ライティング・ゼミは便秘薬だ。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:櫻井由美子(ライティング・ゼミ平日コース)
今回提出するこの記事が、16個目の記事になる。
2月初旬から始まって、まもなく4カ月。最終講義も終わり、残りの課題はこの記事を含めて2つだ。
16週間、毎週課題を提出した。ほんとうは毎日記事を書いてその中から厳選したものを課題として提出することが出来たらよかったけれど、週に1~2本書くのがせいいっぱいだった。
それでもどうにかこうにか毎週課題を出せたことが、なんだか誇らしい。
わたしは今まで自分の中にいろんなものをためこんできた。
人と話すことがニガテ。雑談ってなんの話をしたらいいのかわからない。社交性もない。
ひとが嫌いなわけではないし、むしろひとといることは好きなのに、なにを話したらいいのかわからずに黙り込んでしまう。
黙り込めば沈黙がやってきて、沈黙が続くと「やばいやばいなにか話さなくちゃ」と自分にさらにプレッシャーをかけ、そうするとさらになにを話したらいいのかわからなくなってくる。
文章を書くことは話すことと比べたら好きだったけれど、いかんせんわたしは慎重な性格だ。だから、自分の中で納得がいくまで考えたい。考えて考えて思考が底までついたかなというところまで潜ってから浮上して外に出したい、アウトプットしたい。「もう少し考えがまとまってから書こう」とか言っているうちに時間がすぎ、よし書くぞと思ったときにはもうどうでも良いことのような気がしてきて書く気が失せる。
そうして溜めこめば溜めこむほど、出せなくなっていった。
もう自分の力だけではなんともならない。出せない。そんな状態だった。
あー便秘だったんだな、と今ならわかるけれど、自分が極度のアウトプット不足の便秘状態だったということに4か月前のわたしは気がついていなかった。
ひとと会うと話を聴いていた。もちろん、話を聴くのは悪いことじゃないし、聴きたいと思って聴いていることもある。のだけれど、話すのがニガテなわたしは、自分が話したくないから相手に話してもらいたいという理由で聴き手にまわることもしばしばあった。
文章を書くよりも、読む方が圧倒的に多かった。本でもネット上の記事でも、興味のあるものをとにかく入れていった。
入れて入れて、出さない。
お腹はぱんぱんにふくれていった。
話さないからって、話したいことがないわけじゃない。
書かないからって、書きたいことがないわけでもない。
全部自分の中にごっちゃごちゃに入っている。
入っているはずなのだけれど、シンクの洗い桶の中にあれもこれも食器を入れて、洗剤も入れて勢いよくお湯を張ったら泡だらけになって何が入っているのか分からなくなるみたいに、自分でももう中に何が入っているのか分からなくなってしまっていた。
毎週月曜日の23:59。
課題と締め切りを設定してもらうことで、わたしはやっと重い腰を上げてアウトプット出来るようになった。
月に2回ある講義もインプットだけではなく、毎回ワークショップという形で「出す」ことが求められた。通信での受講だったけれど、出来る限りリアルタイムで講義を視聴し、その場で出せと言われたものはとにかく出した。自分的に中途半端だなと思っても、ほかの受講生の答えの方が面白いと思っても、とにかく出した。入れて入れてなるべく出さずにここまで来た自分にとっての一番の課題は、どんなものでもとにかく出すということだったと今になってみて思う。
ライティング・ゼミで、課題を設定してもらい、締め切りを設定してもらい、講義でもアウトプットの機会をもらって、同期の仲間たちのがんばりに勇気をもらい、講師スタッフ陣の熱量に後押しされ、4カ月かけてやっとのことで自分の中にあるものを、こうして外に出せるようになってきた。
ライティング・ゼミはわたしにとって便秘薬のようなものだった。
4か月前のわたしは、いまごろはもっとスムーズに文章を書けるようになっていると期待していた。締め切りなんかなくても、講義なんて受けなくても、ともに切磋琢磨する仲間と離れても、講師陣からのフィードバックがなくなっても、自分の力で文章を書けるようになっているはずだった。
実際はというと、正直まだ自信がない。
便秘薬を卒業して、自分の力で出せるという自信が。
締め切りがなくても、文章を書ける自信。講義がなくても、仲間と離れても、講師陣からのフィードバックがなくても、それでも書き続ける自信が、わたしにはまだない。
でももしかしたら、そんな簡単に自信なんて湧いてはこないのかもしれないな、とも思う。
それでも良い。締め切りの力を借りて、誰かの励ましをもらって、ときどき薬に頼って、そうこうしていくうちに、自分の力でアウトプット出来るようになっていければじゅうぶんだ。
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