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週刊READING LIFE Vol,96

世界最軽量ノートパソコンの愛人的魅力《週刊READING LIFE 仕事に使える特選ツール》


記事:岡 幸子(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
職場のパソコンがWindowsなのでMacを使ったことがない。
けれど、身近な友人、知人にはMacユーザーがとても多く、さくさくと楽しそうに仕事をしている。デザインも素敵だし、きっと性能もいいに違いない。
ワードやエクセルにはWindowsとの互換性もあるのだから、今度自分のパソコンを買い替えるときはMacにしよう。
そう思っていた。
なのに。
結局、Macを買えなかった。
「世界最軽量ノートパソコン」FMV LIFEBOOKの魅力にやられてしまったのだ。
 
きっかけは昨年のゴールデンウィーク。
妹一家が遊びに来たときに、大学生になったばかりの甥が入学祝いに買ってもらったノートパソコンを持ってきた。それを、何気なく持ち上げたときに驚いた。
 
「なにこれ、軽い!」
「軽いでしょ」
「すごいね、私でも片手で持てる」
「748gだったかな。同じ富士通の世界最軽量モデルはもっと軽いよ」
 
なんと!
ノートパソコンが、スーパーで手に取る鶏肉パック並みの重さしかないということか!
 
あまりにも興味がわいたので調べてみた。
 
液晶画面13.3型の世界最軽量ノートバソコン「FMV LIFEBOOK UH-X/C3」は、重さがわずか698g。性能も仕事に困らないスペックで、軽くても、持ち運びに耐えるよう頑丈に作られているようだった。
厚みは15.5 mmで、その辺の文庫本より薄い。なによりこの軽さはすごい……
 
以前、友人のMacBook Proを羨ましがっていたときに、持たせてもらったことがある。そのときに感じた「重い」という感覚がひっかかっていた。調べたら1.37㎏(13.3インチ)だった。
重いのは嫌だったので、持ち運びを重視してiPadにキーボードをつけて使うことも考えた。調べたら「iPad Pro 10.5インチ」に「Smart Keyboard」の組み合わせで、重さは712.7gだった。
 
なんと、FMVの世界最軽量モデルは13インチのノートパソコンなのに。10インチのiPad+Keyboard よりも軽いのか!
 
私の心はあっという間に薄くて軽いFMVに持っていかれてしまった。
 
買い替えるときは、みんなが使っているMacにしようとあれ程考えていたのにもかかわらず……
まるで、世間に背を向けて、愛人の元に走ろうとする男のような心境だった。
理性では、周囲の評価も高く、ずっと前から欲しかったMacを選ぶべきだと思っているのに、中身や性能などよりも、「軽さ」という魅力一点に負けてパソコンを選ぼうとしているのだから。
でも、こうなってしまったらお手上げだ。
頭では本妻を選ぶべきだとわかっていても、その存在が「重い」のだ。愛人の方に、いつも一緒にいたくなる、身近に置いておきたくなるような魅力があったら、どうしてもそちらに引き寄せられてしまう。
私にとって世界最軽量ノートパソコンは、抗えない魅力をもつ愛人になってしまった。
 
購入して2か月後、私はこの愛人の魅力をさらに引き出すアイテムを手に入れた。
anelloのリュックで、14インチまでのパソコンが入る収納ポケットが付いている。
このリュックを手に入れてからというもの、ノートパソコンを本当にノートと同じ手軽さで持ち運べるようになった。なにしろ、リュックの口を開ければ片手でさっとパソコンが取り出せる。おかげで長いこと忘れていた電車書斎を復活することができた。
 
もう40年近く前、高校卒業後に浪人生活を送っていた私は、埼玉の片田舎から都内の予備校まで通っていた。最寄り駅が各駅停車しか止まらなかったので、乗り継ぎが悪かったりすると片道2時間近くかかることもあった。夏の暑い盛り、エアコンのない自宅に帰って勉強するよりも、電車内で座ってノートを広げる方が快適なことに気がついた。帰路、これをすれば絶対に座れる方法を編み出して、毎日2時間以上、エアコンの効いた電車書斎を利用するようになった。
必ず座るためにすることはただ一つ。
空いた電車に乗ればいい。
夕方、都内から埼玉方面に向かう電車は混んでいた。でも、逆走して都心へ向かう電車はがら空きだ。まず、その空いた電車に乗って終点まで30分座る。その駅は、折り返して埼玉へ向かう始発駅になった。目的地が自宅最寄り駅より手前のときは、遠くまで行く直通電車を待たなければいけなかったが、そんなときは駅のベンチに座ればいい。ノートはどこでも広げられた。そうして始発の直通電車に座ってほぼ2時間、エアコンの下で勉強ができた。
 
座れた瞬間から、そこが書斎になる。ものすごく快適だ。
世界最軽量のパソコンは、その感覚を思い出させてくれた。
何しろ非力な私でも重さが全く気にならないので、リュックのポケットに無造作に入れてどこにでも持っていける。カフェでも電車でも、座れたら片手でさっと取り出してフタを開ければ、顔認証で続きの文書がすぐに開く。
締切りに追われて文章を作るときはこの「いつでもどこでも」が有難く、時間の有効活用ができるようになった。というわけで、今も車内でこの文章を書いている。
 
その他、USBはもちろん、HDMI やSDカードスロットもあり、本体より厚みのあるLANケーブルまで差せる。どうなっているのかと思ったら本体から差込口を引き出して立てることでLANポートの厚みを出してしまうのだ。驚いた。仕事でデータのやり取りをするときも、有線でLAN接続したいときもまったく困らずに助かっている。
 
スレンダーな愛人にすっかりメロメロになってしまったが、心の中では本妻へのリスペクトを忘れてはいない。次に買い替えるときまでに本妻にはダイエットをして欲しい。137㎏の本妻が70㎏まで減量してくれれば……私は愛人を捨てて喜んで本妻の元に戻るだろう。
 
その時、さらに愛人がスリムになっていたとしたら?
……今は考えないことにしておこう。
 
 
 
 
【FMV LIFEBOOK UH-X/C3】の基本スペック
13.3型フルHD液晶(1920×1080ドット)
CPU Core i7-8565U、メモリー8GB、ストレージ512GB SSD
OS Windows 10 Pro 64bit版
無線 IEEE802.11a/b/g/n/ac準拠の無線LANとBluetooth 5.0に対応
インターフェイス USB 3.1 Gen2 Type-C×1、USB 3.1 Gen1 Type-C×1、USB 3.0 Type-A×2、SDカードスロット×1、HDMI×1、LAN×1
バッテリー駆動時間約11.5時間
本体サイズ 309(幅)×15.5(高さ)×212(奥行)mm、重量698g。
(2018年11月15日発売。後継機、カスタムモデルあり)

□ライターズプロフィール
岡 幸子(おか さちこ)(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

東京都出身。高校教諭。平成4年度〜29年度まで、育休をはさんでNHK教育テレビ「高校講座生物」の講師を担当。2019年12月、何気なく受けた天狼院ライティング・ゼミで、子育てや仕事で悩んできた経験を書く楽しさを知る。2020年6月から、天狼院書店ライターズ倶楽部所属。

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2020-09-22 | Posted in 週刊READING LIFE Vol,96

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