メディアグランプリ

天狼院書店にだまされた日


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:姫蝶(ライティングゼミ平日コース)

 

 

「だまされた!」

 

それは11月1日のことだった。私が池袋駅に降り立ったのは多分人生で二度目だったと思う。せっかく東京に来たのだから、天狼院書店にでも行ってみようかな? そう思って、特に用事もないのに、はるばる東京駅から山手線で真反対の池袋駅に向かった。

 

初めての池袋は多分20年ほど前、池袋駅周辺はごちゃごちゃしたイメージがあった。当時より少しは洗練されたかもしれないが、今回も池袋のそのイメージは変わらなかった。携帯電話を片手に天狼院書店のHPを見ながら、ジュンク堂書店を目指す。なぜ、天狼院書店の競合相手である書店、しかも大手書店の近くの場所を選んだのか、謎である。

 

ジュンク堂書店を曲がると、東通りに入る。そこは、池袋とは思えない、少しさびれてはいるが、ちょっぴりお洒落な落ち着いた感じの通りだった。しかし、歩いても、歩いても、書店らしき建物は見当たらなかった。書店というと人の出入りが多く、店頭に本が並び、ぱっと目につきやすいという印象があった。ようやく書店っぽい建物が目に入ったが、残念ながらそれは天狼院書店ではなく、別の書店だった。すっかり歩き疲れたなと思ったとき、天狼院書店の名前が目に入った。しかし、あれ? 入口はどこだ? 書店といえば、路面店、1階にあると思い込んでいて、しかも東京なのでワンフロアは狭く、何階かフロアがある書店だろうと勝手にイメージしていたが、いくら探しても1階に入口は見当たらず、なんと階段を上がった2階が入口だった。

 

エレベーターに乗ろうかと思ったが、古びたエレベーターは2階に通じていないようだったので、恐る恐る階段を上がり、どきどきしながら、まるでカフェの入口のようなドアを開けた。そこは、カフェスペースのある書店、いや、その逆で、まさに本屋併設のカフェだった。

 

 

私はライティング・ゼミを通信受講しているが、動画では三浦氏とホワイトボードしか映らないので、まさか三浦氏がこたつで講義しているとは思わなかった。あの講義を真面目な顔で、こたつでやっていたなんて!

 

こたつの下は恐らく収納スペースになっているのだろう。機能面も工夫された書籍に囲まれたこたつスペースでは、書店のスタッフがパソコンを広げて仕事をしていたが、こたつで団らんではなく、こたつが仕事場という書店は世界中探しても、ここだけかもしれない。

 

つまり、私はまず動画で完全にだまされた。

 

その1、三浦氏は書店の中の一室でライティング・ゼミの講義をしていると思った。

その2、こたつスペースは別にあると思った。

その3、そのため、ワンフロアは狭くても何階かフロアがある書店だと思い込んでしまった。

 

結局、これら全てが同じ空間にぎゅっと凝縮されていたのだ。

 

 

「サービスとは、ホスピタリティではなく、読者をだますこと」

 

ライティング・ゼミ第三講で三浦氏が言っていたように、私はすっかりだまされてしまった。しかし、それが「ひどい書店だ」ではなく、「面白い書店だ」という感情につながったのであれば、だますことも確かにサービスなのかもしれない。いや、動画はだまそうという意図で撮られたのではなく、私が勝手にだまされただけなのかもしれないが。

 

 

入口付近の「お奨め本コーナー」に、三浦氏の書き込み入りのボロボロのマーケティング本が飾られてあった。確かにこれは書店に入った人の目を惹く。私も大学時代は、国家試験対策もあったので、専門書に調べたことを書き込んだり、付箋をつけたり、ぼろぼろになるまで使い込んだ。今でも、専門書でも、辞書でもなんでも、重要と感じた場所、心が動いた場所を、あとから再読しやすいようにマーカーで線を引くのが好きだ。線を引かないと本を読んだ気がしないし、手を動かさないと頭に入らない気がするからだ。

 

最近は書籍をネット注文することが増えたが、少し前までは仕事帰りに書店に寄るのが好きで、様々な分野の師匠との出会いは、誰から紹介されたのでもなく、すべて自らが手にした本がきっかけだった。その経験が多くあるから、書店に行くとわくわくする。本を読んで、その著者に興味を持ち、すぐに著者に会いに行く。例えメンターといえる存在が職場にいなくても、本でメンターに会える。私にとって、本は出会いのきっかけ、行動のきっかけ、視野を広げるきっかけとなっている。

 

人生とは、自分の思い通りの道を歩むのではなく、意外性があるからこそ面白い。そういう意味では、自分のアンテナに引っかかった、自分が選んだ本だけでなく、誰かのお奨め本を読むのも面白いかもしれない。最近は、人に奨められた本を読むことも増えてきた。本を読むのは最もリスクの低いチャレンジで、お金も時間もそう費やす必要がない。

 

 

ふらっと天狼院書店に行った日、スタッフに奨められて「一坪の奇跡」を買ってみた。奨められなければ手に取ることもなかったであろう一冊の本。

 

「だまされた!」

 

結局、奇跡でもなんでもなかった。だまされたと感じたとき、それは、あなたの新たな扉が開いた瞬間なのかもしれない。

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2017-11-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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