暗い暗い、天狼院ライティング・ゼミプロフェショナルコースという洞窟を登った先にあるものは……。《プロフェッショナル・ゼミ》
*この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:相澤綾子(ライティング・ゼミ プロフェッショナルコース)
夜中にふと目が覚める。ぼんやりとではなく、すごくクリアだ。いつも火曜日の8時頃から三浦先生は、天狼院ライティング・ゼミの課題のフィードバックを始めるけれど、昨日はなかった。毎回同じくらいの時間であることに気付いていた。この前の講義で三浦先生本人が言っていったから、間違いないはずだった。それなのに、昨日はなかった。何か特別な仕事でもあったのだろうか。私は枕の上の方に手を伸ばし、スマホにたどり着く。1時過ぎだった。フェイスブックの画面を開くと、ちょうど、三浦先生が私の課題の投稿に、「拝見します」と書き込んだ直後だった。
三浦先生がフィードバックしてくれるプロフェッショナルコースだけではない。他にも特講を受講しているけれど、起きている時は、そろそろフィードバックされるかな、とそわそわ気にしてしまう。職場での昼休みにチェック、職場を出てからは頻繁にチェックする。私が寝入ってからフィードバックが始まることがあるのだけれど、急に目が覚めてフェイスブックを見てみると、「拝見します」と書き込まれたばかりのタイミングであることが過去にも何度もあった。何だかそら恐ろしい。
掲載をされれば、その一週間は幸せな気持ちになり、シェアして友人たちからコメントがもらえれば、さらに舞い上がる。そうでなければ、なんとなく憂鬱な一週間となる。どんなことを書こうかと、家事をしながら、食事をしながら、常に考えている。仕事中でも突然アイデアが降りてくれれば、手帳にこっそりメモをする。ライティングコースは私の生活の中に染み込み、掲載が認められるかどうかは恐怖の宣告だった。あまりに気になり過ぎて、眠っている時であっても、天狼院から離れていても、フィードバック開始の気配に気付いてしまうということか?
今回も三浦先生からの合格はもらえなかった。先生からはこれまでにも様々な厳しいコメントをもらってきた。一番つらかったのは、「全体的に弱いですね。全体的に、まんべんなく、目が引っ付いてきません。決定打がありません」と書かれた時だった。その時は本当に、もう駄目かもしれない、と思った。でも心の中のもう一人の自分は、一晩寝れば、明日になれば、また書きたいと思うのだろうなあと考えていた。
小学校2年生の時に、担任の先生が、自分で宿題を決めて自分でやってくるという方針をとっていた。私はほぼ毎日日記を書いていた。文章を書くことは好きだった。書くことを極めるチャンスはこれまでに何度もあった。学生時代は文芸サークルに所属していた。就職でそういう道を探すこともできたはずだった。今は亡き祖母が「本を出したくなったらいつでもお金を出してあげるからね」と書くことを薦めてくれた。夫が「文章を書くのが好きなんだからやってみたら?」とまだそれほど広まってなかったころに、ブログの存在を教えてくれた。地元紙のライター養成講座を受講して、講師に「見込みがある」と言ってもらえた。そんな風に色んな人に背中を押してもらったことが何度もあったのに、ここまで先延ばしにしてきた。
そして3人の子育て中で、一番下はまだ2歳というタイミングで、天狼院に出会ってしまった。なぜ書きたいのかと言われれば、よく分からない。今の仕事にも使えるように、「仲間を増やしたい。理解者を増やせる文章を書きたい」と考えてはいるけれど、でもそれは表面上のこと。ただただ、書けるようになりたい。
ライティング・ゼミ 日曜コースを受けていた頃は、まだ良かったのだと思う。落とされて、落とされて、つらい思いはしたけれど、喰らいついてきてくださいという三浦先生の言葉を信じて、毎回課題を提出した。喰らいついて、諦めずに課題を提出していれば、習得できるという言葉だけを信じた。朝に、職場の昼休みに繰り返し講座の音声を聞き、頭の中に内容を叩き込んだ。そして、後半の掲載率は、4回に3回の割合となった。三浦先生が話していた「この講座の目標は最終的な掲載率を7、8割にすることです」という言葉のとおりになった。
でもプロフェッショナルコースは大きな違いがある。それは、プロフェッショナルコースは、5,000字を書ける能力を手に入れることを目的としているのだ。2,000字の壁を越えられるか越えられないかについては、まだ解明されていないという。だから私がプロフェッショナルコースを受講し、頭に叩き込み、身体に染み込ませても、書けるようになるかどうかというのは未知数ということなのだ。でもとにかく信じて進むしかない。
