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メディアグランプリ

女たちの結婚、泣き笑い


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:莉都子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
もうやだよ~。冷たいよ~。
 
私はそう思いながら夜道を歩いた。パンプスの中に雪が入ってずぶずぶだ。
 
夫(当時の彼)の先輩の家に行った帰り道、家まで送るよと夫に言われ私の傘を二人でさした。徒歩15分の道のりだが想定外の雪が5センチほど積もり、時間が倍かかった。夫は男性用の靴だから私よりマシだっただろう。
 
「大通りでタクシーを拾おう」とか言わんのかい。足が凍りそう~。
もう、ありえない! 私はずっとムカついていた。お気に入りの革のパンプスもダメにした。
 
数年後、夫がびっくりすることを言った。
 
「雪の中を一緒に歩いたよね。一面真っ白の光景が目に焼き付いている。あのとき僕は、この人と結婚しようと思ったんだ」
 
はあ???
 
この人というのは私だ。
 
私と正反対の感想だったので「何言ってんだこいつ」と思った。私は景色なんか見ている余裕はなかった。氷のように足が冷え、一歩一歩が試練だった。
しかもその前にもうプロポーズしてたよね? そこで決めたとは?
 
もしその夜に私が「もう歩きたくない。タクシー呼んでちょうだい」とキレていたら夫は「こんな素敵なシチュエーションでなにキレてるの?」と無理解を口にしただろう。
 
結婚は苦楽を共にする、というが男性は自分の結婚相手が共に苦労してくれる女性だと分かると安心するのかもしれない。
 
 
◆親友のG
 
私と同じ頃、親友Gも結婚した。
 
Gはゴリラみたいなあだなで呼ばれていたので「何で?」と尋ねたら「見た目がゴリラっぽいからだよ」と自分で言うような女子だ。
もう一人、甘えん坊のAと高校時代から3人で仲良しだ。Aは一番お嫁さんタイプで、結婚するときはA、私、Gの順だろうねと3人で予測していた。しかし私が結婚し、次に結婚したのはGだった。
 
Gの夫になる人は日系3世の米国人のJだ。Jが2年の予定で日本に来て二人は出会った。
「Gとの結婚の決め手は何だったの?」と、私は彼の方に尋ねてみた。
 
Jが言うには、最初はGを「男みたいな人だな」と思ったけど親切な女性だと分かってつきあい始め、東京ディズニーランドで遊んだ帰り道。バスの出発に間に合いそうになく「タクシーに乗ろうか」と言おうとした瞬間、Gが彼の手を取り「走ろう!」と言った。手をつないで走りながらJは「この人と結婚しよう」と決めた、ということだ。
 
やっぱりJも一緒に頑張ったときに「この人」と決めてるよね、と思った。もしその時Gが「私もう疲れちゃった」と言ったら、話は変わっていたかもしれない。
 
便宜的に「僕にお嬢さんをください。幸せにします」などというのが女性の親にする男性の結婚の挨拶の定番になっているけれど「いや、お互いの努力だよな」ってのが本音かもしれない。
 
 
◆甘えん坊のA
 
それを裏付けるように5年後、今度は甘えん坊のAから「結婚式、なくなったから」と連絡が入った。
 
「どういうこと?」と聞くと「破談だよ」とAは答えた。
 
Aは学生時代の彼と10年間、遠距離恋愛をして痺れを切らし結婚を迫った。しかし今回彼の方が結納の2度目の延期を申し出たためお母さんが「どうするつもりですか?」と問い詰めたら「結婚はやめます」と彼は答えたそうだ。
 
その彼には私も何回も会っている。運動部の主将で.好青年だ。学生時代はAを無条件で愛しているように見えた。Aはおとなしく自分では何もしないしすぐ泣くので守ってあげたくなる女性だが、意外に結婚は難航した。もう30歳になり何もしない甘えん坊ということが既に「価値」ではなくなっていた。長い春は「決めかねる」の裏返しでもあり、よくない兆候だ。
 
