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メディアグランプリ

僕は仙台マーボー焼きそばに恋している


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:後藤 修(ライティング・ゼミ 超通信コース)
 
 
「今年も仙台に行けそうもないな……」
 
僕はコロナ関連のニュースを見て思った。僕は1年に1度、親戚に会いに仙台へ行く。一昨年まで毎年行っていた。しかし、去年はコロナが広がったため、仙台へ行くことをやめた。そして、今年も行くことが出来ないことをこの時感じた。
親戚に会いに行くのは一年の恒例行事だ。親戚といとこ達、いとこの子供たちに会って食事をして話す。これは本当に楽しいこと。だが、それと同じぐらい楽しみにしていることが僕にはある。
 
それは仙台マーボー焼きそばを食べることだ。
 
仙台マーボーそばは僕の恋人だ。
 
僕が‘彼女’に会ったのは、4年前のお盆の時。
 
いつものように、親戚と会うために仙台のホテルを宿泊予約して仙台に向かった。
会合場所は親戚近くにある知事公舎。
その時も、いつものようにたくさんの親戚と会い、楽しく食事をして会は大いに盛り上がった。
いとこの子供たちや、高齢になってもお元気なおじさん達、おばさん達からパワーをもらい
大興奮の状態で、ホテルへ戻った。
そんな翌日。‘彼女’と初対面だった。
 
朝食は好きな料理を選べるバイキング形式だった。僕が食事をする会場に入ると、宮城県の名産がたくさん使われているメニューが大きいテーブルの上にずらり並んでいた。
僕は1年に1度しか食べられないものという思いからここぞとばかりたくさんのものを皿に盛っていった。
仙台特産の笹かまぼこ、宮城県沖で取れたふかひれのスープ、そして、枝豆から作られたずんだ豆腐。もう、これほどとないくらい贅沢な料理をお盆に載せた。
その中で、ある品に目が留まった。それは縮れた焼きそばの麺とマーボー豆腐だった。
僕は、この隣り合う2品に疑問を持った。今まで、何度も仙台に来ているのにこの料理は見たことがなかった。そして、思った。
(なんか見かけたことがないものだけど、食べてみようかな)
旅行に出かけると出てくる特有の食い意地が強くなり、それらを取り皿によそった。
 
そして、盛りだくさんの御馳走をお盆に載せて、椅子に着いた。
僕は珍しさにひかれて取った仙台マーボー焼きそばから食べることにした。
僕が一口食べると、今までに食べたことがない味を感じた。
 
「う、うまい!」
 
何か、辛味と旨味がちょうど適度に混ざり合い、少し縮れた麺と絡み合う。この上ないおいしさを感じたのだ。そして、僕は夢中になって口へ入れていた。
あっというまに、平らげてしまった。
僕はよそってきた他の料理に目もくれず、仙台マーボー焼きそばをおかわりしてしまった。
完全に僕は心を奪われてしまったのだ。もうメロメロだった。
この後、他の盛っていた大御馳走を食べ終わった。でも、僕の脳裏には仙台マーボー焼きそばが
焼き付いて離れなかった。
 
これ以来、夏に行われる親戚の会合に参加するときは、必ず仙台マーボー焼きそばを食べられるホテルを予約した。
 
そして、2年前の夏まで、僕は仙台マーボー焼きそばを仙台でしか食べられないものだと思っていた。だが、そんな思い込みが2年前の秋に崩れた。
それは僕の地元にある東北料理を売りにする居酒屋へ行った時だ。
 
仲のいい知り合いと店へ入り、テーブル席について、メニューを見た。
そこにはなんと、仙台マーボー焼きそばが載っていたのだ!
「おお、ここにあるのか!」知り合いを目の前に、思わず大きな声を出してしまった!
そして、お店のスタッフを呼んで、仙台マーボー焼きそばを早速注文した。
 
居酒屋の定番、枝豆や焼き鳥、サラダが出てきた後に仙台マーボー焼きそばが登場!
僕は知り合いに「これ、めちゃおいしいから食べてよ」と興奮して話をした。そして、
知り合いが一口ほおばると、「うまいね。これ!」と一言。
僕の地元で仙台マーボー焼きそばを食べてもらえたことに僕はめちゃくちゃ嬉しさを感じた。
そして、心の中でガッツポーズをしてしまった!
 
仙台マーボー焼きそばをネットで調べてみると、(Wikipediaによる)この料理が仙台で登場した当初はあまり、人気がなかったようだ。(とても信じられないが)しかし、ある郷土料理を紹介する番組に取り上げられてから人気がでて、ご当地グルメとして定着していったようだ。
 
現在は、コロナの影響で旅行が出来ない。おそらく、今年も仙台へ行くことを断念するのは間違いない。つまり、仙台マーボー焼きそばを食べられる日が遠のいてしまう。
こんなことを思う僕に近くの居酒屋でも仙台マーボー焼きそばを食べることはできるんじゃないかと一言いいたくなる人はいるかもしれない。しかし、やはり、‘初恋’をした場所で食べることがおいしさと喜びを何倍にも感じられるのだ。はやく、コロナが収束したら、いつか仙台へ行きたい。そして、親戚に会った翌日。ホテルの食事会場で‘彼女’に会おう。そして、食べよう。
そんな日が来るのを願いながら。
 
 
 
 
***

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2021-05-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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