僕のラブレター
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:秋田あおい(ライティング・ゼミ平日コース)
出会ったのは5月だったかな。
調べものをしていたとき、ネットで偶然ヒットした川代ノートの記事。
それを読んだら、調べていたことがどこかへ飛んでいってしまったんだよ。
「この人の記事、ヤバい!」って、戦慄が走ったんだ。
今でもあの感覚を忘れられないけど、
記事の最後の方、ぶるっと鳥肌が立った。
それがきみとの出会いのきっかけ。
川代ノートのページの隅っこに、小さなきみを見つけてね。
僕は気になって、きみのこと、もっと知りたいって思ったんだ。
だから、きみに近づいていって、きみの話をじっくり聞いてみた。
きみの話は、なんていうのかな、ピュアなんだ、とても。
そのまんま僕の中にスッと入りこんできてさ。
そして、なぜだか、電球ランプのオレンジ色の柔らかい光みたいに
僕を温かく優しく包んでくれた感じがしたんだよな。
そのとき思ったんだ、逃したくないって。
今、動かなければ、僕はきみを見失ってしまうって。
僕に迷いはなかったね。
すぐに、きみの連絡先にメールした。
そして「まずはお友達から」みたいな感じで、
きみに一歩近づけたんだ。それだけで、とても嬉しかったよ。
そこからの4か月という時間。
最初、僕には4か月は長いと思った。
きみと上手くやっていけるかっていう不安があったからさ。
1週間おきに、僕らはデートをしたんだよね。
待ち合わせ場所は、僕のパソコンの前。
僕はいつも、10分以上前にはそこにいて、きみを待っていたんだ。
そりゃそうだ、僕はきみに会いたくて、楽しみで待ち遠しかったんだもの。
会うたびに、きみに魅せられて、どんどん楽しくなっていったんだ。
デートでは、かなり充実した2時間をきみと一緒に過ごしたけれど、
楽しすぎて、僕は疲れるどころか、
デートのあとは、いつもハツラツとしていた。
感じたことのないような充足感と幸福感。
きみはいつも、僕にそれをくれたんだ。
僕はね、それがとても嬉しかったんだよ。
だから、きみにお返しをしたくなったんだ。
きみのことを想いながら、心を砕いて時間をかけて作り上げた僕の文章。
きみへの直接的なメッセージではなかったけどね。
月曜の晩にいつも、僕はそれをきみに宛てて送ったんだ。
一度も欠かしたことはなかったはずだよ、たしか。
僕の文章、きみはいくつか気に入ってくれたよね。
気恥ずかしかったんだけどさ、すごく嬉しかったよ。
ありがとう。
「それ、つまんない」って
突き返されちゃったものもあったけどね。
でも、なにがつまらないのか、どこが気に入らないのか、
きみは正直に言ってくれたから、
僕はそこでも学びを得たわけだ。ありがとう。
僕さ、ずっと考えていたことがあるんだ。
僕がどうしてこんなに楽しいのかって。
きみはどうしてそんなに魅力的なのかって。
最近、その理由がやっとわかったんだ。
それはね、きみが、
きみのやっていることや、きみ自身を
めいっぱい楽しんでいるからなんだよ、きっと。
誰かを楽しませようとしているんじゃなくて、
きみ自身が楽しんでいるの。
僕はそれに気づいたんだ。
しかも、きみは自然に、周りをどんどん巻き込んでいく。
きみを見ていると、こちらまで楽しくなってしまう。
きみの話を聞いているうちに、
気づけば僕も、きみの楽しい世界に引き込まれているんだ。
きみの話を聞いているとさ、
自分が書ける人になったような錯覚に陥ったりもするんだよな。
僕も小説いけるんじゃない? みたいな。
僕の中にある「文章が書けるようになりたい」という
言葉でしかない、夢とも言えない漠然とした思いが、
色付きの映像で浮かび上がってきてさ。
その中では、僕、書いているんだよ。
小難しい顔して、フィクションの小説をさ。
そんな楽しい幻想も僕に見させてくれたんだよね。
まったく、きみは魔術師みたいだって思ったよ。
本当に本当に楽しい時間だった。
さて、長いようで短い、楽しかった4か月が
今、終わろうとしている。
僕はいろいろと考えて、決断しなくてはいけない。
これからの僕の人生のことだ。
きみから学んだ知識を活かしていくには、
もっともっと練習が必要だ。
僕は、きみが包み隠さずさらけ出してくれたすべてを
受けとめて、消化したい。
そのために僕がすべきことは、ただひとつ。
書き続けること、ただそれだけだ。
全然、苦じゃないよ。
だって、書くことは楽しいと、きみが教えてくれたじゃないか。
それに、僕は「書きたい!」っていう破裂寸前の気持ちを
いつも胸の中に秘めているからね。
僕は書くことを生きる手段にはしないと思うけれど、
常に携えておく。
僕が綴ったブログやメールマガジンで、
僕の周りの大切な人の人生、そして僕自身の人生に、
いろどりや温みを添えたり、刺激を与えたりしたいと思っているんだ。
もしも僕がエッセイストになったら、
些細な僕の日常を面白おかしく切り取って
みんなの顔に笑顔を咲かせる。
もしも僕がライターになったら、
みんなの役に立つ話を発信して、
みんなの心に火をつける。
誰かが抱える問題の解決の糸口になったら最高だ。
もしも僕が小説家になったら、
心が休まらないようなドキドキをみんなに経験してもらう。
スリル満点のミステリーやSF、艶っぽい男女の情愛とか、
いろんな話を書いて、みんなの心を揺さぶるんだ。
僕は書き続けるよ。
まだまだ未熟だけれど、きみのことを想いながら、僕は書き続ける。
僕の人生は変わったんだ。
だって、まさに今、僕は書いているだろう?
きみの言っていた「人生を変える」という言葉。
きみとの4か月を経て、僕にはそれが見えてきたんだ。
これから先も、僕のすぐそばに、きみが居てくれたらと思う。
そしたら僕は自分の人生をもっと変えられるかもしれないだろう?
簡単ではないことはわかっているけれど、
今やっと、スタートラインに立てたんだ。
きみが居てくれたら、どんなに心強いだろうと思う。
でも、もし、僕らがサヨナラして離れ離れになったとしても、
僕はきみを忘れないし、感謝の気持ちも忘れない。
きみを想いながら、僕は書き続けたいと思っているよ。
きみの華やかな活躍を陰で応援しながらね。
そろそろ終わろう。
短い間だったけど、僕は本当に楽しかった。
素敵な世界を見せてくれたきみに、
心からありがとう。
僕から、僕が好きになった天狼院書店へ、
最初で最後のラブレター。
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