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「紅一点」って、大変なの? 30代女性、職場で紅一点のわたしが、ライティング・ゼミに申し込みするまで


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:福田彩(ライティング・ゼミ ライトコース)
 
 
紅一点。それは、男性ばかりの環境において女性が一人だけいる状況。ドラえもんで言うところのしずかちゃん、宇宙戦艦ヤマトなら森雪。
 
わたし(30代女性)の勤める会社は、メーカーだ。男女雇用機会均等法が1985年に制定され、1986年の施行以降、世の企業は女性の採用を徐々に広げていったわけだが、うちの会社もご多分に漏れず、昨今の「多様性ある社会」を求める世相を反映し、意識的に女性の雇用を進めてきた。だから昔に比べれば女性社員がかなり増えたのだという。しかし、こと自分の職場という単位で考えると男性率が圧倒的に高い。会議などの場で、わたしが紅一点になることは多々ある。日本の企業、特にメーカーって、まだまだそんなところが多いだろう。この環境について、「男性ばかりの中で頑張って、大変だね」「女性が少なくて、寂しいだろうね」と言う人もいるが、果たして大変なことばかりだろうか?
 
いや、違う。紅一点はまったく大変なことなんかじゃない、わたしを、堕落してダメにする、まるで麻薬のようなものだ!
 
わたしはこれまでの人生を振り返ってみても、紅一点に慣れている。まずは高校生のとき、クラスメイトに誘われ入ったバンドは、自分以外の全員が男性だった。そして、よく集まって飲みに行くメンバーは大学時代から仲良くしてもらっている先輩たちで、みんな男性。社会人になってからも、先ほど言った通り職場がそんなところなので、同期で集まってもほぼ男性。そしてわたしはいつも、「紅一点とは、なんて楽なんだろう……!」と思うのだ。
 
それがなぜか説明するには、まずは女性がたくさんいる中に、女性である自分が混ざった状態がどのようなものか話したい。例えば、女友達がたくさん集まった飲み会を想像しよう。ある人は、おしゃれでカッコイイ。ある人は、親切でよく気を利かせる。この人は情報通で、懐かしいメンバーの近況を教えてくれる。……などなど、多種多様な個性が溢れ、お喋りに花を咲かせている。一方で、みんなの話に相槌を打つわたし。いやー、みんなすごいな。飲み会はとても楽しいのだけれど、彼女らに感心するばかり。自分の価値など何も無いように感じて気後れし、その場での役割をなかなか見つけられないのだ。心のどこかに焦りを抱えたまま、素敵なみんなのことを羨望の思いで見つめている。何だったら飲み会の次の日には、「また面白い話をしようと思って、余計な事を言ってしまった」とか、「気を利かせてお箸や取り皿を回すべきだった」とか、自らの至らなさ加減を激しく後悔しながら、二日酔いに悶絶しているのだった。
 
それに対して、周りに男性しかいない状況ではどうだろう。……なんと「自分だけ属性が違う」というだけで、自動的に、価値ある存在になれるのだ。当然、彼らもみんなそれぞれ魅力ある人たちで個性に溢れているが、だからと言って焦らなくてもいい。だってわたしだけ特別枠だから。誰かの話すエピソードに適当なコメントをすれば、それは女性の中から取り上げられた貴重な1サンプルが、彼らとは違う立場から発する、ちょっと価値ある意見になる。大袈裟に言えば、その場では女性代表という役割が与えられており、それをこなしている限り自分の居場所が存在するのだ。だから、特段面白い話ができなくても、別にいい。多少の粗相があっても、まあ、別にいいでしょう。そんな甘えと言うべき安心感に、一人勝手に包まれている。男友達のみなさん、実はそうなんです!
 
しかし、友達どうしの場で勝手にそんな風に思っているのならまだしも、職場で同じような思考回路を働かせると、一体どうなってしまうのだろう。普段の自分を思い返してみよう。
ああ、周りの優秀な人たちはみんなすごいな。あんな風に素早い判断で処理ができるなんて。あんな風に大局的な視点で物事を考えて、自分の仕事を動かしていけるなんて。まあ、でも、わたしには、特別枠という価値のおかげで、居場所がある。ちょっとやそっと仕事ができなくても、別にいい。突出した能力がなくても、そんなに貢献していなくても、なんかみんな優しくて楽しく過ごせているから、別にいい。このままぬるま湯に浸かっていられれば、それでいい……。
 
……あれ? いつの間にか、めっちゃ堕落してるやん!!
 
ああ、紅一点、まさに麻薬なり。いつの間にかわたしを堕落した思考に染め上げ、事あるごとに「まあ、別にいい」と思わせ、それを習慣化させていく。挙げ句、将来的には何も出来ないヤバイ人に仕立て上げるのだ! そして今、堕落しているのはまるで環境のせいかのように話しているが、甘えまくっている自分のせいであり、そんな奴は、職場においては願い下げだ!
 
さてこのままではイカン、というわけで、やっぱり何か能力を磨かないといけないと思い至った。どこでも重宝される資格ってのもいいし、みんなができる事を自分も優秀にこなせるようになれればそれもいいけれど、それこそ、どうせなら今この職場で、大多数の人が持っているものとは違う何かを……。
そのような紆余曲折の中、わたしは天狼院書店のwebサイトで「人生を変える」と謳うライティング・ゼミの開催告知を目にし、思わず申し込みをしたのであった。だから、わたしが本当に価値ある存在になるのは、まだまだ、これからのこと。
 
 
 
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2018-02-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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