本屋なのに『殺し屋のマーケティング』を徹底して実践したら、月間売上高の最高記録を123.1%更新した。
天狼院書店店主および『殺し屋のマーケティング』(ポプラ社)著者の三浦でございます。
まず、大前提として、僕は「人体実験」が好きです。
たとえば、天狼院で新しいゼミをローンチする場合、本当にそのゼミが効くかどうかを自分の人生を使って実験します。
天狼院の『パーフェクト・ポートレート講座』と『写真家青山裕企氏が全力で教える「写真で食べていくための全力ゼミ」』を本気で受講したから、今、プロカメラマンとして稼ぐことができていますし、天狼院の『小説家養成ゼミ』において最前線で現役の小説家の方々からお教えいただいたから、『殺し屋のマーケティング』を書くことができました。
こうして、自分で実証して、提供するコンテンツが有用であることを示すことが、何よりの顧客満足度につながると僕は信じております。
だって、考えてもみてください。
大学のマーケティングの授業とかで立派なことを言っている人が、自分は稼げてないとなれば、悲劇ですよね。
小説家を養成する学部の先生が、小説家になれなかった人というのも、とんでもない悲劇です。
誰が悲劇って、それを受講する学生が実に可愛そうなことになる。
それなので、僕らが提供するコンテンツは、徹底して「再現性」に拘っています。
つまり、その理論を実行する人が、立案者でなくとも、同じように再現できる可能性が高いことに意義を置いています。
『殺し屋のマーケティング』の中核理論、「7つのマーケティング・クリエーション」もそうです。
実際に、世界最高のビジネスモデルを、40年以上行列が途絶えたことのない「幻の羊羹」で有名な吉祥寺小ざさに置き、そこから、マーケティングの本質を抽出いたしました。
本作の論旨、
「世界一売ることが難しい”殺し”を自在に売ることができれば、世界一のマーケターになることができる。
なぜなら、表立って営業も広告もPRもできない”殺し”を売ることができれば、他を売ることは難しくない」
は、たしかに、思考実験として提示しましたが、「受注数世界一の殺しの会社」を創るために、主人公のひとり西城潤が女子大生起業家桐生七海に授けた「7つのマーケティング・クリエーション」は、実際に、僕が会社を運営する中で培った新しいかたちのマーケティング・メソッドでもあります。
僕が実際に運営していたのは、もちろん、「受注数世界一の殺しの会社」ではありません。
西城と同じ、「本屋」です。
もし、一般的に”衰退産業”と言われる本屋において、実ビジネスの世界でマーケティング成果を上げることができれば、”衰退産業”以上のあらゆる業種にこのメソッドは使えるだろうと考えました。
つまり、ここでも「再現性」に徹底してこだわりました。
おかげさまで、2013年9月26日に東京天狼院をオープンした天狼院書店は、2015年9月に福岡天狼院、2016年12月にスタジオ天狼院、2017年1月に京都天狼院、2017年8月に天狼院書店池袋駅前店と、順調に店舗を拡大し、売上高を伸ばしました。
この実ビジネスの伸長が、『殺し屋のマーケティング』の何よりのエビデンスとなっています。
ただ、人体実験の大好きな僕は、さらに『殺し屋のマーケティング』の「7つのマーケティング・クリエーション」を、天狼院書店で徹底させてみようと考えました。「7つのマーケティング・クリエーション」の全社への浸透レベルを上昇させれば、売上高と利益が上昇するに違いない、と思ったのです。
まずは、社員とスタッフ全員に、『殺し屋のマーケティング』を読ませました。
そして、全体の会議でも、すべて「7つのマーケティング・クリエーション」を使って、マーケティング戦略を考えるようにしました。
たとえば、おかげさまで、毎回満席となり、席の確保が難しくなっている、天狼院の「パーフェクト・ポートレート講座」は、僕が7ヶ月でプロカメラマンになった実績があって、しかも、先生方の指導にも定評があったので、「2・コンテンツ」の質については問題ないとわかっていました。
けれども、2016年のスタジオ天狼院オープンに合わせて展開していた「パーフェクト・ポートレートゼミ」は、集客が振るいませんでした。
会議中、あるスタッフがこう発言しました。
「もしかして、私たちは”ゼミ”という形式に拘るあまりに、お客さまに提供するモデルが何がいいかを考えていなかったのではないでしょうか? まさに『殺し屋のマーケティング』で、桐生七海が”ビジネスモデル”に囚われたことが失敗の原因だったように、私たちは”ゼミ”という”モデル”を優先的に考えてしまって、お客さまのメリットを後回しにしていたのではないでしょうか?」
考えてみると、お客さまから、こう言われることが多くありました。
「ゼミの4ヶ月の日程、すべて、その曜日を確保するのがむずかしくて、受講しなかったんですよね。本当は行きたかったんですけど」
そこで、僕らは、「パーフェクト・ポートレート講座」は、4ヶ月間のゼミという「モデル」にこだわることをやめて、「1日完結型」の現在の「パーフェクト・ポートレート講座」のかたちに変えて提供したのです。
まさに、『殺し屋のマーケティング』の「7つのマーケティング・クリエーション」における3つ目の論点「モデル」を理解できたからこそ、出てきた考え方でした。
これは、一例に過ぎませんが、2018年1月、僕は天狼院書店を実験台にして、「7つのマーケティング・クリエーション」を徹底して実践しました。
あらゆるマーケティング戦略を、「7つのマーケティング・クリエーション」の中枢中の中枢である「コンテンツ主義」に基いて考え直しました。
お客さまにどうすれば、最もいい形で、最も質の高いコンテンツを提供できるか?
