メディアグランプリ

教師という職業はなくなるのか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:橘薗 奈保 (ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
一説によると、10年後には人間が行っている仕事の約半数が機械に奪われるという。それだけ近年のロボット技術の革新は目覚ましい。
では、コンピューターが教師に取って代わることはあるだろうか?
最近はインターネット上で学生がディスカッションをする中でのやり取り、課題の履行率、講義の視聴率、成績などのデータを集めているオンライン講義や、問題を解く時間から理解度を測定したり、生徒の理解度に応じて階段付けされた問題を出してくれたりする教育サービスなどがある。また、学校でもタブレットで生徒がミニテストを解いて、瞬時にクラス内での誤答率を算出するシステムを採用している教師もいるようだ。
もしかしたら、いずれはセンサー技術などの発達などよって、コンピューターがより適切にアドバイスする日が来るかもしれない。
「この模試では2科目目開始から19分38秒、心拍数の上昇がみられました。もう一度この問題を解きなおしましょう」
「このテストは問3で15分21秒もかかっていました。解いている時間の配分が悪かったですね。問題を解く順番を考えてみましょう」
「体温や心拍数から今日の体調は良くないと判断されました。次の授業から欠席して帰宅しましょう」
すごい! こんな時代が来たら、教師はお役御免じゃないか!
 
しかし、私は実際には教師がコンピューターに職を奪われることはないと考える。どんなにAIが進化しても人間に叶わない点が2つあるからだ。
1つ目は相手の心の動きを読むことができないということ。
相手の心の動きを読むことができないコンピューターでは人間の教師の授業は再現できない。
授業はライブだ。ミュージシャンがライブツアーで同じ内容を何度もやっても演奏、MC、各会場でのファンの高揚感など、絶対に全く同じ内容にはならないように、授業も毎年同じ単元の授業をしても、その場にいる生徒が違うのだから絶対に同じ授業にはならない。生徒1人1人の理解度、教師との関係性、その日の疲れ具合などなど、様々な要因によって定着具合が違う。だからその時その時の生徒の様子を見て対応を変えていく。
「あ、今日は〇〇くんと〇〇さんが疲れているな。部活の大会があったからだな。テンポよく授業して早めに演習に入ろう」
「この様子だと〇〇くんを中心にわかってない人がいるな。もう少し黒板で練習しよう!」
「今の説明だとわかってないみたいだから、別の言い方で説明してみよう」
などなど、肌感覚で授業のスピードや話す内容を変えて生徒に寄り添っていくのだ。そして、生徒は達成感やその先生の授業に対する情熱、人柄によってその科目を好きになったり、得意になったりしていく。
 
コンピューターにそんなことができるとは到底思えない。AIの学習能力によって、生徒の誤答に合わせて出す問題の難度を変えることは可能だろう。生徒は小さく階段付けされた問題を着々とこなすことによって達成感は得られるに違いない。でも、それだけだ。その日の生徒の心の動きを把握したり、生徒に合わせて言い方を変えたりすることはできないだろう。
 
2つ目はコンピューター自体に感情がないということ。
コンピューターに「カンペキデスネ」「スバラシイデスネ」と褒められて嬉しいだろうか? 明らかに感情を伴っていないものに褒められても私はちっとも嬉しくない。また、人間のようにその科目、その授業に対する熱量があるわけではないから、コンピューターは淡々と授業する。感情を伴わないコンピューターに人のモチベーションを上げることはできない。
 
今後、ドラえもんのようなロボットかコンピューターが誕生すれば話は別だ。ドラえもんには教師の素質が備わっている。ドラえもんは血の通った人間なのだ。
ドラえもんには人間と同じように感情がある。ドラえもんはのび太とよくケンカをするし、ネズミがでたら怖がる。どら焼きを幸せそうに食べるし、恋愛だってする! 「ドラえもん」という一つの人格として、のび太を励まし、時には叱咤し、一緒になって笑ったり泣いたり悩んだり……実に人間臭く接してくる。だからこそ、「毎日の小さな努力の積み重ねが、歴史を作っていくんだよ! (ドラえもん第40巻)」、「なんでもいいなりになるから悪いんだよ。いやなことはハッキリいやといわなきゃだめじゃないか! (ドラえもん プラス第3巻)」といったセリフによってのび太やその周囲の人々、そして私たち読者は心が動かされるのだ。
ドラえもんのようなロボットかコンピューターが誕生するということは、血の通ったもの同士のコミュニケーションをAIが再現するということだ。つまりそれはAIが感情を持つということと同義だと思う。道徳的に考えても今のこの世の中でドラえもんのようなロボットやコンピューターが誕生することは不可能に近い。
 
以上のことからコンピューターが教師に取って代わることはないと考える。しかし、コンピューター技術の進歩によって教師の授業技術を向上させることは可能だ。教師によるライブ感たっぷりの授業は残しつつ、AIの良い面を取り入れていくことでより質の高い教育を提供できる。コンピューターの方ができることはコンピューターに任せることで、人間にしかできない、感情を伴う技術力の向上に全力を注ぐ。こうして、教師という職業はなくなるのではなく、進化を遂げていくだろう。
 
 
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

http://tenro-in.com/event/44700

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2018-02-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事