メディアグランプリ

デジタルの進化が止まらない今、私はフィルムに恋をしている


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:廣渡一子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
最近のデジタルは本当にすごい。
 
iPhoneの最新機種では一眼レフで撮ったような写真が撮れて、自撮り用のアプリにはフィルターがたくさんあって肌をきれいに映してくれる。さらに私はフルサイズのミラーレスも手に入れた。初心者だからお手頃な入門機を買えばいいのに、結局どうせあとで良いカメラが欲しくなるからって人生初のローンを組んで、本格的なやつを買った。もう星空も月も夜景も花火もなんでも撮れちゃう。目で見るよりも綺麗に繊細に風景を切り取れる。ものすごい速さで連写もできる。
 
いやー、ほんとデジタル最高。
そうやって最新のミラーレスを手に写真を撮りまくった結果、ちょっと食傷気味になってなんだか気持ちが浮つきはじめた。
 
そして、……浮気。
 
私は、フルサイズミラーレスという大本命がいながら、一個七百円くらいのフィルムカメラに手を出した。それがフィルムカメラ沼のはじまりだった。一本めの現像データを受け取った日、私の心はフィルムに奪われた。
ほんとに最初は軽い気持ちだったんだ! と言い訳したい。
いや、ちょっとだけ味見するつもりで。
まさかそっちが本命になるとは思わなかったし。
 
放ったらかしにしててもいつでも優しいデジタルとは真逆で、フィルムカメラってびっくりするくらいアナログだし、ランニングコストめっちゃかかるしお手入れも必要だし手がかかる。撮ったあとすぐに写真を確認できないから、うまく撮れてるか撮れてないかもわからない。フィルム一本撮り終わるまでおあずけなのだ。それが本当にもどかしい。だけど、そのぶん現像のデータを受け取る日の喜びは計り知れない。
 
そんなこんなで私はもう完全にフィルムにハマってしまった。ミラーレスのネックストラップは今やフィルムカメラの方に付いている。
ごめんね、ミラーレス。ミラーレスは完璧だし、悪いところも不満も一つもない。だけど、知りたい、と思う気持ちが恋のはじまりって言うし、たしかに私にはミステリアスで読めないとこがある男性に惹かれてしまうところがある。
 
とにかくフィルムカメラは魅力的なのだ。一度騙されたと思ってコンビニで「写ルンです」を買ってみて欲しい。露出計で明るさを測って絞り値、シャッター速度を計算したり、写真を撮る前に巻き上げレバーを巻き上げたりするルーティン、バシュッと重いシャッター音、手動のピント合わせ、ピントが甘いとぼんやりした写真になってしまうところも愛しい。
 
技術の進歩とともにデジタルが切り捨ててきたものが、フィルムカメラにはある。
それは、私の心を満たしてくれるのだ。連写なんて絶対無理だし、暗いところには弱すぎるし一枚の写真に手間と時間がかかる。でも、だからこそフィルムで撮った写真には一枚一枚に思いがこもる。現像のデータを見ながら、この時はこんな天気だったなとか、光がどこから差していたかとか、どこにピントを合わせたかとかを思い出すのだ。
 
風景写真はもちろん、ポートレートはもっとそう。私はフィルムカメラで人物を撮るのが好きだ。ファインダーをのぞいてピントを合わせて、心が動いた瞬間にシャッターを切っている。そうすると、そのときの空気感がフィルムに写る。フィルムは描写があたたかくて、まるで体温が伝わってくるような写真(生きてる写真)が撮れる。
フィルムは私にたくさんのことを教えてくれた。私がカメラをやっていて一番嬉しいのは、生きてる写真が撮れたときだと教えてくれたのもフィルムだった。
 
デジタルの進化が止まらない今だからこそ、私はフィルムに恋をしているのかもしれない。
 
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2018-03-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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