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あなたの前歯1本、いくらで売ってくれますか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:釣部人裕 (ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「なんで、国民は、歯の健康をおろそかにするんでしょうかね?」
 
先週、ある歯科医が私に質問した。
 
 
 
「先生、この記事を知っていますか? 私は、それは先生たち、医師と歯科医の責任が大きいと思いますよ。啓蒙が足りないんじゃないですか? 歯科医は、削って、詰めて、被せて、という治療をしてきたじゃないですか?!」
 
私は、誤解を恐れず、そう答えた。
 
 
 
2012年11月12日号の『PRESIDENT』誌で、健康で後悔したことの1位は「歯の定期健診を受ければよかった(283ポイント)」であった。以下「スポーツなどで体を鍛えればよかった(244ポイント)」と続き、「なんでも相談できる医師を見つけておけばよかった(107ポイント)」など、いわゆる医療的なものは11位だった。
 
 
 
「歯と糖尿病を患うと取り返しがつかない」「歯はよほど痛くなければ放置しがちだが、聖路加国際病院理事長の日野原重明先生によると、歯の健康を保つことこそ長寿の秘訣だ」「歯と歯茎の間からばい菌が入って歯周病になると、その菌が全身をめぐってインスリンの活動に障害を起こし、糖尿病の原因になることが最近わかってきました」「毎食後の歯磨きはもちろん、虫歯がなくても2~3ヵ月に一度は歯科でチェックしてもらうようにしたい。101歳の日野原先生自身、今も17本の歯が残っているという」などと記載されていた。
 
 
 
歯を抜いた時、「歯を抜いてもらった」と言わずに、「歯を抜かれた」と言われてしまい、自費の白い歯を入れると「金をとられた」言われるのが歯科医である。
 
 
 
税務署は仕事として、「税金を払ってください」と言っているのに、「金をとられた」と言われるのと似ている。
 
 
 
「確かに、そうですよね。でも何とかしたいんですよ。一緒に啓蒙をしましょうよ」
 
その先生は、ムカつくことなく、そう答えた。
 
 
 
その後、いろいろ意見交換をした。
 
 
歯や口の機能で、多くの国民にはあまり知られていないことがある。
 
 
 
食べる機能として、1.咀嚼、2.味覚、3.唾液、会話をしてコミュニケーションを取る機能として、4.発音と発語、これは知られている。知られていないのが、5.姿勢維持 の機能である。
 
 
 
「朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足。この生き物は何か?」
 
これは、ギリシア神話にでてくる有名なスフィンクスのなぞなぞである。
 
 
答えは、「人間」である。赤ちゃんの時は、歯が生えておらず、四つん這いで歩き、歯が生えだして、2本足で歩き、歯が抜けると、杖を使い出し、3本足になるということだ。
 
 
 
実は、「人は歯で立っている」ことを示唆していたのだ。
 
 
歯を失っていく理由は、主に、虫歯と歯周病だ。
 
むし歯、歯周病などでは、痛くなり、どうにも我慢できなくなるまで放置する人が多くいる。
 
 
 
私は、こういう方にいつも話す。
 
「むし歯って、口の中にいるむし歯菌が、歯を溶かすことによって歯に穴が開く病気ですよね。つまり、虫歯は、消化器官の最前端の一部、体の一部が溶けていく症状ですよね」
 
 
 
殆どの人は、ここまでは理解を示す。
 
私は、こう続ける。
 
「歯を自分の手足の指に例えたら、自分の手足の指が毎日少しずつ溶けていくとしたら、それを放置しておきますか? 必ず、溶けないように予防するでしょう?」
 
 
 
多くの人が、確かに! と理解を示す。
 
 
 
さらに続ける。
 
「みなさんは、虫歯になると歯科医院に行って歯を削って、なんだかわからないけど金属を詰めてもらいますよね。歯を削るということは、自分の体の一部がなくなるということですよ。外科手術と同じくらいの重みがあると思いませんか?」
 
 
 
歯が痛いからと、歯医者に行けば、とりあえず歯の痛みや歯ぐきの腫れなど、応急処置が必要なところは行ってくれる。
 
でも、一番重要なのは、むし歯や歯周病になってしまった原因を取り除くことだ。
 
 
また、歯科治療には、保険と自費がある。これが歯科医療の費用を分からなくしている側面もある。
 
 
 
患者の中には、金額だけに敏感になる人もいる。
 
良心的な歯科医は、高い治療費を請求したいがため
 
に保険外治療を勧めているわけではない。
 
私は、歯科医側のインフォームド・コンセント、説明の仕方に問題がある場合が多いと感じている。患者に、この自費治療には価値があると判断してもらうため、今までの観念を壊さなければ進まない。歯科医側の説明・質問の仕方には工夫が必要である。
 
 
 
ある歯科医がこんな例を話してくれたことがあった。
 
ある程度信頼関係がある患者さんが、「前歯に真っ白い歯を被せたい」と希望したので、「1本、10万です」と答えたら、「10万円は高いなー」と言ったそうだ。
 
そこで、その歯科医は、患者さんに対して、
 
「〇〇さん、あなたの前歯一本いくらで売ってくれますか?  10万で売ってくれますか? 100万でも売りますか?」
 
と質問したと言う。 要は、治療で「前歯一本、10万かかりますが、あなたの天然歯の値段はいくらになると思いますか?」と今までの価値観を壊すための質問をしたというのだ。
 
 
 
高いか安いかは、価値観の問題である。多くの人は、保険と比べて、自費を高いと言っているのだ。ちなみに、この患者さんは、10万円を高いと言いましたが、自分の歯は当然10万円では売らないし、100万円でも売らないと答えたそうだ。
 
 
 
外食することを想定してみれば、分かりやすいだろう。
 
牛丼専門チェーン店の680円の焼き肉定食で空腹を満たし、満足するかもしれない。いやそれでは物足りないので、ファミリーレストランで1000円の焼き肉定食を食べたいと思うかもしれない。いやいや、一流レストランの腕の良いコックさんの料理した10,000円のフランス料理のコースで焼いた肉を食べたいと思うかもしれない。
 
 
 
どれも同じ一食で肉を焼いた料理であることには違いない。しかし、肉や野菜等の素材や鮮度、味付け、手間暇、雰囲気、受けるサービスの質は全く違う。どれで満足するかは、その人次第で、どれがいいとか悪いとか他人がとやかく言うことでない。
 
歯科医療でいうなら、全国で料金サービスが同じである牛丼専門チェーン店、保険治療で、一流レストランでの食事に当たるのが、自費治療と言える。
 
 
 
話題は、噛み合せ、歯科金属、全身との関係、メタボリックドミノなど、あっという間に3時間が経っていた。
 
 
 
これから、二人で付帯で国民、歯科医師、双方に向けて、一緒に啓蒙していくことになった。
 
 
 
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2018-04-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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