三浦先生はもっと量を書かなければいけないと言っている。
高校生の頃、国語・数学・英語に関しては、毎日ノルマを決めて勉強すると決めていた。休めば感覚がにぶり、後退してしまうと考えていた。だから、旅行などでできないことが分かっている時は、前倒ししてやったりした。願掛けみたいな気持ちもあったと思う。でも3年間欠かさずやり、自分はこれだけやったから大丈夫と自分を励ましながら本番に臨み、どうにか志望校に合格することができた。
量の大切さは知っているつもりだ。でも、その時とは何かが違うのだ。
受験勉強は、見晴らしの良い山を登るような感じだった。一歩一歩に進むごとに、正解であるかどうかを確かめることができた。問題を解けば、すぐに正解を確認して、それが正しいのかどうか知ることができた。間違えればすぐにそれを理解し、覚えれば良かった。なかなか習得できないことはあっても、どちらに進めばよいのか分からないということはなかった。
一歩一歩正解を積み重ねていくことで山を少しずつ登ることができて、圧倒されるような高い山であったとしても、いつかは頂上にたどり着けるという期待があった。
ところが、ライティング・ゼミプロフェッショナルコースは違う。三浦先生は、近道は教えているということは言ってくれている。だからそれを信じて進めばよい。でも書いても、そこにどんな問題があるか、という指摘をしてくれたり、場合によっては、こういう風にかけばよいというヒントをもらえることはあるけれど、正解が教えてもらえるわけではない。仮に教えてくれたとしたら、それは私の文章ではなくて、三浦先生の文章になってしまうのだろう。
正しい道を進んでいる時は、掲載OKがもらえる。そうでない時は、「違うよ、おかしいよ」、と言ってもらえるけれど、どう修正すればよいのかは、自分自身で考えなければいけないのだ。
登るためにどう足を動かせばよいのかということは、日曜コースの時に教えてもらえたはずだった。でも、それを真っ暗な中でやらなければいけないのだ。自分の書いた文章がどんな風に受け止められるのか、私にはまだ想像ができない。「これは大丈夫かな?」と考えていたのに、否定されることもある。周りが見えないのだ。
まるで、暗い洞窟の中を登っているような感じだ。講義の内容と、三浦先生からのフィードバックの声だけが頼りだ。その洞窟はまっすぐではなく、曲がっているらしく、出口があるのかどうかも見えない。でもそこに出口があると信じたい。
それでもやはり、量が大事になるのだ。暗いからといって怖気づいていてはいけない。足を動かし、確かめながら、次の一歩を踏み出さなければいけないのだ。動かさなければ、何も変わらない。
フィードバックが遅れた日、三浦先生はご自分のフェイスブックに、フィードバックのことについて投稿されていた。
「厳しくフィードバックするのは、そうすることによってお客様の未来がよくなると信じているからだ」
そういえば日曜コースの時にも「落とすことがサービスだと考えている」とおっしゃっていた。落とされるのはつらいけれど、落とされなければ、間違った一歩を進んでいることに気付かないまま行き止まりの分かれ道に迷い込んでしまうかもしれないのだ。厳しく言われて初めて、方向修正をしなければいけないことに気付くのだ。
暗い暗い、天狼院ライティング・ゼミプロフェショナルコースという洞窟を登った先には、すばらしい景色が待ち構えているのか。いや、そんなことはないような気がする。霧につつまれた空間があるのではないかなと想像している。書かれた文章を読む人たちの反応は書く時には見ることができない。どこまで行っても、読む人のことを想像しながら書かなければいけない。多分、見晴らしが良くなることはないのだ。
でもそれまで歩んできた経験があれば、うっすらと見える人影から、どう書くべきかが分かるようになるのだろう。自分が書いた記事がバズを起こした経験があれば、「これはイケる」かどうかが分かるようになるのだろう。
今はまだ本当に真っ暗な中で、出口も見えなくて不安がいっぱいだけれど、とにかく書こう。私はまだまだ書く量が足らない。三浦先生がおっしゃっていることも、頭には入っていても、全然身についていない。もっと時間をひねり出して、目を見開いて色んなことを捉えて、アイデアを心と身体の中から絞って、三浦先生の本気のフィードバックに恥じない量を書こう。
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