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メディアグランプリ

私にはツノがある 


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:さつき(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 

*フィクションです
 
ひとの心に伝わる文章を書けるようになりたい。
そう思ってライティングのトレーニングのため、規定の長さの文章を書いては週に一本投稿して、良ければネットの記事として掲載してもらえる、というオンラインスクールを受講している。受講して数か月になり、講義の動画を見ては仕事で手が回らないとき以外は課題も提出しているが、どうにも上達した気がしない。むしろだんだん下手になっているようだ。
実際、採用となる率もじりじり悪くなっている。
そのサイトには「ボツ原稿の5つの理由」というのがあるのだけれど、先週の提出でその5つめを見事コンプリートして不採用になってしまった。さすがにちょっとどこから改善していいのか、何から手を付けていいのかお手上げである。
「こういう時こそたくさん書いてくださいね」とスタッフの方からはコメントを頂いたが、たくさん書いての現状である。課題も週に数本は書く上に、仕事で毎日数千字は書類を書く生活だ。溜息しか出ない。
 
仕事でも何でも、行き詰ってしまった時は、最初からきっちりと振り返ってみるに限る。今まで自分の提出した原稿を、初回から提出した順番に読んでみることにした。次に、採用されたものと、不採用だったものに分けて、……
 
あっ、と声が出た。
こりゃあ、ダメになっていく訳だ。全部腑に落ちた。
 
採用になった原稿には、うまく書けているものも、ちょっと、なものもあるが、読んでいると話題が明るい、暗いによらず、なぜか気持ちがほこほこ暖かくなってくる。
これを書いた時、楽しかったもの。好きなこと、大切なことを書いたもの。2000字を、花をめでて育てるように書いたもの。
だがその後、回を追うごとに提出した原稿は怒涛の勢いでつまらなくなっていく。
「最後まで書ききってください」と言われれば最後の章が伸び、「読み易さがちょっと」と言われれば漢字が減って、「病気の話はセンシティブ」と言われればそれを避けて。
採用になるがために、さして書きたくもないことを、一生懸命書きたくないように書いている自分がそこにはいた。
「量をたくさん書いてください」とも言われたが、いったん最後まで書き上げてから時間をかけて手を入れて直していきたいほうなので、最近のほうははっきり文章が荒れてしまっている。そしてそれを指摘されて不採用になっているのだ。
角を矯めて牛を殺す、という。
不採用になった原稿は、角を抜かれ皮を剥がれた生きの悪い牛肉のようにそこに転がっていた。
そしてその角を切り落とし生皮を剥いだのは、間違いなく自分なのだ。
 
そりゃあ採用になってサイトに文章が載ればうれしい。書き手は皆さんかなり文章が上手な、熱心な人ばかりなのだから。でも所詮、ネットの片隅のスクールのサイトに1ページ頂けるだけのこと。小学生のお習字やお絵描きが教室の壁に貼ってもらえるようなものだ。貼ってもらえれば確かに認められたわけで嬉しいが、それが何かを変えるわけではない。本当に文章で勝負したければ、「はてな」でも「なろう」でもその道の有名サイトに文章を載せて打って出るなり、企画書を書いてリアルな出版社に送るなりすればいいのだ。
それを選ばず、敢えて今この場を選んでひいひい言いながら書いているのは、習作が並ぶスクールのサイトに載せてもらうためではなく、ライティングの技術を身に着けて、大切な人たちの心に、大切なことをしっかり伝えるためだ。自分には伝えたい大切なことがたくさんあるのだ。
うっかり採用不採用とか点数とかがつくばっかりに、それに踊らされてしまった。自分にとって一番大事なことを見失うところだった。
 
次は採用されるためじゃなくて、自分と大好きな人たちのために、大好きなことを書こう。夜長に好みの良い紅茶でも入れて、ちょっと甘くしてゆっくり味わいながら。
時間がかかってもいい、心の中から大切なものを一個ずつ取り出して、ぴっかぴかに磨いて世に出そう。
誰がほめてくれなくても、私はそれで大満足だ。作家やライターになるわけじゃないから、お上手に書けなくてもいい。でもちゃんと心が伝わるようになれば、嬉しい。
必ずしも素敵な文章が採用になっているわけでもない。お習字の教科書のお手本が上手だけれども心を惹かないように。なんて素敵なんだろうと思っても、些細とも思える書き方のミスで不掲載になっているものもある。
もう採用不採用に一喜一憂するのはやめよう。アドバイスはしっかりとありがたく頂いて、コースが終わった時にちょっとでも「つたわるチカラ」が得られていれば良いじゃないか。
 
私にはツノがある。誰かを痛がらせたり傷つけたりするかもしれない。
だけどそのツノは切らなくていい。
むしろのびのびとツノを立てよう。広い草原をあっちこっちと突き当たりながら書き続けよう。
きっといつか誰かが、そのツノ素敵だね、って言ってくれると思う。
 
スクールの先生には、そんなことは原稿を「出してからおいで」と言われちゃうのかな。
 
 
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2017-10-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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