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メディアグランプリ

足がすくんでも積み上げていくこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:青木文子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「ルールは無視でいいですよ」
6年前の秋のおわり。Facebookに書き込まれたコメントだ。この一言から私の俳句人生が始まった。

「文ちゃん、140文字エッセイ読みましたよ。きっと俳句が向いていると思うから、俳句、詠んでみませんか?」

当時私はツイッターで「140文字ピッタリエッセイ」という遊びをしていた。私が発案した一人遊び。ツイートの文章の最後の「。」でちょうど140文字になるようにエッセイを書く遊びだ。
そのエッセイを読んで声をかけてきた人がいたのだ。「文ちゃん」とは私のことだ。もちろんそれまで俳句なんて詠んだことはなかった。その人のことを私は「京愛師匠」と呼んでいる。本名は知らない。Facebookで知り合った俳人の方だ。俳号が「京愛」だから「京愛師匠」。

「文ちゃんの140文字の中に、幾つも俳句が隠れているんですよ」

そう京愛師匠は言った。

京愛師匠は脳性まひで、高等養護学校に通っていたときに俳句を始めたという。その指南をしたのが高校の古文の先生で、有名な俳人石田波郷のお弟子さんだったそうだ。高校時代から俳句を詠み続けて今は俳人協会の終身会員だ。

え? 俳句教えてくれるんですか? 

「いえ、教えませんよ。たまにチャチャは入れますけれど」
そう言って京愛師匠は私にこんな提案をした。

「ルールは無視でいいですよ」

あれ? 俳句ってルールを守ってはじめて俳句なんじゃないの? 例えばほら、五・七・五とか、季語を入れるとか。「なり」とか「けり」とかいろいろルールあるはずだよね? 

「ルールよりも沢山詠んで、文ちゃんの身体の中に五七五のリズムができてくる方が先です」
「ですから、今は俳句の指南本は読まなくて良いです。いや、逆に読まないほうがいいです」

「ルールは無視でいいですよ」
ルールは無視でいい、そういわれてみると急に空が高くなった開放感があった。
面白い、と思った。ルールは無視で、指南書も読まなくて、沢山詠むのなら私でもできるかも。

声をかけられたのが、ちょうど6年前の10月30日。
句のことも知らない、全くの初心者の私でも沢山の量を詠むことはできるかもしれないと思った。沢山詠もう。とにかく沢山詠んでみよう。1日1句? でもそれだと1年で365句しか詠めないな。じゃあ、1日3句は? 単純に計算して1年で1000句詠める! そんな単純な計算をして、そこから毎日3句を詠み続けている。

「全部に責任とろうとしなくていいんですよ」
毎日詠んでいる俳句はfacebookに投稿している。京愛師匠が、私の俳句にこんなコメントを書いてきたことがある。
はじめたころ、「今日こそはもう1句も詠めません」とよく途方に暮れていた。
私が句作に苦しんでいることを見てとったかのようなコメントだった。

「読み手がどう読むかまで責任をとろうとしなくていいんです」

その頃の私は「この句はどう読まれるだろうか」そんなことを考えながら句作をして、身動きが取れなくなる、時間ばかりかかるそんな繰り返しをしていた。きっと京愛師匠にはそれが見えていたからこそのコメントだったのだろう。身体がふっと楽になった。

毎日3句詠み続けている俳句は、2017年の年末で2208日目、6624句になった。
俳句を詠み始めて何年かたったある日、句会に誘われた。驚いたことに幾つもの句が選ばれた。一人の参加者の人に言われた。
「青木さんは句をどこで習われましたか? あまり見かけない新鮮な句ばかりで」

今、天狼院のライティングゼミで毎週2000字の課題記事を書いている。なぜ、こんな頼まれてもいない毎週2000字の課題を書く気になったか。それは俳句と同じように沢山書いてみようと思ったからだ。書く「量」を自分の中に積み上げてみようと思ったからだ。毎週毎週、とにかく2000字を書く。もし、このライティングゼミを受けていなかったら、きっと書かないであろう毎週2000字。1か月で8000字、ライティングゼミの4か月で3万2000字。

俳句も文章も、その質を問われたら、きっと足がすくんでしまう。他のことでもそうなのかもしれない。最初から質を求めること、ルールを守ることを課してしまったらきっと身動きが取れなくなる。質はともかく、ルールはともかくとすれば、量を重ねることは初めての人にでもできるはずだ。

そんなわけで今日も私はこうしてライティングゼミの2000字の課題を書いている。今日も毎日の3句を詠んだ。質はまだまだだ。それもよくわかっている。でも質の前で立ちすくむよりも、量を重ねていこうと思う。量を重ねていくことこそが、自分のその先に扉に届く階段をつくっていくという予感があるから。
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2018-01-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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