【簡単すぎるお味噌汁レシピ付き】いただきますを一緒に《リーディング・ハイ》
記事:鳥居美紀 (リーディング&ライティング講座)
土鍋で炊いた炊きたてのつやつやご飯に、なめことおとうふの麦みそ(赤と白を混ぜたもの)のお味噌汁、皮がパリパリッと音をたてそうな塩鮭に、大根おろしを添えたプルプルのたまご焼き。果肉たっぷりのずっしりとした梅干しと、磯の香りが香ばしい海苔はぜったいで、お漬物が何種類かがあると、かなり嬉しい!
朝日がたっぷりと降り注ぐ東向きのお部屋で、大きなテーブルを愛する人たちと一緒に囲み、手を合わせる。一瞬静かになった後に息を合わせ、せーので、「いただきますっ」と、大きな声を出し、私はまず湯気がたつお味噌汁に手を付ける。「あ、今日のたまご、美味しくできてるね」「今日のお味噌汁、いつもとお出汁が違う?」そんなたわいもない会話をしながら、一日がスタートする。
これが私の理想の朝ごはん。メニューは普通の日本の朝ごはんでいい。でも、心を込めて作られたもので、なんといっても、一緒に食べる人がいる幸せが感じられること。おいしいね、と言って、目と目を合わせてにっこりできることの幸せ。
朝ごはんが大好きである。有名なレストランでゴージャスなディナーを食べるより、丁寧に作られた朝ごはんを、誰かと一緒にゆっくりと時間をかけて頂くほうが、断然、満ち足りた気持になる。普段の、特に平日の朝ごはんが、栄養を補充するだけの“エサ”と化しているからだろうか。遅刻を気にしつつ、髪を整えながらつまむ、野菜やくだもの。会社のデスクでメールをチェックしながら頬張るパンやおにぎり。
朝ごはんからはじまる(山本ふみこ著)には、様々な食の風景が描かれている。新聞の生活家庭面で連載されたエッセイ集。著者は一家の“台所担当”として、家族や愛する人たちのために台所に立つ。朝、家族に味噌汁を一杯飲んでもらうことに、心を込める。家族がちょっとずつ、たくさんの美味しいものを食べられるよう、冷蔵庫の中のおかずの蓄え、「ちくわ、わかめ、さやえんどうの煮もの」なんかを充実させる。北海道の友人から美味しい卵が届く日、全員が舌やお腹を卵かけご飯に合わせて待つ間、主役の邪魔にならないような素朴な献立を用意する。
食を通して感じたこと、ご飯を一緒に食べた人との会話。その一話一話を読むだけで、まるで自分も著者の家族や友人と一緒に心のこもったごはんを頂いているような、あたたかい気持ちになるのだ。ご飯を食べていなくても、その幸せな気持ちでお腹がいっぱいになるような。
そう、私が誰かとの朝ごはんが好きなのは、同じ物を食べながら心が通じ合うその瞬間が好きだからなんだなと思う。朝ごはんを一緒に食べる人は、ランチやディナーをする人より、距離が近しい人のように思う。大阪から訪ねてくる家族や、朝を一緒に過ごす恋人、共に旅行する仲間、家にお泊まりに来る女子会仲間。社会的なお付き合いで一緒に朝ごはんをすることなんてない。大好きな人たちのために朝ごはんを作ること。心を込めて作ってもらった朝ご飯を、感謝の気持ちで頂くこと。
この本を読んで、幸せな「いただきます」で始まる朝が毎日続く生活を続けたいと思った。少し時間に余裕ができる新しい生活がもうすぐ始まる。咀嚼するだけの朝ごはんを食べる日々とはさよならだ。一人で朝ごはんを食べる日も、自分自身のためにていねいに朝ごはんを作ろう。しばらく会えなかった友人を朝ごはんに誘うのもいい。最初の日はどんな朝ごはんをつくろうか。やっぱり白いご飯にお味噌汁かな。
あなたの理想の朝ごはんはなんですか?
【おまけ・簡単すぎるけど愛情いっぱいのお味噌汁レシピ】
1. お湯をわかしてこんぶだしを取る(顆粒だしでも大丈夫♪)
2. なめこをさっと洗い、大根は大根おろしに
3. お出汁が沸いたらなめこを入れ、ひと煮立ちさせる
4. 手でぐしゃっと潰した豆腐を入れ、もうひと煮立ち
5. 火を止めて、お味噌を溶き入れる
6. 大根おろしをお椀に入れ、お味噌汁を注いで、できあがり
*食べている人の笑顔を想像しながら作ると、びっくりするくらい美味しくできますよ(^^)
女子の皆さんには裏ワザを。彼には大根をおろしてもらって、「はやーい♪やっぱり男の子は、力あるねっ」なーんて褒めてあげれば、彼も大喜びです(笑)
「読/書部」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、スタッフのOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
また、直近の「リーディング&ライティング講座」に参加いただくことでも、投稿権が得られます。
【リーディング・ハイとは?】
上から目線の「書評」的な文章ではなく、いかにお客様に有益で、いかにその本がすばらしいかという論点で記事を書き連ねようとする、天狼院が提唱する新しい読書メディアです。
【天狼院書店へのお問い合わせ】
TEL:03-6914-3618
天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021
福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL 092-518-7435 FAX 092-518-4941
【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
【天狼院のメルマガのご登録はこちらから】