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愛されるために何をする?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:斉藤★のり(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「えっ、なんでカバーしてないの!」
 
目の前の女性が読んでいる本のことである。
 
ギュウギュウではないが、終電間際の車内は、それなりに混んでいた。
いわゆる三角コーナーに立っていた私は、スマホを片手に持ちLINEやらフェイスブックを眺めていた。
しばらく経って、なんとなく反対側の三角コーナーに目をむけた。
わりと暖かくなってきた4月中旬に、厚手の白いセーターと花の刺繍が入ったワイドパンツをはいた20代後半の女性が読んでいた本がこれである。
 
「愛される女性になるための本」
 
何か大変なことがあったのだろうか……。
別れたばかりで、元カレとの思い出や写真や手紙を見て、夜な夜な枕を濡らしていたりするのだろうか?
 
いや、もうそのステージはとっくに乗り越えて、絶対に元カレを見返してやるからっ! という段階なのかもしれないし、すでに好みの男性が現れて、その人に好かれるために、そういった類の本を読んでいるのかもしれない。
 
いやまて、そもそもなんでカバーをしていないんだろう?
 
普通は恥ずかしくて、そのままタイトルむき出しで読んだりしないはずだ。
でも、たまたまブックオフで買ってその帰りかもしれないし、ひょっとしたら心が傷ついて落ち込んでいる、ということを誰かに分かってほしいのかもしれない。
 
「そういうわけで、わたし今、フリーなので誰か声をかけて欲しいの……」
 
春うららかなこの季節に厚手のセーターを着ている女性が、わざわざそんなめんどくさい作戦を仕組むだろうか。
積極的な人だったら、もっと挑戦的に、女の武器を使ってくるものなんじゃないだろうか。
 
「夢をかなえるための成功法則」といった本を、タイトルむき出しで読んでいる人間が、夢を実現したいから誰か助けてほしい、声をかけてほしいと思うわけがないのと同じように。いや思っている可能性はゼロではない……。
 
そりゃあ普通、愛されないよりは愛されたいと思だろうし、誰か一人に「私にとってあなたは特別な人なの」なんて言われて深く愛してくれたら、もう承認欲求が心の底から満たされて、生きてるって素晴らしいって朝5時に目が覚めたりするのだろうな……。
 
そんなことを考えていたら、いつのまにかその女性は電車から降りてしまっていた。
 
どうも気になったので翌日、同じ部署の女性に、この出来事を話してみた。
 
「何も考えていないんじゃないですか」
「重いですね」
「なんでナンパしなかったんですか。運命の女性だったかもしれませんよ!」
 
そういうのを聞きたいんじゃないんだけどな……。
 
もし街中で「わたし、今、空腹なんです。誰か、誰か!」とさまよったとしても、ほとんどの人は困惑した表情をしながら遠巻きでそれを眺めているんじゃないだろうか。
 
もちろん中には親切な人もいて、お金をくれる人がいるかもしれいないし、ご飯をご馳走してくれる人もいるかもしれない。
 
ともあれ、それは一時的なな空腹が満たされるだけで、長くは続かないはずだ。
もしかしたら悪い人に誘われて、さらに傷ついてしまうこともあるかもしれない……。
 
そもそもそういった感情って、自分が悪いんだという気持ちが強すぎるのではないだろうか? もちろん反省する謙虚な姿勢は大事だと思う。でも自己否定が強すぎるのってどうなんだろうかと思ったりもするのだ。
 
むしろ悲しいときは悲しむ、楽しいときは楽しむといった、感情にフタをしない人間の方が魅力的だと感じる。もちろんあまりにも悲しい出来ごとやツライ出来事にフタをしてしまうけれど、それを含めて自分という人間や自分の生き方を許せたときに、人として魅力が醸し出されるのかもしれない。
でもそれが簡単にできたら苦労しないな……。
 
自分を許す、自分を認める、自分を肯定する……。
 
僕は男兄弟の長男ということもあって、いつも親にあれもこれもダメだと言われていた。お兄ちゃんなんだからちゃんとしなさいと1000以上は言われたと思う。ちゃんとしなきゃダメだ、ダメだ……。
エヴァンゲリオンの掟シンジのように、自分を表現するのがヘタで、精神的に弱い自分を本当に嫌っていた。
 
そんな落ち込んだ自分を、いつも助けてくれてたのは……
 
「本」だった。
 
病気になれば、誰もが病院に行って医者から薬をもらうように、本屋でブラブラしてピンときた「本」を手に取って読んだ。
いろいろな本に勇気をもらったし、本のお陰で自分を信じることができた。
恥ずかしさを乗り越えると、新しい世界が待っているんだと気づかせてくれた。
 
そうか、だから気になったんだ……。
 
あの白いセーターの女性が読んでいた本には、どんなアドバイスが書いてあったのだろう。うん、きっと心が楽になっているんだろうな。
その時に自分がピンときた本には、何かしら気づきを得られるものだ……。
 
恥ずかしさを乗り越えて、より魅力的になった白いセーターの女性に、ステキな出会いがあることを心から願った。
 
 
***

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2018-05-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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