メディアグランプリ

弁当作って残業減った


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記事:大久保忠尚(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「うーわ、金がない」
今月で何回目だろうか。この青色のATMの前に立ったのは。
 
一年前。
僕は社内異動で勤務地が目黒から恵比寿へ変わった。たった一駅。そのおかげで引越しもなく、通勤定期ですら急いで変更する必要もなかった。
 
勤務地、恵比寿。なんだかとってもオシャレな感じ! 目黒も落ち着いていて素敵だったけれど、一駅違うだけでこんなにオシャレ度がアップするなんて! そんなことを日々思いながら、僕は恵比寿ライフを過ごしていた。
 
そして約一ヶ月後。僕は気付いた。
 
「太ったな」
そして
「お金が減るの早いな」
そう。オシャレな恵比寿ライフは僕の体とお財布に多大な影響を及ぼしていた。
 
目黒に勤務していた時は、ランチで外食をしても千円出せばお釣りがくるようなお店ばかりだった。しかし恵比寿はそのオシャレさを盛り上げるかのように、料理はもちろん内装までこだわったお店ばかりで、雰囲気料も含まれているのか千円ではおさまらないお店がほとんどだった。
 
このままでは日々過ごすだけで赤字になってしまう。そして貯金残高と反比例して体重が増えていく。体調管理と節約をいっぺんにする方法はないかを考えた。
 
そして、僕は五月から弁当を作ることを決めた。
 
 
それまでも基本的に夕飯は自炊をしていた。適当に材料を買って、スープやカレーをまとめて作り、それを数日続けて食べていた。昼食は外食やお弁当を買っていたので、そこまで飽きずに続けられていた。
しかし、昼食までも自炊となると毎日の昼と夜が全て同じメニューになってしまう。そこまで食にこだわりのない僕であるが、さすがにそれは飽きてしまう。しかし、その都度食材を買うと本来の目的である節約が叶わなくなってしまう。
 
そこで今まで適当だった料理から、計画性と汎用性のある料理へと変えることにした。と言っても大げさなことは何もしていない。同じ食材で和風、洋風、中華などを作り分けられるように、「白だし」「コンソメ」「鶏がらスープ」を用意し、それと料理の「さしすせそ」を適当に組み合わせるようにしただけである。
 
するとどうだろう。ニンジン、玉ねぎ、じゃがいも、豚肉があれば、時にそれは豚汁になり、ポトフになり、またカレーにも変身していった。
 
もちろん初めは行程が分からず、その都度火を止め、スマホで確認し、また手を動かすという非常に時間がかかる作業だった。しかし、繰り返すうちに少しずつ効率は上がっていった。
 
「クリーニング屋に行く前に米を研いでおこう」
「この鍋を煮ている間に、炒め物を作ってしまおう」
「あと数分で米が炊けるから、洗い物を先にやってしまおう」
など、経験値が増していくにつれ、調理時間はどんどん短くなっていき、数日分の料理を作るのに、初めは1時間近くかかっていたものが、最近では30分あればあらかた終わってしまうまでに成長した。
 
弁当生活に変えてからというもの、僕の一週間の食費は、食材費だけで見れば約千五百円。高くても二千円程度になった。今まで週五日を毎日千円以上のランチで過ごしていたことを考えると、これは大きな節約である。
また、料理をする中で栄養のバランスを少し意識するようになったことや、処理が面倒臭いため油物を作らず、食べる機会が減ったこともあり、体重はすぐに元に戻っていった。
 
さらに、本来の目的にはなかった副産物が二つも現れた。
残業時間が減ったこと、そして社内の女性とのコミュニケーションが増えたことである。
 
残業時間が減ったことのカラクリは自分でもはっきりとは断言が出来ないが、もしかすると料理をすることが、思考の組み立ての練習になり、それが仕事にも繋がっていたのかもしれない。
 
冷蔵庫の中身を把握することは「現状把握」になり、それを元に作ることの出来そうなレシピを考え、「計画」する。それをいざ「実行」した結果、味付けや作業手順を自分なりに「評価」し、次に料理をする時には「改善」していた。これはいわば、ビジネスにおける「PDCAサイクル」を回すことと同じなのではないか。計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)を繰り返すことで、より良いパフォーマンスへと繋げる思考過程が自然と身についていたのかもしれない。
 
また弁当に変えたことで、オフィス内で昼の時間を過ごすことが増えたが、大抵男性陣は外食をしており、同じように弁当を持参したり買ってくるのは圧倒的に女性の方が多かった。そのため、僕はそのような女性に混じりながら弁当を食べるしかなかった。
初めこそ慣れない雰囲気だったが、数週間すればそれは当たり前になり、今では僕がたまに外食でオフィスにいないと珍しい、と言われるようにまでなっている。
 
そして、当たり前のように日々女性陣と話していると、「今度あのお店に行こう」だとか「この料理作りにきてよ」などと休日や勤務外でも誘われることが少しだが増えていった。相手からすれば、恋愛云々の感情は全くなく、異性としては見られていないことは分かりきっているが、形はどうであれ、女性から食事や遊びに誘われることに嫌な思いは全くしない。
 
当初の目標を置いておいても、弁当生活バンザイである。
 
もうすぐ四月。新しい一年が始まる。
何か変わりたい、何かを始めたいと思っている人も多いのではないだろうか。
 
そんな方にはぜひ弁当生活をオススメしたい。
自分の思っている以上に一年後のあなたは変わっているかもしれない。

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2018-03-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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