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メディアグランプリ

自信という毒。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:夏目則子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
ここにお茶がある。
「美味しいかどうかわからないけど、飲んでみて」
あるいは、
「ちょっとまずかもしれないけど、飲んでみてもらえないだろうか」
そう言われて、相手はそのお茶を飲みたいと思うだろうか。
場合によっては、そんな美味しくもないものを勧めるなんて、失礼な人だと感じるかもしれない。
あなたが就活でやっているのは、同じことだよ。
私はいつもそんな話をする。就活の過程で、自分に自信が持てない学生は多い。自分の強みを見つけられないどころか、自分なんて……、という自己否定が先にたってしまう彼らに、まず自分自身が自分を肯定することから始めるように言う。でなければ、相手が自分のことを肯定するわけがないのだ。自分を信じることから、就活は始まる。
 
ある知り合いのプランナーは、いつも自信に満ち溢れている男性だった。やりがいのある仕事を手に入れて、リーダーシップもあり、多くの人に慕われていた。成功の象徴のような人だった。ある時、偶然、彼が文章を読んだ。
自分のプランナーとしての能力に自信がない。いつも、アイデアが出さないのではないかと、怖くて仕方ない。だから新しいプロジェクトが始まるときはいつも、「大丈夫、俺はやれる、俺なら面白いアイデアが出せる」と何度もつぶやき、言い聞かせているのだと。
 
ユーミンは女性たちの恋のカリスマである。多くの女性が彼女に憧れ、彼女の言葉は、女性たちの指針となる。今となってはゆるぎのない存在の彼女が若い頃のインタビュー記事で、
「自分の意見を言うときは、『~と思う』という言い方をしないで、『~だ』と言い切るようにしている。語尾を曖昧にせずに断定的にすることで、自分の意見の逃げ場をなくしているのだ」
といったことを話しているのを読んだことがある。そうやって、自信のある自分を作っていったのかと思う。真似してみたが、なかなか効果があった。
 
自信は、行動の突破力となり、人を惹きつける磁力になり、どんなときもやり遂げる推進力となる。人生の成功において、非常に重要な要素の1つである。
就活も、仕事も、恋も、実力以上に、自信の有無が勝負を分ける。
自信は、大いなる力である。自信は、いいことだらけのようである。可能ならば、ぜひ自信を持てるように、精一杯頑張った方がいい。その方が幸せや成功が近づく。
 
でも、その才能がない人もいる。現に私がそうだ。30年以上頑張ってみたが、相変わらず自分に自信など持てやしない。もうどうしょうもない。そんな自分を受け入れて、それなりにしのいでいくしかないのだ。そんな人に1つだけ大切な忠告をしよう。
 
自信は毒である。
 
自分が持つ分には強い武器になるが、弱い人が自信を持つ人に下手に近づくと危険である。自信ある人は、ものごとを断定してくる。自信がない人は、自分に自信がないものだから、その自信満々の言動をいとも簡単に信じてしまう。正しく、善良な自信家なら、気にすることはない。大いに信じて着いていけば。しかし、世の中には困った自信家が少なくない。
 
危険な自信家には3つのタイプがいる。
1つ目は、悪意のある自信家である。大したものでもない物を売りつけようとしていたり、もっとひどいと人をだまそうとしていたり、洗脳や支配をしようとしたり、そんな悪意を持つ人間は、おおむね自信を持って近づいてくる。ひどいときは事件沙汰だ。自信満々に良いことだけ言う人には、近づかないのが一番だ。
 
もう1つのタイプは、自信の無さの裏返しで自信を装うタイプ。このタイプは、過剰に自己アピールをしたり、逆に相手を否定することで自分を肯定したりしようとする。面倒ではあるが、この手のタイプには打ち手はなくもない。脆い部分が時々見え隠れする。それを見逃さずにすかさず突けば、割と簡単に陥落する。
 
実に一番厄介なのが、善良なのに正しくない自信家だ。これは本当に気を付けなければならない。1つ目や2つ目のタイプのようにわかりやすくないのだ。しかもそのタイプは、大概とても魅力的な様子で近づいてくる。美味しそうなフグのように。だから、多くの人が信じてしまう。
「絶対こうした方がいい!」、彼らのアドバイスは強い断定形であるこが多い。自分に自信がない時が多いから、ついつい信じてしまう。結果アドバイスが、間違っていた場合。彼らはさほど深く考えてはいないし、間違うことなんていちいち気にしないから、「違ったね、ごめ~ん」と悪びれもせず、簡単に済ませてしまう。ただこちらが悲しい思いをするだけである。
仕事でこの手のタイプに巻き込まれると痛い目に合う。あまりにも自信満々にプロジェクトを推進して、周囲を散々巻き込んでおきながら、やっぱり無理だったと言って、自分だけいなくなってしまうことも多い。後始末に追われるのはこちらだ。
厄介なのは、彼らに悪意はないということ。本心から良いと思って自信満々である。だからこちらも油断して、ついつい信じてしまう。あるいは途中でなんかおかしいなと思っても、あまりの自信満々さに、それを指摘することができない。惹かれて巻き込まれて、気が付いた時には、毒にやられてしまう。
では、このタイプの毒への対処法があるのだろうか?
正直、まったく毒を避ける方法は、今のところ見つかっていない。せいぜい、できるだけ早めに、少なくとも致命傷になる前に毒を察知して、解毒するしかない。
ただし、微量の毒を体に取り込むと、毒への抗体ができるからもしれない。だから、わずかでもいいから、自信を持つように努めるか。
あるいは、毒を寄せ付けないで防御できる別の何かを身に着けるか。それは知識かもしれない。あるいは勇気かもしれない。実力を磨くことかもしれない。それらは結局、自信を持つことと同義なような気もするが。

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2018-05-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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