メディアグランプリ

バルト三国で出会ったのは、わたしのなかの想像力だった

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記事:しのP(ライティング・ゼミ集中コース) 
 
 
バルト三国という国々に、先日、旅行に行ってきた。どこにあるのか、名前を聞いてもよくわからないというひとのほうが多いのではないだろうか。バルト三国とは、バルト海に面したヨーロッパの小国で、「エストニア」「ラトビア」「リトアニア」の三国のことをさす。雑にまとめすぎているかもしれないけれど、地図上では上から、「エストニア」「ラトビア」「リトアニア」という並びになる。
 
なぜバルト三国に行ってきたか? それは、どこでも良いから遠い外国に行きたかったからだ。久々に長い(といっても10日間)休みを取得できそうなことがわかり、せっかくだったら長い時間をかけないといけない場所に行きたい。1回だけしか訪れたことがないヨーロッパがいい。このご時世で円安だから、物価が比較的安いと言われている場所がいい、という視点で選んだ。先輩から「なんか発音してみたい」って言われて、何度も「バルト三国」「バルト三国」と連呼された。ちょっとその気持ち、わかるけど。
 
なにか特別な思いがあるわけではなかった。でも、行ってみると、ボケ切った私の頭のスイッチを少しだけひねって、もっと考えろよ、と気づかせてくれる経験があったのだ。
 
皆さんは日々暮らしていて、身の危険を感じることはあるだろうか。日々、いろいろある。犯罪率の増加、いつ起こるともしれない大災害などなど。しかし、この国が消滅するかもしれないとか、安全保障上の問題を差し迫って考えるという人は多くはないのではないだろうか。でも、それが目の前の問題としてそこにある、という国に生活しているひとは、いる。そしてそれが、平和な顔をしたバルト三国の国々だった。
 
バルト三国に行く、と友人に伝えると、「ロシアに近いから何かあった時に危ない」と助言する人がいた。そうなのだ、それらの国々は今まさに戦争を行っているロシアとウクライナに、国境を接しているのだ。そんな国は危険な可能性がある、というのは日本に暮らす人にとっては感覚としては一般的なものかもしれない。有事の際には大変なことになる、という考えがちらっと頭をよぎったが、だからこそ今しか行けないからいこう、という思いで旅立った。
 
10日間をかけて巡った国ぐには、とても平和で普通だった。どの街も観光客が多くて、多くの観光客はほかのヨーロッパの国々から来ており、短い夏を謳歌していた。この国々の特徴は世界遺産に登録もされている中世から残る美しい街なみである。おとぎ話に出てくるようなロマンチックな風景は、いろいろな国に支配されてきた文化が混ざっていて興味深い。天候に恵まれた、満喫した旅行となった。
 
しかし、戦争の脅威にさらされていることを実感するものもがあった。聞けば、徴兵制を復活させただとか、ロシアからのサイバー攻撃に備えてバーチャル政府を立ち上げたとか、防衛策に余念がない。戦争が、身近な問題となっている国に今いるのだ、と実感する。
 
戦争の脅威にさらされているかもしれない土地に暮らすのはどんな気持ちなのだろう。生活はしなければならないから日常は保っているけれども、すごく怖くないのかな。本当は、現地の人に「ロシアに脅かされているか感じるか」と聞いてみたかった。でも、ただの興味本位な質問でそれはすごく不謹慎で無神経な気がして聞けなかった。仕方ないじゃん。変えることできないじゃんそんなの。って、言われそうで。
 
でも、今思えば聞いたほうが良かったと思っている。ロシアによる戦争は決して許されざることとして、メディアでは報道していて私もそう思う。ただ、行く前まではどうしても、強い国が小国を支配するのは仕方のないことなのではないかという思いがどこかで拭えなかった。不謹慎、そして無関心。しかし、街を歩いているといたるところに掲げられているウクライナ支援の思いに、わたしのそんな考えは少しずつ変わっていった。現地で感じたのは、どう転んだとしても、当事者の国の人々は、きっと細胞レベルで拒否している空気があったことだ。もう、生理的に無理! ということなんじゃないだろうか。そして、どの国でも、一番目立つ場所にウクライナの国旗を掲げて、サポートを表明している。離れていても気持ちは同じだよ、と。そんなメッセージを発している。わたしも、遠い日本にいるけれども、関心を持っているよって伝えることができればよかった。
 
だからといって帰国後のわたしの生活が変わるわけではない。あー楽しかった、で終わり。のんびりまったり楽ちんに過ごして、財布を落とせば必ず戻ってくるという国に暮らしている。いきなり「戦争反対!」と強く言い出すこともないし。
 
けれども、思いをはせる機会は増えた。だって、どんな思いでいるか、想像できるから。
わたしは自分の想像力の欠如を反省するようになっていた。
どんなに身近な人でも分かり合えないと感じることも多いのに、地球のあちこちのこと、考える必要あるのかな。そんなに全部のことに当事者意識なんて、持てるものじゃないと考えていたけれど、それを補うのがきっと想像力だ。そして、旅をすることで想像力を拡張させるってことに、気づいた。だから、旅にでるのだ。
特に、かわいい子なら、なおさらね。
 
 
 
 
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2024-08-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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