくれる。
帰省した同日、家族全員が集まる新年会があった。
その時に、令和6年能登半島地震が起きた。地震アラートが鳴り響く。
急いでTVをつけると、能登半島の被害が目に入ってきた。ドクドクと心臓の音が聞こえる。コロナを乗り越え、やっと平穏な日常が戻ってきたのに、2024年を迎えた早々にこのような自然災害が再来するとは……。心の痛みが治まらない。
これから日本、世界はどうなるのだろう。
戦争、大地震、経済危機、暗くなるニュースばかり。
人はいつどうなるかは分からない。
だからこそ、生きている今、命がある今、後悔しない生き方を大切にしていく。
大切な人に、ちゃんと愛している、ありがとう、大好き、感謝しているよ、とたくさん、たくさん声に出して言葉を伝えていきたい。
私は正月休みを終えたら、また、地元を離れ、恐らく来年まで父と母には会えないだろう。
「親孝行したいときには親はなし」とよく言われるが、私はそんなのは嫌だからちゃんと言葉にだして想いを伝えたい。
ヒーローはしわだらけ。
深い愛でピンチな時でも私らしい人生を歩む勇気を与えてくれた。
偉大な父も母も久しぶりに会うたびに、髪は白くなり、笑うと目じりにたくさんのしわができる。大人になった今、私の人生の最初に出会った人がどれほど素晴らしい人だったかに改めて気づく。
父と母はわたしの永遠のヒーローだ。
ありがとうございます。愛しています。
***
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