男の見た目は武器になるのか? ~若さのデメリットとは~
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:斉藤☆のり(ライティング・ゼミ平日コース)
「ええーー! 本当にアラフィフなんですか?」
「ぜんぜん、見えません!」
「30代後半、かと思いましたよー」
ああ、また言われてしまった……。
その日は、私が通っているライティングゼミの最終講義ということもあり、打ち上げという体で、受講生約10名が近くの居酒屋に集合した。
知っている人も知らない人もいたので、それぞれが簡単なあいさつと自己紹介をしていた。
「斉藤さんって、おいくつなんですか?」
「えっと……47です」
そう、ちょっと控えめな声で伝えると、ほとんどの人が驚いてくれるのである。実は、その一連のやり取りは私にとってすべらない話であり、ひそかな楽しみなっているところあるのだが、一方で、かなりコンプレックスを感じる瞬間になっていることも事実なのだ。
というのも40代後半の男性というのは、落ち着いていて貫禄があって、仕事をバリバリやって周りから頼られていて、その会社の顔だったりするのではないだろうか? 子供も一人や二人いて、家庭においても大黒柱で、まさに脂が乗っている年代といって良いのではないだろうか。
毎回こういったやり取りになるので、
「あなたは大人になりきれていないのですね……」
そう思われているのかなと感じてしまうのだ。
古今東西、若さや美を手に入れるために、人はどれだけお金と時間を費やしてきたのだろうか?
世界の三大美女と言われているクレオパトラや楊貴妃にしても、それを手に入れたことで、実際にその魅惑的な美貌で多くの男を惑わしたと言われている。
一方で、男性が美貌や若さに意識が向かない代わりに、権力を掴むことや出世を強く追い求めるのは、とにかく勝ち負けや自分のプライドを満たすためにひたすら努力する、戦うというのは、まさに男の本能がそうさせているのだろうか。
そんな縦社会とプライド、勝利を強く意識したい男にとって、“若さ”というのは逆に、賢さや経験が足りない若輩者で、ひ弱な人間という見方をしてしまうものなのだ。男の社会では、見た目の良さよりも、貫禄や懐の深さがある人間が一目置かれてるものだからだ。
日本史上、最も多くの日本人から好かれたと言っても良い「西郷どん」こと「西郷隆盛」などは、その典型的な人物だったのかもしれない。
とにかく人から慕われて、西郷のためなら死ねると言わしめるその人間的な魅力はどこからにじみ出るものなのだろうか。
「やっせんぼ」
薩摩弁で「役立たず」「臆病者」「決断力がない」という意味合いになるそうだが、西郷隆盛も若いころは「やっせんぼ」だったと自ら語っていたらしい。そんな彼がどうして、そこまで人から愛される人間になったのであろうか。
見た目は、目ヂカラが強くて、ずんぐりむっくりな体格で、お世辞にもイケメンとは言えない風貌ではあるが、なにかこうゆっくり深く飲み込まれてしまう雰囲気を感じさせるのである。
まるで、ドーナツ状に孤を描いている巨大なブラックホールが星を飲みこむように……。
そう、得体のしれない怖さが、奥深さがある……そんな男に僕は憧れるのだ。
「いやー、私と同い年かと思いましたよ」
そう言ってくれる学友は30代後半で、私より10歳年下だった。
若々しくて良いですよね、とポジティブに話をしてくれるのが伝わってくるのでとてもありがたいと思うのと同時に、もうどんだけ貫禄がなくて幼いな男なのだろうかと恥ずかしさと情けなさを感じてしまったりするのだ。
映像系の仕事を20年以上していても、いまだに現場では、タメ口で接してくる年下のディレクターや、挨拶をしてこないアシスタントがいたりするのだが、それはそれで結構楽しんでいるところがあって、スタッフとの打ち上げで年齢の話になると、
「えーーーっ、年下かと思ってましたよー! すんませんすんません!」
と、決まって急に態度が変わるので、私自身とにかくそのすべらない話が面白くて仕方がないという感じがあったりするのである。
そんなときはもちろん大人の余裕を見せて、
「いやいやいや、いつものことだし、全然気にしてないから」
という態度をあえて取るようにしている。
「いやー斉藤さんは、本当に人間がデキていますよね!」
そんなことを言ってくれる人がいるのだから、これはこれでありがたい話なのかもしれないが、それはあくまでお世辞であって本当のところは、薄っぺらで中身がない人間だと感じているのかもしれない。
でも、このGAPを利用して、うまく話しの着地を決めることができるのなら、なんて面白い人なんだろうとか、とっても懐が深い人だと思ってもらえるのかもしれないから、逆にチャンスかもしれないのだ。
今の世の中、貫禄や力強さよりも、いったん立ち止まれる勇気や共に笑いながら歩んでいける人間に人はついていくのかもしれない。
「敬天愛人」
天を敬って、人を愛する……
自分のことを慕ってくれる者がいる限りは、その人のために尽くす、それが自らの天命である、という生き方を貫いた西郷隆盛の座右の銘である。
私のような心が狭い男にはズキンと心が痛くなる話だが、若くみられようが頼りがいがあるようにみられようが、大事なことはたくさんの人から慕われ、笑いながら楽しく過ごせるような人間に少しでも近づくことができるよう努力していきたい。
仲間がいっぱいいるだけで、きっと人生は楽しいと思うから。
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