残念ながらそれからAは15歳年上の既婚男性と不倫をしてまた10年で別れた。そして40歳になった。
 
相手の55歳の男性は実際に奥さんと別居していたようだがAと別れ、また奥さんと同居し始めたらしい。きっかけは娘さんの結婚式に一緒に出席したことだ。その奥さんは看護師だそうだが看護師はしっかり者の女性の代表格だ。相手の男性も親のこともあるだろうし、甘えん坊より看護師の正妻、と考えるのは至極当然のことだろう。あくまでも想像だけど。
 
ちなみに飲み屋の女性に聴いた話だが、男性が奥さんを連れてくるときと浮気相手を連れてくるときがあって、笑っちゃうくらいみんな奥さんと浮気相手が正反対のタイプだそうだ。Aのケースもしっかり者の正妻と甘えん坊キャラで対照的だ。つまりそれは本気ではなく「浮気」だったということだ。
 
Aは不倫が終わってから相当荒れて5年も引きずった末、3つ年下の男性と結婚した。「彼の年収が低くて仕事は辞められないわ」とスペック的に不満はあるようだが優しいのが取り柄の夫と相性がよく幸せそうだ。A自身がしっかり者にならざるを得ない相手と一緒になったのがよかったと思う。
 
 
◆離婚したG
 
同じころ、今度はアメリカに住むGから「離婚した」と連絡がきた。
Jが人妻とW不倫の末、駆け落ちしたらしい。
 
経緯はこうだ。
 
Jのお母さんが高齢になったので一緒に暮らしたいとJに言われたがGは「嫌だ」と断った。お母さんは日系2世だが日本語しか話せないからJは心配だったようだ。
 
それからJが「出ていく」とカバンひとつ持って玄関先に向かったのでGはいつもの喧嘩だと思い「出ていくならそこの珈琲カップも邪魔だから持っていきなさいよ」と捨て台詞を浴びせ返した。それが夫婦最後の会話になった。10日経っても帰って来ず、おかしいと思っていたところ見知らぬ金髪男性がやって来てGは初めて真相を知った。金髪男性は駆け落ちした女性の夫だった。
 
Jの相手は日本人女性だった。PCに残っていたメールの内容から状況を掴んだ金髪の夫が「旦那を出せ」と怒鳴り込んできたのだ。
 
その後、Jは新しい妻とお母さんと3人で暮らし、両家の子供たちと週1回ずつ食事会をしているそうだ。不倫して乗り換えたJは酷いけれど、どうしても老母を放っておけなかったのだろう。
逆に新しい奥さんはまるでお世話役のようで、よくその条件で一緒になったよなとも思う。
 
その後、Gにも新しい彼氏ができ、とても楽しそうだ。
 
 
◆幸せになろう
 
気の迷いから結婚し、そこから人々は何十年の耐久レースに入る。
結婚はひとこと「忍耐」だ。特に女性側の忍耐の比率が大きいように思う。ある男性に聞いたらやはり「男はそこまで我慢しないもん」と言っていた。経済面からも主導権が男性にあるケースは多く不満なら外で遊ぶだけだ。
 
じゃあ、何で結婚するの?
答えは人それぞれだろうがやっぱり「愛」があるから、ということにしておこう。
 
最後に頭の片隅に置いておくと冷静になれるフレーズをご紹介する。
 
「男性には3人のママが必要だ。お母さん、奥さん、バーのママ」
 
浮気相手はバーのママの変形バージョンって感じだろうか。
 
だから、そんなもんなんだろうと女性も理解し、賢く身を処する方が良い。もちろん仕事もしていた方が良い。夫婦は所詮いつでも他人になれるものだからノーリスクの人などいない。間違っても「3分の1の立場なんて嫌! あなたは奥さんである私だけでいいはずでしょ!」などと言って自分の首を絞めない方がよい。賢い妻は、相手も望むところだ。
 
結婚しようがしまいがここに登場している全員が今幸せだ、ということも追記したい。
 
何より、幸せが一番である。
 
 
 
 
***
 
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