お客さまにどうすれば、「有益な情報」を提供できるのか?
これを、スタッフと一緒に考え抜き、すぐに実践しました。
この「7つのマーケティング・クリエーション」にそぐわないところは、瞬間的にすべてを変えるように指示をしました。
僕にとっては、まだまだ直す余地がありました。
まだまだ、お客さまに、メリットを提供できると考えました。
まだまだ、お客さま満足度は上昇するだろうと考え、スタッフにもお客さまの要望に徹底して答えるように、幾度となく指示を出しました。
今、振り返ってみると、これが、「7つのマーケティング・クリエーション」における「5・スパイラル」になっていたのでしょう。
常にとどまることなく「コンテンツの質」に拘ることで、以前にも増して、お客さまから直接感謝のメッセージや声をいただく頻度が多くなりました。
そして、徹底して『殺し屋のマーケティング』を実践した2018年1月を終えてみると、不思議な結果が数値としてあらわれました。
過去最高売上高を大幅に更新していたのです。
しかも、前の記録は、複合的なプラス要因が重なっていて、マーケティング戦略が成功したわけではなく、ラッキーなフィーバー状態にあった不滅の記録でした。
その月間売上高の最高記録を、実に123.1%更新してしまったのです。利益に至っては、伸び率は更に大きいものでした。
いったい、何が起きたのか?
スタッフは、不思議そうにこう言いました。
「なんだか、そんなに頑張ったという記憶がないんですよね」
2018年1月と昨年のどこかの時点を比べれば、労力的に大変だったのは、あるいは売上高が低かった月の方かもしれません。
これは、実は、本質的な話だと僕は思うのです。
同じ労力で、より高い成果を上げることができれば、理想的な形になる。
まさに「生産性」の論点がここにあります。
そして、社員が実感したように、最高の売上高を更新して、最高の利益を更新したとしても、過剰に労力が投入されたわけでもない。
僕が「働き方革命」をするより、「マーケティング革命」をするべきだと唱えている所以です。
最高売上で最高益の2018年1月を終えてすぐに、2月1日に僕は全社員にメッセージを送りました。
その中で、2月から社員全員大幅に昇給することを明示しました。
経営者にとって、社員の昇給ほど嬉しいことはありません。
もしかして、経営したことのないほとんどの人にとっては、理解しがたいことかもしれませんが、自分の通帳の預金が貯まることより遥かに、社員の給与があげられることのほうが嬉しいのです。
しかも、政府による最低時給の上昇ではなくて、しっかりとチームとして成果を上げての昇給は、社員にとっても強い手応えがあって、望ましいものと思います。
こうした実感を積み重ねることによって、社員は、少しずつ、仕事が好きになるのだろうと思います。
自分がする仕事に、誇りを持つようになるのだろうと思います。
僕自身が開発した『殺し屋のマーケティング』の「7つのマーケティング・クリエーション」を徹底して実践する人体実験は、驚くほどの効果を上げました。けれども、これからが本番だと思っています。
重要なのは、一過性の成果ではなく、「持続可能」であること。
それには、お客さまを主体に考え、「2・コンテンツ」の質を高めるように常に努力をし、商品やサービスをどんな「3・モデル」で提供することが最もお客さまにとってメリットが高いかを考え、結果として現れる「4・エビデンス」からフィードバックを受けて、さらに「2・コンテンツ」の質を上昇させていくという、上昇スパイラル構造を完成させることです。それが、「5・スパイラル」です。
そして、「5・スパイラル」を「持続」させることには、かなりの「労働工数」が必要となります。
その「労働工数」を現有戦力で最大限に引き出すために、「マネジメント」が必要となります。優秀な人材を擁するチームの結成が必須となります。
その優秀な人材を確保するためにも、マーケティング戦略を成功させて、人件費に転化させるための利益を確保する必要があるのです。
そうです。まずは「マーケティング戦略」からです。
これをうまく行かせることによって、ビジネスの運営は上向きになります。
これからも、我々は、「7つのマーケティング・クリエーション」を徹底して、お客さまのメリットが最大限になるように、全力で当たっていこうと考えています。
皆様も、まずは、『殺し屋のマーケティング』(ポプラ社)を読んでみてください。
そして、ぜひ、「7つのマーケティング・クリエーション」を徹底して実践してみてください。
また、もしこれを徹底して実践する天狼院書店がこれからも急激に成長していくのであれば、逆算的に考えて、『殺し屋のマーケティング』の「7つのマーケティング・クリエーション」が正しい証左になるだろうと思うのです。
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ぜひ、この機会に『殺し屋のマーケティング』を読んでみてください。
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もちろん、天狼院書店全店でも展開中です。
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