プロフェッショナル・ゼミ

インプットと立体感《プロフェッショナル・ゼミ》


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記事:なつき(プロフェッショナル・ゼミ)
 
あれ、書けた。あれ、私こんなに見てたんだ。心に残ってたんだ。先日、初めて自分以外のことに重きを置いて5000字規模の文章を書いてみた。自分以外のことで山場のある内容は難しい。密着してその人を見ているわけではないし、早々に行き詰るだろうと思っていたが、蓋を開けてみるとある一人についてしっかり書いていた。人物紹介の形になったが、会ってみたくなると言われる紹介になっていた。
 
ここ数か月、文章力をつけるために天狼院という書店が行うゼミに通っている。その講義の中で5000字規模の文章を書くためには、掘り下げが必要になってくるとの話を聞いた。掘り下げていけば自分が書きたいことが見えてくるとのことだった。
 
掘り下げる。一つのことを掘り下げてみる。掘り下げるってなんだろう。一つのことをじっくり考えることだと思っていた。それもあるかもしれないが、一方向から掘り下げだけでは自分の心の動きを表現するだけにとどまってしまう。そんななか、このゼミの課題で、自分以外のことに重きを置いて文章を書いてみるというものが出た。自分自身の掘り下げもまだできていないのに他人の掘り下げなんて、更に難関だ。何をどうしたらいいのかと頭を悩ませながらも頑張って書いた。内容はあるクッキングスクールの講師の紹介話になったが、その書いた文章に対して講師に会ってみたくなると言ってもらえた。何が良かったのだろうと改めて自分の文章を読んで考えてみたが、掘り下げる行為が無意識にできていたのだと思う。
 
並行して、他に天狼院が行うマーケティングゼミにも通っているが、そこで出た課題が、自分の勤務先だったり、好きな仕事などのビジネスモデルを一枚にまとめるものだった。私が好きなことといったら数年通い続けているクッキングスクールしかないだろうと思った。とはいえ、そのクッキングスクールについて知っていることと言えば、自分が通って目にする時間だけ。それ以外のことはあまり知らない。そこでホームページの検索をした。何を目的としたクッキングスクールなのかが見えた。挙げていたスローガンはいくつかあった。その中でも数年通ってみたからこそ、伝えたい部分をピックアップできることになった。
 
今までもホームページは目にして読んでいたが熟読はしていなかったのだと思う。というのも、今回読んでみることで新たな発見や心に残る内容が多々あったからだ。普段目にしているものでも意外と素通りしているものなんだとの気づきが得られた。この情報などもふまえて、ビジネスモデルを一枚にまとめる作業をすることで、このクッキングスクールを知る土台ができていた。文章の課題の時に、自分の中で一人の講師を掘り下げだけでは得にくかった、背景を盛り込んだ文章に仕上げることに繋がったのだと思う。
 
改めて掘り下げとはなんぞや、と考えた時に、自分の記憶の奥底を掘り下げるだけでは一つの目線からのことしか得られないということに気が付いた。いや気づかされた。クッキングスクールではこんな話やあんな話をしていたなという自分が眼や耳にしたことと共に、その時仕入れた素材があったから、組み合わせてきちんと立体感のある文章にできたのだと思う。
 
更に天狼院の行う動画ゼミにも通っている。そのゼミで1分動画を作る課題が出た。たった1分の動画と思っていた。授業で1本の動画に込められた思いだったり、魅せる流れだったり、テレビ番組の作り方だったりを聞いた。家でテレビ番組を見ていると、気づいたらずっと見て時間が過ぎていたということがあったが、そういう仕組みだからずっと見続けるんだとの気づきが得られた。教えてもらうことで少しではあるが、テレビ番組の構成も垣間見ることができて、コーナーの一つ一つが輝いて見えるようになった。知らないことを知ると日常に色がついてくる。テレビ番組もそうだし、電車の広告動画などもカットが面白いなとか、あの撮り方綺麗とか作成目線で見ている自分がいて驚いた。
 
授業で聞いたような興味を持ってもらえる動画を作りたい。いざ作業を始めてみると動画を構築するために必要な裏作業的な事は全く知らなかった。映像を自分で撮って位はわかっていたが、それをどうつなげたら味が出るのか、ワンシーンの映像を作るにも色々な技術が組み合わさっていることを初めて知った。知らないことを知ることはわくわくするが、同時に時間をかなり要する。
 
BGM一つを付けるのも触ったことが無い分野だったので、音楽で検索すると膨大な量。この中からどうやって自分の映像に合った音楽を見つけたらいいの、と情報の海に溺れそうになった。そして片っ端から見ると、著作権が存在し、使用するには条件があった。その条件があるものは使いづらいし使い方も複雑だ。更に調べていくうちに、その中でも誰でも使用できることを目的としたものが存在するらしいという情報が得られた。今回初めてクリエイティブコモンズと言う言葉を知った。著作権に触れないで公の場で使用できる音楽などのことだが全く知らなかった。
 
たった1分の動画だと思っていたが、知識が無いとその底辺部分から調べることになる。動画一つ作るのにもこんなにも色々な知識が必要なんだと知ることになった。更に、動画の長さに合わせた音だったり、どの部分を使用すれば綺麗に収まるかなどを考えたが、ここでも使いたい部分を使うためにどの知識があればいいのかを学ぶことになった。普段何気なく見ている15秒のテレビCMにも様々なノウハウが詰め込まれている。テレビCMもただの商品紹介だけでなく、このカットはこういう仕組みで使用していてわかりやすいとか、この映像があるから商品が映えるとか違う見方ができる様になった。
 
マーケティングゼミの課題と動画ゼミの課題を行うことで、5000字の文章を書くためには、自分の中で掘り下げつつも複数の視点からのものを見ることが必要なのだということが見えてきた。あの事を書きたい、このことを書きたいというのはたくさんあるが、いまいち魅力的な文章にならなかった。自分の知っていることを伝えたいだけの文章は伝え方が難しい。私の場合、全部伝えたくなり、くどさを感じる文章になってくる。伝えたいだけの文章はそれだけの臨場感ある文面が必要なんだ。アウトプットだけではそのうち枯渇してインプットが必要になるとの話があったが、それは自分の頭の中だけで考えただけでは深さが無いからだと思う。自分で考えることには限界がある。自分の眼のレンズで見て、耳で聞いて、なぜそうしているのか、なぜそういう仕組みなのかが見えてきて文章にも立体感が出てくる。
 
インプットとは、自分が見知ったものを追及すると同時に、外からのしっかりした情報を一緒にして組み合わせることだったんだ。ホームページから情報を得つつ土台を構築する行為をしたことで、そう言えば先日こんな話を講師から聞いていたな、あんな面白いことも言っていたな、というものに繋げることができた。ホームページを見なかったらその言葉は思い出せなかったかもしれない。自分が過去に仕入れたものはちょっとしたきっかけがあれば頭の中の引き出しを開けて引っ張り出せるものなのだと言うことを今回とても感じた。
 
今回文章を書くためのゼミで、自分以外に重きを置いた文章を書くという課題が出たことで、全てが繋がっているのだと気がついた。また違ったものの見方の勉強をさせてもらった。毎回新鮮な気づきと違う目線を教えてくれる天狼院に感謝だ。
 
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