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メディアグランプリ

目移り女こそ、人として優れた長所を持っている


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:増田圭織(ライティング・ゼミライトコース)

 
 
「あー、私ってなんで彼氏できないんだろ」
 
高校からのいつもの帰り道で、私の友人・みやがいつものように嘆いた。そして、私に再度尋ねてくる。
「ねえ、なんでだと思う?」
 
私は答えに詰まった。なんとなくこの子に彼氏ができない理由はわかるけど、それをストレートに言ったら傷つくのではないか。でも嘘をついたらこの子にはすぐばれる、そう思ったので私はさりげなく自分が思っていたことを彼女に伝えた。
 
「それは、みやが色々な男の子のことがすぐ気になっちゃうからじゃない?」
 
思ったよりダイレクトな言い回しになってしまったが、私の答えにみやはそこまで気を悪くしなかったらしい。むしろ自分のそんな所が好きだとでも言うように、どことなく夢見がちな表情でこう言った。
「だって、男の子みんな違う良さ持ってるんだもん。さとしくんは優しいし、まさきくんはドジな所がかわいいし。一人なんて選べない」そう言って彼女はいつも違う男と毎日2人で一緒にいる。どの男とも2、3回はデートしたことがあるらしいのだが、相手がその気になる前に上手く逃げきってまた新しい男の子に声をかける。男の子達も顔立ちが愛らしくてかわいいみやに言い寄られてまんざらでもなさそうだ。
 
こんな風だから、彼女は女の敵が多い、本当に。私はいつも他の友達から、なんであんな奴と仲良くしてるんだと問い詰められる。
「あんなにたくさんの男はべらしてるとか暇かよ。それで彼氏できないとか言ってるの意味わかんない」
「振り回されてる男がかわいそう」
そういう風に大体の女の子が彼女を批判する。そして私も、彼女達の意見が間違っているとは思わないし、確かにそうだと思う部分もある。
だが、いつも私はささやかに反撃する。
「確かにみんなの言う通りな部分もあるよ、きっと。でもみやの、色々な人の長所をすぐに見つけて褒める所がいいなって思うんだ」
 
そう、彼女は本当に色々な人を好きになる度に、彼らの長所を見つけて褒める。かっこいい、優しい、気遣いができる、自分をしっかり持っている、コミュ力が高い……など彼女の辞書には沢山の誉め言葉がある。そして、みやは彼女の悪口を言っていることが明らかな女子に対しても、決して悪口を言ったりしない。聞こえよがしに悪口を言われても、どこ吹く風である。私はみやのそんな所が好きだったのだ。自分がどう思われようと気にしない、自分は自分の好きなように生きる、そんな所が同姓として魅力的だったし、私にはないものだったからすごく羨ましかった。だから私は周りがどんなにみやの悪口を言おうとみやと仲良くすることをやめなかった。
 
しかし、女子とは面倒くさい生き物で、人が誰かのことをどう思っているかなんて放っておけばいいのに、自分と同じ思考をしない者に対して勝手に腹立たしく思って嫌がらせをしようとする人もいるのだ。
 
ある日、私は机に置きっぱなしにしていた自分の筆箱がなくなっていることに気づいた。あれ、おかしい、ここに置いたはずなのに。私が必死に探していると、嫌な感じの笑い声がした。見ると、いつもみやのことを悪く言っている女子達が私の方をちらちら見ながら意地悪く笑っていた。こないだ、みやの悪口を言っていて、私が反撃したのが気に食わなかったらしい。きっと私の筆箱がなくなったことと彼女達が私を見て意地悪く笑うことは無関係ではないだろう。
あー、めんどくさい。別に私がみやと仲良くしていようといまいと関係ないじゃないか。こういう子達は、世界は自分を中心に回っていると自惚れ、少しでも気に食わないことがあるとその対象に対して攻撃する。その標的になったことは初めてで気分も悪かったし、いじめられるのではないかと少しだけ怖かったが、不思議とそこまで大きくはとらえていなかった。
 
しかし、みやは違った。私の筆箱がなくなったことを敏感に察知し、続いていつも彼女の悪口を言う女の子達が私を見ながら笑っている様子を見ると、突然ずかずかと彼女達の方に歩み寄り、こう言い放った。
「ちょっとあんたら何笑ってんの。私のことは好きなだけ悪口言ってもいいし、バカにして笑ってもいいよ。でも、私の友達を私のせいで傷つけるのはやめてよ。さなの筆箱、返してよ。しらばっくれたって鞄の中から丸見えだから」
 
私は全く気付かなかったが、私の筆箱は女の子達のリーダー格の少女の鞄の中に入っていて、それもみやは気づいていたらしい。みやに啖呵を切られた女の子達は自分達の罪がばれたことが気まずかったらしく、みやに黙って私の筆箱を突き出し、そのまま全員逃げるように教室を出て行った。
 
「さな、ごめん。私のせいで嫌な思いをさせちゃったよね」
そう言ってみやは私に筆箱を返してくれた。そして、
「さなが誰に聞かれても私の悪口を言わないの、すごい嬉しい。いつも私は彼氏できないとか男の話ばっかしがちだけど、さなのことは信頼してるし、大好きだよ」
と言ってくれた。
 
言葉だけ聞くと、ドラマの中のセリフのように現実感がなくてふわふわしている。だが、みやはしっかりその言葉を行動で示してくれた。思っていても行動に移せない、そんな私に比べてやっぱりみやは一枚上手だ、と改めて私は感心した。
 
彼女は確かに色々な男の子が気になってしまう目移り女かもしれない。でも、私にとって彼女はかけがえない大切な友人で、友達思いで悪口を言わない彼女の魅力を私は良く知っている。私はみやと出会ってから、目移り女に肯定的になった、かもしれない。
 
 
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2018-03-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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