メディアグランプリ

何事も柔軟性が大切


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:戸田美恵子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「うわ〜硬いですねぇ〜こんなに硬い人は初めてかもしれない」
「そーですかぁー」
ただただ苦笑いする私。まぁ、ある程度自覚はある。
 
ここ数ヶ月、ストレッチ店に通っている。寝ているだけで、トレーナーが勝手にあっちを伸ばし、こっちをほぐし、使い過ぎた筋肉や、使わなさ過ぎて固まった筋肉を柔らかくしてくれるお店である。
私の場合は、もちろん完全に「使わなかった」パターンで、とにかく柔軟性のない体に老後の不安を感じて、通い始めたのだ。自分で柔軟体操すればいいじゃないの、という方もあると思う。おっしゃる通り。でもダメだったのだ。本やテレビを参考にやってはみたものの、そもそも同じ格好ができなかったり、やっても果たして伸びているのかよくわからないし……もともとの三日坊主な性格もある。それは認める。でもこれはもう自分の力では無理だ、という事で、お金に頼ることにした。肩コリも軽くなれば、マッサージ店に行くお金も浮くし。
 
ちなみにどのくらい硬いかといえば、まず前屈しても指先は15cmくらい床から離れている。足をまっすぐ伸ばして床に座ると、上半身が前に倒れず、後ろに倒れ気味になるので、腹筋がプルプルして辛い。その昔、ブリッジもどきをしていたら、姉から「あんたのは橋が丸くなくて、上が平らやね」と言われる始末。なんとなく冒頭の言葉もお分かり頂けると思う。
 
痛いところをぐりぐりぎゅーぎゅーされると「んがががが」とかよくわからない声が出るくらい痛い。
「大丈夫ですかー」
「大……じょぶ……で、す」
というかもうやっちゃってるんだからそう答えるしかない。
ひと通りやってもらってわかったのは、固まっているところをほぐしても、痛いところとそうでもないところがあること。どうしてか聞くと、どうやら硬くなり過ぎてると、最初は中の方にたどり着かなくて痛くないんだそうだ。だから逆にほぐしているとだんだん痛くなる。いいような良くないような。でも、そこを乗り越えれば柔らかくて痛くなくなるのだから、頑張って耐える。
 
という訳で、私の体は最小限しか動かさずにいたら、硬くなって痛みを感じにくくなってしまってようだ。そして元々のようにしっかり動いてくれる柔軟性を取り戻すには、相当の時間がかかりそうである。まぁ、なんなら人生の半分以上かけてカッチカチにした訳だから仕方がない。そう思っていたら、もう一つ同じようなモノを持っていることを見つけてしまった。心である。
 
自分のダメさ加減をどうにかしようと、仕事の効率化とか、メンタルについての本を気の向くままに読んでいたら、自分の「情熱」のようなものを明確にすることを色々な本が勧めてくるので、ぼんやり考えてみた。ところが全然、全く出てこないのである。
これまでの人生でワクワクしたことや、逆に辛かったこととかを書き出してみましょう、なんて言われるのだが、あんまり思い出せない。薄い。記憶がとても薄いのだ。
 
小学校にまだ入らない程幼い頃は、結構気性が激しい方だった気がするのだが、気がつけばあんまり表に出さない、何を考えているのかわかりにくいタイプになっていた。だからなのか、自分がどう感じていたか、あまり思い出せない。
いや、思い出さないように固めてしまったのかもしれない。嫌だった思い出を外からつついてみると、すぐ泣きそうになってしまったりする自分が嫌で、そっとそっと、必要最小限にしか動かさないように過ごしてきた。そしてちょっと触ったくらいでは痛みを感じないように、中の方まではたどり着けないようになってしまったのだ。
困ったものである。こっちをほぐしてくれるような便利なお店は思い当たらない。自分でなんとかするしかないか……。
 
とりあえずまわりを取り囲んでいる凝り固まった考えを、まずむぎゅむぎゅとほぐしにかからなければ。この何十年でかかった偏りや思い込みは体のコリどころではなく手強いけれど、様々な考えを認めて鎮めていかなければ。いや「しなければ」というのがそもそも良くないのかもしれない。
こちらも何十年かけてカッチカチにしたんだから、相当の時間をかけて戻していくしかないのである。
 
やはり心も体も、普段からある程度刺激を与えて動かしていかなければとようやく学んだ次第。遅い。気づくのがすこぶる遅い。でも気づいただけ良かったとため息をつきつつ、今日も両面からのストレッチに励むのである。

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2018-03-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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