“オッサン”にはなりたくない
記事:山田将治(ライティング・ラボ)
とうに人生の半ばを過ぎてしまったが、私も若い時があったんです。
その若い頃から、中年以上のオッサンが好きではありませんでした。
オッサンは、臭く・汚く・ダサく・説教が長く・格好悪い。これが、若かりし頃の私のオッサンに対する印象でした。
まるで、自分だけは歳を喰わないとでもいうように・・・・・
当たり前の事ですが、社会人となって幾年月が経ち、私も中年はおろか初老と言われてもおかしくない年齢となりました。
自分を嫌いたくないので、一応自分なりの“反オッサン化計画”は、実行してきました。
臭く、汚くならないよう清潔にする。出掛ける前には、真冬でも必ずシャワーを浴び、シャンプーと髭剃りを欠かさない。
説教が長くならないように、十分注意しかつ、絶対に酔っ払ったりしない。これは、下戸であるため、苦も無く出来ました。
ダサく、格好悪くならないよう、何時も身奇麗でいることにしてきた。また、極力筋肉を落とさないよう努めたつもりだ。しかし、歳には抗えず、腕や脚はずいぶんと細くなってしまいました。
オッサンを嫌い始めたのは、若い頃からですが、頭の中で考え始めたのは、もっと幼少期だった気がします。
当時のオッサンの若かりし頃の写真を見ると、皆さん一様にそこそこ格好よく、凛々しい若者でした。そんな若者が何故、汚いオッサンになってしまうのか、また成らざるを得ないのか、幼い私には理解出来ませんでした。
私が幼かった頃、街の多くのお兄さん、特に大学生は学生運動に励んでいました。ヘルメットを被り、“ゲバ棒”と名付けた角材を振り回し、薄汚れたタオルで覆面した連中です。
幼い私には、彼えらが訴える論旨を理解しよう無く、ただただ“将来のオッサン予備軍”にしか見えませんでした。
その一方で、スポーツ万能で歌も上手く、そして必要以上に綺麗な女性にモテる、えいがの若大将(加山雄三)が居ました。当然私は、こちらに憧れました。
また、当時から映画好きであった私は、若大将の年長版というか発展系として、ショーン・コネリーが演じるジェームス・ボンドも、手本にしようと思いました。
当然、背丈は足りず顔形は比べるまでも無いのは、承知の上でした。
では、その足りないものを補う為、私はこうしようと思いました。
先ずは、知恵を付ける事。時間が掛かる事なので、歳を重ると有効でした。
次に、経験を記憶する事。見聞きした事、特に良い経験を伝えたいと思いました。
それから、好奇心を失わない事。何でも、新しいことに挑む事です。これが以外と、苦心しました。どうしても、歳を重ねると保守的になってしまいます。
そして、継続する事。「若い頃は~だった」という言葉が、格好悪く感じるからです。
また、手間隙を惜しまない事。世話焼ける事の方が、続ける価値が有るように思います。
同じく、物を大切にする事。これは経験値なのですが、“物”を大切にしない人は、“者”に対しても邪険になってしまう傾向にあります。
天狼院に出入りするようになって、新たな経験をしました。
歳ばかりでなく職業上(一応、社長)、仕切り役をすることが多い私が、若い方々の指示で動くと、意外と楽だと知りました。進んで“ダシ”に使ってもらい、“パシリ”もするのです。
旅部でのこと。
私の班の班長は、天狼院のエースの川代さん。映画ラボから天狼院に係わり始めた私には、川代さんの指示に従うことは、苦の無い事でした。しかも、我班の記事は、エースに任せておけば、間違いは無かろうとも考えました。
また、メンバーのワカメちゃんの企画力が秀逸で、それに乗ってしまえば楽が出来ました。
実際その企画とは、私が江ノ島土産を買うために、若い女性に相談するというものでした。
私の役得と言えば、川代さんが選んだ女の子をワカメちゃんや他のメンバーが声を掛けてくれ、私と一緒に写真に納まることを承諾してもらった事です。
何せ、ナンパもしていないのに、若い女性と写真が取れたのですから、役得以外の何者でもありません。
また、午後の映画撮影班では、マイク係を任され、演技をしたりセリフを覚えることなく、楽をさせて頂きました。それでいて、文句を言われなかった事も、役得だったと思います。
関西では、年長の男性を親しみを込めて“オッチャン”と呼ぶそうです。逆に、好かないオッチャンを“オッサン”と呼ぶとか。
私は若い皆さんから見て、“オッチャン”に成れただろうか?
自分では、理想の若大将やボンドを100点とすると、65点位と思ってます(かなり甘め)。
もう少し低く渋い声で話し、適度に綺麗に白髪が混ざり、そしてもっともっと落ち着いていれば、あと15点位は上がるかなと思ってます。
今後も、日々精進する事を再度宣言します。
“オッサン”には成りたくないから。
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