メディアグランプリ

心と身体をつなぐもの


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:木村なほこ(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
 
私は今、ヨガのインストラクターをしている。
もともとはデスクワークの会社員をしていて、運動なんて全くしていなかった。
そんな私が、なぜインストラクターになったのか。
それが実は、私にもわからないのだ。
そんなつもりなんてなかった。
 
なぜかわからないけど、ある時「ヨガ」が気になった。
存在は知っていたものの、正直なんだかよくわからなかったし、運動は別に得意でもない。
ストレッチのようなポーズをするらしい、というくらいの知識しかなく、でもなんだか気になる。単なる運動ではない気がした。
 
しばらく気になっているだけで何も行動を起こせない日々が続いていた。
はじめてのことを始めるには、勇気がいるものだ。
だけどある時、勇気を出して、家の近所にある小さなヨガスタジオに行ってみた。
 
最初は本当に、身体も硬いし、インストラクターの言うことをその通りに動けないし、ひどいものだった。自分のイメージ通りに身体を動かすことが、こんなに難しいということに驚いた。
だけど私は、自分の身体の歪みを発見した。今まで気づいてもいない歪みだった。
まっすぐに前屈できない。
まっすぐのつもりが曲がっている。
まっすぐにしたい、この身体をどうにかしたい、という気持ちがまず沸いた。
そして、歪みまくって、思い通りに動けなかったにもかかわらず、終わった後には、心が落ち着き、おだやかな、心地良い自分を感じることができたのだ。
そんなことを期待していなかっただけに、私はその魅力に取りつかれた。
この魅力の秘密を、もっともっと知りたくなった。
 
回数を重ねるごとに、身体が柔らかくなったり、ポーズができるようになったり、そして問題の歪みも、すこしずつ改善していった。
もちろん、それもすごくうれしく楽しいことだった。
でも、それ以上に、終わった後に得られる、心の落ち着き、おだやかになれる感じが素晴らしく、気持ちが良かった。
週に一度のヨガクラスが、本当に楽しみでならなくなった。
 
そうして続けるうち、私はなぜそうなるのか、その秘密をどうしても知りたくなった。
そして、この「ヨガ」というものは、単純に身体を動かすということだけじゃなく、もっと奥深いものだという予感がどんどん強くなっていき、体系づけて学びたい、という気持ちが抑えられなくなった。
そうして私は、近所の小さなヨガスタジオを卒業し、「プロ」を育成するヨガスクールに入学した。
 
体系づけて知りたい、全体を把握したいと思うのは、私のクセだ。
そういう学校に入ったとは言っても、最初はインストラクターになるつもりなんてなく、ただ「知りたい」というだけだった。
そうして学んでいくと、奥の深さにどんどんのめりこむことになる。
 
やっぱりヨガは、身体を動かす、単なるストレッチではなかった。
身体が柔らかくなるというのも、歪みが直るというのも、それは付加価値、結果にしか過ぎないことを知っていく。
始めた頃の私が、なぜ自分のイメージ通りに身体を動かせなかったのか、今ならわかる。
 
例えば、足の指って、自由に動かせるだろうか?
私は、足の指でチョキ、なんてもちろん、指を全部開いてパーの形にすることもできなかった。曲げようとしたら全部いっぺんに曲がってしまうくらいだった。
それがいまは出来る。
足の指に意識が届くようになったから。
デスクワークをしていた頃、足の指に意識なんてなかった。
ヨガを続けていると、足の指だけでなく、全身に意識を届けられるようになっていく。
ポーズは、外から見た形が大事なのではなく、自分がどう感じるか、ということが大事。今使っている部分に意識を集中させ、内側から、その感覚を観察する。
それが大事なこと。
そして呼吸。できるだけゆっくりと、意識して呼吸を続ける。
呼吸は無意識にも出来てしまうけれど、それをあえてコントロールする。
呼吸は自律神経にも大きく作用するから、心もゆったりとしてくる。
緊張した時には深呼吸すると落ち着く、というけれど、それとおなじことだ。
 
自分の内側の感覚に集中していると、外側へのこだわり、他人と比べることは意味がないと分かってくる。ポーズに完成なんてないのだった。
心地が良い、身体が快適である、というのは、外から見ても、他人にはわからない。
自分が自分と向き合うしかない。
ヨガは「直すもの」ではなく、「気づくもの」だったのだ。
 
そして歴史も学んでみると。
身体を使わない、いわゆる「瞑想」は、なんと紀元前までさかのぼる。
現代のヨガの中心となっている、身体を使ったヨガは中世には体系づけられている。
そのメソッドが、今の科学で検証しても、人の身体と心に有効だと裏付けされているのだ。
過去の偉人たちの壮大な知恵の結晶だったのだ。
 
そのコースを終えるころには、この学んできたヨガのすばらしさを皆に伝えたい、シェアしたい、という気持ちが湧いてきた。
だってヨガは、単なるフィットネスじゃないのだ。
心と身体をつなぐ、ものすごい知恵と叡智の詰まったもの。
 
そうして私はヨガを伝え始めた。
伝えた人が、心穏やかに、軽やかに帰っていく様子を見るたびに、私はうれしく思う。
なんだか気になる、という直感は、私を意外なところへ導いてくれたけれど、その直感に従ったことを、本当に良かったと思っている。
 
もし、なんとなく気になっている、という人がいたら、ぜひはじめて見て欲しい。
最初の目的が、「身体が柔らかくなりたい」でも、「ダイエット」だったとしても、その先にあるものを感じ取れたら、きっとそれだけでは済まなくなるほどの、実りのあるものだから。
 
 
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2017-12-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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