メディアグランプリ

傷だらけだからライティング・ゼミを受ける


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:藍(ライティング・ゼミ 平日コース)

 
 
自分にはたくさんの傷がある。だから、天狼院書店のライティング・ゼミに参加しようと決めた。

無数の傷のなかには、意地の張り合いで発した一言で、大切な友達との仲が壊れた中学生時代もあるし、あまりに一途になりすぎて、大好きな人にフラれた傷もある。ほかにも、練習のキツさにめげて夢を諦めたこと。就職活動に失敗したこと。道端で不用意に発した一言によって、全く知らない人から怒鳴られたこと。これらがすべて傷となって、今の自分に刻まれている。

物理的な傷もある。幼いころ、石段で転び、右眉の端には縫った跡は今でもうっすらと残っている。お遊戯会のステージから落下し、耳の縁にも縫った跡もある。中高時代に2回も左足首の靭帯を怪我した傷跡もあるし、靭帯の治療中に運動できなかった期間が1年弱ずつあったせいか、それ以来、ずっと肥満体型というオマケまでついた。

大学時代に父が病死したことも、未だに消えない心の傷になっている。何か自分にできたことがあったのではないか。あんなに早く父との別れが来ると分かっていたら、もっとあんなことも、こんなこともしたかった、と。

社会人になってからも、上司に反発したことが取り返しのつかない事態を招いたという嫌な思い出も傷として残っている。数え上げればキリがないと書きたいところだが、そうでもない。確かにここにすべての傷は書いていないが、他の傷もだいたい同じようなものばかり。きっと大した数ではない。

でも、されど、である。これらの傷はいつも記憶のなかでしつこいカビのようにこびりつき、ふとした瞬間に蘇り、ぐるぐると頭を駆け巡る。悪い記憶が次のよくないことを呼び込むように、同じような傷が大きさや種類を変えて増え続ける毎日だ。

もちろん、傷や怪我を避けようと常々思っている。しかし気を付けようとすればするほど、脚がすくみ、動けなくなっていた。不用意に発した過去の一言が気になり、どんどんコミュニケーション下手になる。時には、こんなに傷ついた自分を自ら憫むことで、自分を慰め、「もう過去の嫌なことは忘れよう」と何度思ったことか。

当然、そんなことでは解決しない。それで解決しているなら、この場にはいない。ここ数カ月、こうした堂々巡りがいつになく繰り返さえ、傷がどんどん増えるばかり。最近は堂々巡りというより、悪循環という感じで、毎日のように新たな傷ができ、もがく日々が続いていた。

そんなタイミングで10月4日が来た。天狼院書店のライティング・ゼミの初日である。以前からライティング・ゼミのことは知っていた。気にはなっていた。でも、ゼミ当日の朝になっても、申し込むまでには決心がついていなかった。

それが、10月4日の朝、日課のようになっている「ほぼ日刊イトイ新聞」を読んだときに変わったのだ。読んだコラムは、山田ズーニーさんの「おとなの小論文教室」。今回のテーマは「傷がくれるもの」だった。ちょうど2週間前に同じコラムで「傷を治すチカラ」が取り上げられており、それが自分のなかの傷について考えるきっかけになっていた。2週間前、コラムを読んだ後に、何かヒントを得た気がしていたけれど、うまく消化されず、まだ悪循環のなかにいた。今回こそ、今の自分に必要なアドバイスが書いてあるんだ! そう思い、食い入るように読んだ。

ここではコラムの内容については割愛する。他の人がどう感じたかはわからないが、私はこの2本のコラムを読んで、傷つくことは決して悪いことばかりではないと思えたのだ。何より、傷つくことで、それまでの自分にないものに気付く可能性が開けるのではないか。

そう感じた時に、頭をよぎったのが、天狼院書店のライティング・ゼミのことだった。もともと文章を書く機会は少なくない。そのためか、文章を書くことについて特別な苦手意識はないものの、このままではいけないのかもと感じていていた。なのに、ライティング・ゼミを躊躇したのは“課題”があるから。仕事があるなかで、課題に取り組んで、採点される。文章がうまいわけではないので、きっと講評で傷つく。もうこれ以上、傷を増やすのはイヤだ。だから、申し込みをためらっていたのだと。

でも、たとえ傷ついても、自分にはないものに気付かせてくれるものなら、何をためらう必要があるのだろう。気になっているなら、自分から傷ついてみよう。そう素直に思えた瞬間、ライティング・ゼミへの申し込みを終えていた。気付いていない自分を知るのは、楽しみでもあり、怖くもある。もちろん傷つきたくはない。それでも、新しいことを知り、傷だらけの悪循環から抜け出せるチカラをくれるなら、挑戦してみよう。そう思っている。これから4カ月間、よろしくお願いします。

 
 
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2017-10-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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