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もっと光を! もっとシールを! 「たいへんよくできました」につられて私はライティングゼミにやってきた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ノリ(ライティング・ゼミ)

「『できました!』と声に合わせて三回手をたたくの。そういうことが大事なんだって」
「そうなんだ」
作業療法士として働く高校の同級生から聞いた話は、
当時の私にはピンとこなかった。
作業療法士は、病気や事故で運動機能に不自由さを抱える人に、
日常動作や手芸などの「作業」を通して、リハビリテーションを行う仕事。
一つひとつのリハビリが終わった時、
必ず口に出して手をたたいて言うのが大事という。
「できました!」
私は思い出していた。

私は飽きっぽく、ガッと熱中してはパッと冷める性格のため、
始めたことがなかなか続かない。形になるまでいかない。
すでに、いろんな才能が不足しているだろうが、
一番足りないのは「続けることのできる才能」だと、自信を持って言える。
しかし私には、ちょっとずつ進めなければいけないことがある。
仕事で疲れた末に発症した、うつの改善だった。

◎毎日外出して日の光を浴びましょう。
◎無理のない範囲で散歩などの運動をしましょう。
◎三食決まった時間に食べましょう。

はい、全部、わかっています。
健康とは、淡々とした、でも確実な日常の営みの中で形作られるものだ。
しかし、頭では理解してもまったく動けないのがうつだ。
それでも寝たきりから多少は動けるようになってきた自分の障害になっていたのは、
やる気が持続しない性格、そのものだった。
にしても、これまでの人生で、一つもなかったのだろうか。
なぜか続いたこと、楽しく続けられたことはなかったのだろうか。
そこで思い出した。
小学二年生の時の『読書ノート』だ。

東北地方の小さな田舎町に住む小学二年生だった私は、
小学校と家の中間くらいにある公民館の中の図書館に通うのが楽しみだった。
そこでは、子どもに本を読ませる取り組みとして『読書ノート』を配布していた。
『読書ノート』は、「ほんのなまえ」「ほんをかいたひと」「ほんをはっこうした所」「よみはじめ/よみおわり」「かんそう」を書く欄のある紙がノート状に束ねてあって、
色上質の紙を表紙にしてホチキスで留め、
針が見えないよう製本テープが貼ってある手作りのノートだった。
表紙には好きな絵を書いて、自分だけのノートにする。
本の感想を書いて持っていくと、司書のお姉さんが読んでくれる。
感想文の添削はしない。ただ「見ました!」という印に、
お姉さんの名前のハンコを押して、シールを貼ってくれるのだ。

司書のお姉さんは、下の名前が私と同じだった。
ローマ字で書かれた自分の名前のハンコはうれしくて、
感想を出すたびに違う、キラキラ光るかわいいシールに心が躍った。

私は夢中で図書館で本を借りては、本の感想を書いた。
一年間で借りた本は147冊、書いた『読書ノート』は14冊となり、
小さい町の中だったけれど、本の貸し出し数第4位として、賞状をもらった。

そう、私が夢中になったのは、本ではなく、お姉さんがくれるシールだった。
でもシールの輝きが、図書館へ足を運ばせる力になり、
たくさんある本の中から借りる本を選ぶ力になり
本を読んで感想を書く力になった。

思い出した。私はシールにつられる人間だった。
私は私の“司書のお姉さん”になることを決意した。
まずは、毎日なぐり書きをしている日記にシールを貼ることにした。
探すと子どもの学習用の「たいへんよくできました」シールが見つかった。

日記は実に単純なことが書かれてある。
今日は一度起きたけど、眠いからまた寝た。
コンビニへコーヒーを買いに行った。
散歩すると小さな花が咲いていた。
近所の子どもの声がにぎやかだ。気分がいい。

私の家は丘の上にあるが、
日記の内容はほとんどが丘の上で起きていることだった。
しかし、それでも毎日「たいへんよくできました」を自分にあげることにした。
しばらく経って丘を下りることができるようになると、
私はもっとシールほしさに
やることを細かくリスト化し、
それができるたびにシールを貼ることにした。

起きる
化粧をする
お昼ごはんを時間通り食べる
メールの返事をする
郵便局に行く
散歩30分
家族のスーパーの買い物につきあう
掃除機をかける
電車に乗ってみる
無理をしない
ヨガをする
ごほうびをあげる

シールが貼れない日も、もちろんあった。
でもシールのことを考えると、少しやる気が出た。
シールの数は日に日に増えていった。
それからどれくらいのシールが貯まったのだろうか。
ある時を境に、自分の体の中のシールが飽和点を迎えた。
そして私はうつが改善しているのを実感した。
そこからはシールの代わりに、ボールペンのレ点や○印でも済むようになった。

そして2016年12月、
私のやることリストにこんな一項目が加わった。

天狼院ライティングゼミに申し込む

これには少し時間がかかったけれど、
シールがほしい気持ちに勝てなかった私は、今、ここにいる。

私にとってのシールは、作業療法の「できました!」と一緒だった。
どんなに小さなことでも、できたことを確認し、
達成感を感じることが、次の一歩を照らす光になる。
金色に輝く「たいへんよくできました」を体いっぱいに貯めた私は、
ライティングという、新しい道へと踏み出した。

もし、東急ハンズの文具売り場のシールコーナーで、
にまにましながらうろついている人がいたら、温かい目で見守ってほしい。
その人は多分、背中を押してくれたり、できたことをねぎらったりする、
小さな光がほしい人だから。

なお、シールは、キラキラ、フワフワしているものが
より効果が高いことを最後に書いておく。

***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2017-02-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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